青年海外協力隊 セネガル滞在記 ~Pas à pas~ (迫頭隊員は帰国しました。)

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迫頭 美紗
東京都

タイプ/職種
青年海外協力隊
小学校教諭
派遣国
アフリカ
セネガル カフリン州カフリン県カフリン市
一言メッセージ
協力隊での活動は中学生の時からの夢でした。「現地の方々と一緒に」毎日一歩一歩、少しずつがんばります!

 

ある女の子との学習

2016.03.15

昨年の夏頃より、ある女の子と学習を始めました。

その女の子は小さい時に病気にかかり、肢体不自由になったそうです。

日常会話はスムーズにできますが、簡単な数の概念などは身についておらず、視力も少し弱いようです。

実は、学校の敷地内に住んでいるのですが(お父さんが学校の用務員さんのため)、授業を受けてはおらず、いつも見るとだいたい寝ているか、起きているか、何か食べているかだけだったのです。

何か一緒にできないかなと思いつつ、お話するだけで時間は過ぎてしまっていたのですが、あるとき「勉強したい?」とその子に聞いてみました。

その子は「したいよ」と答えてくれました。それじゃあということで、一緒に学習を始めることにしました。

見通しをもって学習ができるように、毎回の学習の流れを、「体育→算数→音楽」というように同じにしてみました。

いつも同じ形で行うのですが、「テーイ ラン ラニュイ ジャング?(ウォロフ語で“今日は何を勉強する?”)」が彼女の始めの一声で、最初にやることを確認してから学習がはじまります。

また、始めていくうちに、体を動かした後に「次は算数だね」と本人から言ってくれるようになりました。

体育を取り入れたのは、少しでも自分で体を動かそうという意欲を失わないようにするためです。

腕は自分で動かすことが可能なので、伸びをしたり、手をブラブラさせたりする運動を行いました。

また、あまりよく動かせない足にも働きかけて、その部分に意識を向けること、足首がとても硬くなっているので、ゆるめることなどを中心に行いました。

体の触れ合いを通して、その体の部分に意識を向ける、体が曲がっているな、硬くなっているなと自分で気づく力をつけられるとよいと思います。

算数では、まずは1~5までの数概念形成に取り組みました。

キャップや鉛筆などの具体物を使い、ものの受け渡し、箱に入れるなどのやりとりをしながら、「キャップはいくつ」「全部でいくつ」などの学習を行いました。

少しずつ数の合成・分解につなげていければよいと思っています。

始めた頃は3の数まででいっぱいいっぱいな様子でしたが、5までの数にチャレンジできるようになってきました。

間違えたときに自分で数え直す様子や自信をもって答える様子が見られ、「できたね!」の声かけに一瞬間をおいて、はっとした顔をした後に「でへっ」と顔をゆがませる彼女の笑顔は、私の励みにもなっていました。

また、「えんぴつ2本ください」というように、お店屋さんごっこなどもしてみました。

実践の場で使えるようになったらよいという願いもこめています。

「これでお母さんのお手伝いができるね!」と彼女やお母さんにも伝えていました。

ミニ黒板を使って、文字を書く学習も行いました。

彼女の弟が授業でよく使っている様子を彼女はよく見ていて、書きたそうにしていたからです。

うまく腕を動かすことが難しいのですが、上から下に線を引くと数字の「1」が書けるということを伝えながら、書くことができるようになってきました。

最後はうたです。

ウォロフ語やフランス語の歌を一緒に歌っています。

彼女のお気に入りは、「La joie(幸せなら手をたたこう仏語版)」という歌で、手をたたき、指をならし、舌を鳴らした後に、「merci!(ありがとう)」の部分を「ジャーラーマ!」とプラール語に変えて歌っていました。

歌い終わった後は、私もとても元気になれます。

セネガルに来て、先生方とかかわることが多く、あまり子どもと向き合っていないなと感じていたので、毎日30分程の時間ですが、私にとって大切な時間の一つとなっていました。

先日、私が帰国するにあたり、最後のお別れをしてきました。

いつものように学習をしてから、さよならのあいさつをしました。

彼女の笑顔にいつも救われた・・・疲れているときも、彼女との学習を楽しみに通うことができました。

お母さんやお父さんとのあいさつも行いました。

「この子は勉強できるんだね。うれしかったよ。」と涙を流してくれたお母さん。

彼女のお父さん、お母さんはいつも側で私たちの学習を見守っていてくれました。

お母さん・お父さんは体がとても小さいので、だんだんと彼女の介助は大変になってくるのではないかと思います。

セネガルのみんなで見守る環境を活かして、無理せず過ごしていってほしいと思っています。

また、先生たちも女の子にたくさん声をかけてくれています。

学習する機会が今後も少しでも得られるようにと願っています。

「毎日、自分で体を動かしたり、勉強したりしてね」と彼女に常々話していました。

お別れをした次の日、学校の先生に会う用事があり、彼女の様子をちらっと見てみたら、ミニ黒板に一生懸命文字を書いている様子が見られました。

その姿を見ることができて本当にうれしかったです。

「一緒に学習できて本当にうれしかったよ。ありがとう」