JICA海外協力隊の世界日記

Dive into Jamaica

レッドマングローブと植林活動

こんにちは、

11月に入り、朝と夕に少し涼しい風が熱帯のジャマイカでも感じるようになってきました。多くの先輩方から「自分の望んだように活動はできない」と多く聞いていました。それは私の活動でも間違いではありませんでした。水産開発という条件でこの海洋研究所で活動していますが、資金難であったり人材不足で手伝った仕事の方が多い気がします。

頼られる事自体は非常に嬉しいので頑張りはします。今回は頼まれる仕事の中でもっとも頻度が多く、勉強になる業務を紹介しようと思います。

それはマングローブ林の植生調査です。その樹高や本数などを6時間かけて調査する非常にスタミナが必要な仕事です。

この写真の鬱蒼とした森はジャマイカの海沿いでよく見られるマングローブ林です。マングローブとは熱帯亜熱帯を中心に海岸地帯に生える塩分に強い耐性を持った塩生植物の総称です。主に淡水と海水が交わる汽水域でよく見られます。沖縄の西表島ではマングローブ林が非常に有名ですね。

ジャマイカではレッド・ブラック・ホワイトマングローブが知られており、その植生は水際になるほど変わっていきます。今回はこのレッドマングローブ(Rhizophora mangle)の話をメインにしていきます。

特徴は1枚目の写真に見える根の構造で、常に海水に晒されているために体を支える根が他の植物より大きく発達している事が知られています。これはprop rootsと呼ばれ地面に強く根ざしており、土砂の流出を防ぐ大きな働きをしています。また、水に浸っている根には牡蠣や海綿などが特異的に生息します。その牡蠣による水質浄化作用もジャマイカ沿岸における重要な機能の1つです。

上の写真は一見すると長細い根のようなものですが、持ってみると以外に重みがあります。

これがレッドマングローブの種です。特徴的なのはその形態でしょう。これは「胎生種子」と呼ばれるマングローブが持つ非常にユニークな生態の一つです。親木に付いている状態で発芽を始められるまで栄養が送られている事が知られています。そうする事で不安定な土壌を持つ海岸地帯で適応できるのでしょう。特にレッドマングローブは海から最も近い位置に生息している事が知られています。波や流れに負けないよう、親木から地面に落ちて深く刺さるようにこの形へ形態を変えていったのではないかと推測できます。

このレッドマングローブをジャマイカでは環境教育の一環で高校生に育てさせ、植林をするというプログラムを行なっています。写真のように少しの土に水をあげれば育つ非常に強い植物なので、半年程度育てたら実際のマングローブ林に植えていく事をして啓発活動を行なっています。

どこにでも生えている印象の強いマングローブですから、木炭の材料として違法伐採が多く取り締まりもあまりできていません。そのため次世代がこういったマングローブ林の大切さに気づき保護できるようにしてもらいたいものです。

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