JICA海外協力隊の世界日記

エジプト地中海ぐらし

トイレに描かれた戦略図!

学校が休みの週末、同僚の第2の職場であるサッカークラブに遊びに行ってきました。

 

 

同僚の名前はアブデルへーディー・サブリー。みんなからアブディーという愛称で呼ばれています。

アブディーは26歳で私より1歳年下。仕事も真面目にこなし、管理職や他の同僚からも信頼されているいい教師です。

  

アブディーのライフスタイルは彼の性格を表しているかのようにストイックです。

7時に家を出て、7時半から学校が始まります。

15時半に仕事を終えると、16時からサッカークラブのコーチが始まります。

年代別に指導を終えると、家に着くのは夜8時。一人暮らしの彼は炊事洗濯等の家事をこなし、眠ります。

休日も朝からサッカークラブでコーチ。午後は隣のプールで監視員の仕事があります。

 

 

先日、私はそんな彼のサッカーチームに遊びにいきました。

彼のライフスタイルが大変なのは聞いていましたが、実際に休日に早起きすることや、子どもに熱心に指導することの大変さを体験すると、自分の想像力の乏しさに嫌気が差します。

エジプトの暑さをくぐり抜け、子どもたちを安全に帰しました。

 

午後からの職場であるプールサイドのベンチに座り、昼食を一緒に食べます。

アブディーが近くの店でテイクアウトしてきてくれました。彼は、私の分の昼食代の小銭を絶対に受け取ってくれません。

エジプトの庶民的なご飯を一緒に食べながら、他愛のない話をした後、仕事の話にうつりました。

 

教師の給料が低くて、生活が厳しい。志願者が少ない。

正しく努力している人が、正しく評価されていない。

不当な評価のせいで、優秀な人が離職してしまう。

 

彼らの悩みは切実です。

こういう彼らの悩みを心から共有できないときに、私は所詮よそ者だなと感じます。

昼ごはんの後、彼はそんな私を家に招待してくれました。そして、精一杯のおもてなしを受けました。

質素な生活を送りながら、私に心からのおもてなしをしてくれたのです。

私は日本から生活費をもらっていて、安全な場所に住んでいる。

安全な場所に住んでいて、彼らの悩みを心から共有できない私は、彼らの仲間になれているのだろうか。

今年度のはじめに、体育分科会というものを立ち上げました。

勉強熱心で真面目なのにも関わらず、日本式教育についての教材が少ないために手探りで授業を作っている先生たち。

そんな先生たちの教員生活が少しでも良くなるように、授業づくりが少しでも楽になるように、学校内での評価が少しでも上がるようにと願いを込めて

日本式の体育を学べる機会を与えられるよう、体育分科会を立ち上げました。

 

ですが、私のやり方は間違っているのかもしれない。

間違いではないかもしれないけれど、先生たちが本当に求めているものに繋がっているのか分からなくなってしまいました。

先生たちの幸せを願っているけれど、現場の悩みを心から理解できずに、そこに身を投げることなく安全な場所から空想している。

私が思い描いているものは、まるでトイレの壁に落書きされた戦略図だなと思いました。

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