JICA海外協力隊の世界日記

アンデスの田舎町から

牛と豚

初めまして。エクアドルのパタテ市という小さな町で農産物のマーケティングの手伝いをしています。日々の生活や活動を通して感じたことを綴っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。 今日は家畜管理の指導をする獣医技師の同僚の手伝いで、家畜を飼育している農家を回りました。 パタテ市が牧畜業の生産品(ミルク、食肉など)の品質向上の為に、無償で寄生虫の駆除とビタミン剤を与えることになったので、その普及活動と実施の為に集落単位に訪問しているところです。 パタテ市では多くの農家が収入の安定のために、野菜や果物だけでなく兼業で家畜を飼っている為、数は少ないですが、広い範囲に散らばっています。 飼育場所へ行く為にトラックの荷台に乗ったあと、草原や獣道のような足場のない斜面を登り降りしなければいけません。 そして薬を飲ませ注射を打つ時には、牛も豚も不穏な気配を感じて必死で逃げ回るので、取り押さえるのが大変です。

自分の役割は、荷物運びや注射器に薬を入れること、それから同僚が活動報告をする為の記録写真をとることです。 こうした作業は大して役に立っていないと思いますが、自分としては、雄大な景色や動物たちの鳴き声や息遣いに触れて、それを写真や動画に撮ることをいつも楽しみにしています。 
ここに来て8か月がたち、牛や豚もだいぶ見慣れてきましたが、日々家畜に接している農家の方の努力には、いつも頭が下がります。 たとえば牛は牛舎にいるわけではなくて、広い牧草地で一頭ごとに杭につながれています。朝早くミルクを絞りに行き、周りの牧草を食べつくしたときには杭を移動させ、日照りの日には水を与えなければいけません。 アンデス山脈の空気の薄い高地を、場所によっては数百mを何度も登り降りしているのです。

こうしてできた農産物を、努力に見合う価格で販売できるようにすることが私に与えられた課題です。 農家を訪問する目的には、同僚の手伝いの他にもう一つあって、それは農家の方に自分の顔を覚えてもらうことです。 農産物のマーケティングの活動では、生産者との関係づくりが欠かせません。 たとえばコミュニティの集会に同席させてもらって、農産物の市場への売り方について聞き出したりこちらから提案をする時に、信頼関係が求められるからです。 農家の庭先で同僚が交わす会話を横で聞いたり(理解の程度は別として)、牧場の牛を追って一緒に歩き回ったりした方々は、自分のプレゼンテーションに熱心に耳を傾けてくれます。  そしてマーケティングの提案も大事ですが、見慣れぬ東洋人がいることに対する不安や不信感を少なくするだけでも、ボランティアの意味があるのではないかと思います。 こうしたささいな活動が中心になると思いますが、これからの日記に残していきたいと思います。

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