2024/04/08 Mon
国際デー
# 12 世界自閉症啓発デー
こんにちは。篠宮です。
僕は今、セネガルの首都ダカールで障害児・者支援の隊員として活動をしています。
4月2日は「世界自閉症啓発デー」でした。
そして、4月2日〜8日は「発達障害者啓発週間」です。
ぜひ、身近な場所で、関連する啓発イベントがある方は参加してみてください。
「世界自閉症啓発デー」については、以下のHPをご覧ください。
⇩
「世界自閉症啓発デー日本実行委員会公式サイト」 https://www.worldautismawarenessday.jp/ を参照。
※ポスター及びリーフレットは使用申請済み。
⇧上記のポスターやリーフレットの中では自閉症についても、分かりやすく説明されています。
自閉症の特性を持つジュリアは、エルモやクッキモンスター、ビッグバード、アビーなど『セサミストリート』に出てくる仲間の一人です。
セサミストリート公式HP【https://sesamestreetjapan.org/】の「ジュリアの紹介動画」では、ジュリアに初めて会ったビッグバードがジュリアとの関わりで起きる色んなことに、戸惑う様子が見られます。
その中で一緒に遊んでいたエルモやアビー、アランはビッグバードに
- 「ジュリアは時々、返事をするのにみんなより時間がかかるんだ。」
- 「ジュリアは(絵を描くのに、手や指ではなく)筆を使う方が好きなんだね。」
- 「ジュリアには、何か聞かれてもすぐに答えられないことがあるんだ。」
- 「そうだね、期待している返事をしてくれない時がある。例えばハイタッチとかね。」
- 「ジュリアってみんなと少しやり方が違うっていうか。ジュリアスタイルっていうか。」
- 「そう、あとジュリアはとっても楽しい。ジュリアは友達と遊ぶのが好きなんだ。一緒に遊ぶことも大好き。」
- 「そうだね、ジュリアはみんなと少し違ったやり方をするね。自閉症の人は時々、みんなには理解しにくいことをすることもある。」
- 「おもしろそうな遊び方だね。」「その通りさ。どんな遊び方をしてもいいんだ。友達と遊んでいることに変わりはないんだよ。」
などとジュリア(自閉症)について伝えます。
また、動画内ではエルモやアビー、アランはジュリアの様子から
- 「(鬼ごっこを)たぶんやろうってことだね。」
- 「サイレンの音が嫌なんだね。少し休もっか。」
- 「ジュリアには大きな音だったんだね。」
- 「ちょっと深呼吸しよう。」
とジュリアの心情を察する様子や言葉がけも見られます。
また、ジュリアと目線を合わせて話しかけるアランの様子や、ジュリアの行動を否定するのではなく、肯定し、受け止める様子、パニックになっても焦らず、本人が落ち着ける(お気に入りの)場所にスムーズに誘導する姿も見られます。
実際に動画を見て、僕自身「勉強になるなぁ」と思います。
それと同時に、この動画内で説明されていることや描写されている様子の全てが、「自閉症」の人たちに該当するわけではないということです。
ここで少し真面目な話も。
「自閉症」は1943年にアメリカの児童精神科医カナーさんによって、世界で初めて報告されました。
そしてその翌年、オーストリアの小児科であるアスペルガーさんが同じようなケースを報告しました。
二人はともに、「自閉症」という診断名を用いていましたが、当時アメリカとオーストリアは交戦状態にあったため、お互いの論文を知る機会はおそらくなかったと思われます。
その中で二人の診断名が一致したのは、1908年にスイスの精神科医ブロイラーさんが「精神分裂病論」において「自閉」という造語を用いたためだと言われています。
※ギリシャ語の「autos」(自己)と「ismos」(状態)を組み合わせた「Autismus」(造語)の訳語が「自閉」であり、英語では「autism」となる。
※「自閉」という言葉の由来と概念の変遷:本田秀夫さん / 「自閉症の子どもたち-心は本当に閉ざされているのか」:酒木保さん をそれぞれ参照。
それ以降、自閉症についての研究が多くされてきました。専門家の見解は常に変化しており、長く研究をしている専門家でさえ、見解が定まらないのは自閉症の行動特性が多義的であり、原因究明が困難であるからです。
その後、1980年に『アメリカ精神医学会(APA)による精神疾患の診断・統計マニュアル』【DSM】が発表され、2013年にDSM-Ⅴの改訂で、これまで「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」「自閉症」と分かれていたものが「自閉スペクトラム症」【ASD:Autism Spectrum Disorder】に統一されました。
僕は個人的に、この「スペクトラム」という捉え方を気に入っています。
というのも、僕自身が自閉スペクトラム症の子たちに限らず、日々の活動で、知的や発達に障害のある子たちや青年たちと関わる中で、彼らの様子から常に「スペクトラム」であることを実感しているからです。
今回紹介させて頂いた「自閉スペクトラム症」に限らず、前回紹介させて頂いた「ダウン症候群」、僕が日々関わらせて頂いている知的や発達に障害のある子たちは、当たり前ですが一人一人違います。
もちろん、彼らに関わる専門職としては、自閉スペクトラム症をはじめ、AD/HD【Attention Deficit Hyperactivity Disorder : 注意欠如/多動性障害】やLD【Learning Disorder : 学習障害(読字障害:ディスレクシア/書字障害:ディスグラフィア/算数障害:ディスカリキュアなど)】といった発達障害や知的障害を持つ子たちには「こういう特性があるから」と事前に配慮したり、彼らと関わっていく上で頭に入れておく必要があると思います。
その上で、「自閉症のAさん」ではなく、その子自身(本人)を見る目を、彼らと関わる大人として今後も持ち続けたいと思います。
また、自らの世界や価値観、当たり前に捉われないこと。
彼らの世界や価値観、当たり前をこちらの世界や価値観、当たり前に当てはめないこと。
動画の中で、エルモやアビー、ビッグバードがジュリアのやり方で鬼ごっこをしたように、彼らの世界に浸かってみること。も引き続き、大事にしたいと思います。
そして、その想いを僕の姿を通して、同僚たちに伝えていきたいと思います。
長くなりましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
それではまたお会いしましょう。
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