JICA海外協力隊の世界日記

笠戸丸の風

第1話 自己紹介・活動内容・その他もろもろ

初めまして。2019年1月から世界日記を担当することになった、2018年1次隊学芸員の清水と申します。サンパウロ市リベルダージにあるサンパウロ人文科学研究所に派遣されています。

自己紹介

日本では、千葉県や高知県の歴史資料保存機関や博物館で、江戸時代の古文書や県が作成した公文書等の、いわゆる文献資料の整理に関わってきました。

専門は江戸時代の歴史研究とアーカイブズ学になります。アーカイブズ学については「サンパウロ人文科学研究所」のサイトの私の着任挨拶に記載していますので、そちらを参照ください。

【サンパウロ人文科学研究所はリベルダージにある文化福祉協会ビル(上記写真、通称:文協ビル)の3階にあります。是非お立ち寄りください】

活動内容

このような経験を活かして、サンパウロ人文科学研究所(以下、人文研)で所蔵している日本人移民が残した個人の日記、手紙、書類等の日本語で書かれた文字資料を整理することが私の主な活動内容です。

日本人がブラジルに渡って110年余、世代も進み、日本語を話したり読んだりする日系人が減ってきています。そうなると親や祖父母が残した手紙や書類が読めなくなり、処分することが往々にしてあります。

日本でもそうですが、当時の生活状況や歴史を解明するためには、その時代に作成された書類や記録が一番信憑性があります。

人の記憶や言い伝えでは、記憶違いや間違って伝わる・大げさに伝わることがよくあるため、文字や映像(写真・VTR等)の資料から判明したことの方が説得力もありますよね。要するに資料がなくては、当時のことは何もわからないということになります。

人文研では、個人からこうした日本語文字資料を預かって保存しています。全体の概数は約7000点です。これらを整理し、日系移民の歴史を調べる時、または先祖の歴史を調べる時に利用できるようにする必要があります。

資料は写真のようにプラスティック製の書類を入れる箱に入っています。

中にはこのような古い資料も。大正6年ですから1917年、いまから102年前の渡航証明書です。これがあれば、先祖がいつ渡航したのかがわかりますよね。

ブログの記事について

このブログでは、JICAボランティアとしての活動や資料整理の中で判明した日系社会の歴史、サンパウロでの衣食住、それと日本の歴史や文化を中心に綴っていこうと思っています。

人文研が収蔵している資料には、これまで知られていなかった日本人移住者の活動や日系社会の歴史が書かれています。このようなことを少しずつ紹介していきたいと思います。

でも活動内容やサンパウロでの衣食住はわかるけど、なぜここで日本の歴史?と疑問を持ったことと思います。

サンパウロに来て半年、私が日系人や日本からの移住者(駐在員等を含む)と話していると、移民の歴史については知っているけど日本の歴史は知らない、とか、日本の歴史は知っていても必ずしもそれが正しい知識ではないことがあります。いまだに水戸黄門が全国を旅して印籠ひとつで騒ぎを治めたと信じている人は結構います。

なので、これからJICAボランティアの応募を考えている方や、既に派遣されている隊員は、ある程度、日本の歴史の知識があった方がいいと思います。日系移民の歴史については派遣前訓練で講義がありますが、日本史の講義はありません(笑)。

このブログでブラジルや海外に住む日本人や日系人に、日本の歴史を話す時のネタを、本ブログで紹介できればと思っています。

ということで、これから約1年半、よろしくお願いします。

  ~笠戸丸の風を受けて~

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