JICA海外協力隊の世界日記

菅原洋子のミャンマー滞在日記

ヤンゴンのダウンタウン

現地語学訓練中のホテルの部屋は10階にあります。シェダゴンパヤーが北に見られ夜中輝いています。目の前はヤンゴン中央駅です。南の窓には大きな2つの塔を持つ教会(写真1)があり、その隣には赤レンガの会議場のような建物が続きます。この教会にはカソリックと書いてあり、日曜礼拝もあるようです。中は両側ステンドグラスで聖書の物語が見事に描かれており、大変荘厳な雰囲気を漂わせています。金ぴかの寺院が中心のヤンゴン市内では物静かな印象を受けます。ホテルの裏のほうでは手洗いでたたきながら洗濯をする女性がいました。ミャンマー語の先生に聞くと洗濯機を使っている家庭はそう多くはないそうです。そう言えば「洗濯機は文化度を示すよね」と誰かが言っていました。

この写真の赤レンガの建物はアウンサン将軍(スーチーさんの父親)が暗殺された所だそうです。今は全く使われておらず、建物は修理されたり一部は壊されたり部分的に廃墟のようになっていますが、中央の建物はきちんとしています。ここは民主化運動の人々にとっては大切な場所なのでしょう。数年前に壊すという話が持ち上がった時には、反対運動が起こったそうです。因みにスーチーさんが軟禁されていた自宅はインヤー湖のほとりにあり、その辺は高級住宅街になっており湖の周りに緑が広がりゆったりとした時間が流れているそうです。

ホテルの前に見える鉄道はヤンゴン市周囲を一周しています。駆動車両は古めかしい電気機関車ですが、客車はクリーム色と青に塗られています。ミャンマー語の先生によると時間通りに来ないし、遅いので多くの人が通勤に使うのは朝だけで、夕方はバスに乗って帰るのだそうです。朝は時間通りに動き車中で食事もできるからではないかと言います。ミャンマーに旅行に来た人の話では、鉄道は観光のために乗るものだそうです。ダウンタウン近くの駅は歩いて30分くらいのところに点々とあります。乗車賃はとても安く200チャット日本円にすると20円です。しかし主な駅以外には係員もいないので多くの人が無賃乗車だと言っていました。スピードも時速40KMくらいでしょうか。中央駅の周辺には操車場が広く取られていて屋根のついた場所に電車が収められており、そこは夜中電気がついて電車の整備員も泊まり込んでいるようです。どうして速度を上げられないのかと言うと、線路が古くてスピードに耐えられないそうです。JICAが支援し現在レールを新しくする事業に取り組んでいるところです。数年後にはヤンゴンの足として頼りになる汽車に成長していてほしいと思います。

私の住んでいるホテル近くはインド系の人が多く、褐色の美男、美女がよく歩いています。道路でミシンを踏んでいるのもデリーの風景と似ているなと思いました。碁盤の目に整備されたダウンタウンの東側になります。大通りには歩道があり、その間に細い通りが3本並んでいます。この辺は路上が露店食堂になり、市場になっています。ホテルの脇の道を南に歩いていくとそこは食品の露天市場になっていて自動車が一台通れるくらいのスペースを空けて両側に店が出ています。時には店の商品と車の距離は10cmにもならないくらいで私はハラハラしますが、店の人は特に心配する様子もなく車は最徐行で通り抜けています。道路事情はすこぶる悪く下水の石畳みが置いてあるところは必ず1-2cmの段差があり、舗装されているのに穴が開いていたり欠けていたりで、周りに気を取られて歩いていると躓きます。カメラを手にしている時には本当に気を付けて歩いています。碁盤の目に整備されたここダウンタウンはまさしく下町で、物乞いの人もいるしゴチャゴチャとしています。

(⒑・112015記)

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