JICA海外協力隊の世界日記

Dive into Jamaica

禁漁とジャマイカ人のモラル

みなさん、こんにちは、

後輩隊員に「最近ハマっていることはなんですか?自分も出来るなら参考にしたい」と言われたので、「三国志の考察」と「ジーンズの色落ちを楽しむ」と「鏡の前でひたすら二重になる練習をする」ということを紹介したのですが、「どれもパッとしないですね。というか私は二重ですし」と真っ向から全否定されました。やっぱりメジャーな「懸垂」とか「情熱大陸のナレーションを自分につける妄想」でも勧めればよかったんですかね。
未だに正解がわからない。
さて私の趣味の一つに海洋生物の同定があります。趣味と実益に適ったアクテビティなので割と楽しんで同定しています。その中でたまに見かける貝の話が今回のテーマです。
3月から1年間ジャマイカではソデボラ科の一種クイーンコンク(Queen Conch Strombus gigas)の禁漁が始まりました。
旨味が強く日本人の味覚にあった味がするので私も週一でいただいていました。そのコンクを食べられなくなるのは非常にもの寂しいものです。貝殻は庭や家の装飾によく使われており、海沿いのカリブ地域に住んでいる協力隊員だったら一度は見ている事があるんじゃないかなとも思います。

そこで、私の職種である水産開発の一環として、私はこのコンクの資源量回復に向けた活動が出来ないかと考えています。早速予備調査として、私の職場周りのコンクを調べてみました。実際に観測したのは「指定した区域内で見つかる大型巻貝の同定、生存か死亡か、見つかった場所の水深と陸までの距離と発見した基質はどのようなものかを記録する」というシンプルな内容で調査を行いました。結果として、クイーンコンクの他にFlorida fighting Conchやホラガイまで多く見つかりました。
しかし、残念だったのは明らかに密漁された「Poached Conch」の山でした。熟練した漁師ならば巻貝のどこに穴を開ければ肉が取れるか知っているので、貝殻はそのままその場に捨てることが多いのです。そのため貝の残骸が一ヶ所に捨てられていました。この写真がその残骸です。
対象種をコントロールの方が難しいのは資源管理でよく聞く話ですが、貴重なタンパク源であり多くのカリブ地域で食べられているこのコンクの未来は一概に明るい未来とは言えないかもしれません。

上の写真が漁業者が穿孔した跡です。ここに貝柱があるので、ここで身が全部抜け出てきます。
水産開発上の理想的な状況としては禁漁区がコンクにとって幼貝の供給基地として機能し、そのまま隣の湾などに移入することによってコンクの全体的な資源量が回復する事です。それを円滑に進めるためにもそこに住む人間がいかにルールを遵守し尊重できるかという根本的なモラルの話につながります。
遵法精神をどこまで個人が守り、他者とそれが共有できるかというのは水産開発の目指すべき極地ではないかと考えるのは私の考えすぎなのでしょうか?

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ