2017/12/13 Wed
活動
活動☆母親学級②
母親学級の普及を任地で始めてから約1年が経過しました。
研修をこれまでに3回し、対象となる任地の保健センター33施設中29施設が研修に参加しました。モロッコでは何かをするには「研修に参加している」ということがとても大切なようなので、同僚とともに研修をできたことはとても良かったと思います。
研修を受けていても、母親学級をしっかりと行っている保健センターはまだ少数です。
しかし、母親学級をしっかりと行っている保健センターの人々はモチベーションがあり、自分の仕事に誇りを持っているように感じます。
また、妊婦さんをはじめとする患者さんとのコミュニケーションも良好で、患者さんから信頼されていることが見ていて良くわかります。(モロッコでは、残念なことに医療者の方が権力が上だというような接し方を患者さんにする医療者もいます)
「人がいない、物がない、場所がない」「妊婦が待っていてくれない」と言って母親学級をしない保健センターがある一方で、同じような条件でも工夫して上手に母親学級をしている保健センターがあることは素晴らしいなと思います。
全部そうだったらいいのに…とつい欲張ってしまいますが^^;
母親学級では、1枚目の写真のように保健センターの中で妊婦さんの妊娠時期に合わせたグループでの情報提供・健康教育をしています。保健センターは9時頃から開いていますが、始まる時間は妊婦さんが集まり次第。イスラム教の行事の前後は準備に忙しいため妊婦さんが集まらなかったり、今のように寒い時期は10時、11時頃になって妊婦さんが来たりと行事や季節による影響を受けます。
いくつかのテーマを取り上げ、母親学級をします。
母親学級を行っている時間は保健センターによって、妊婦さんからの質問の量によって変わります。10分のところもあれば、45分のところも。
・妊婦健診の大切さ ・施設分娩の必要性
・受診が必要な異常時の徴候 ・栄養や生活
・母乳育児の大切さと妊娠中の準備
などについて話します。グループにもよりますが、質問や意見交換が活発に行われることが多いです。
モロッコでは、学校に行っていなかったり、途中で学校に行くのをやめてしまったりし、文字の読み書きができない人もいます。金銭面、移動手段がないこと等が原因としてあります。母親学級に参加している妊婦さんは、学校へ行ったことがない、または小学校でやめてしまった人が多く、現地語しか分からない場合が多いです。私が活動している公立の保健センターは妊婦健診・出産の費用が無料なので、貧しい人が多く、識字率・就学率が低いのだと思います。金銭的余裕がある女性や高校や大学へ行った女性の多くは、有料の病院やクリニックで出産しています。
妊婦さんやその家族の中には読み書きができる人もいるので、2枚目の写真のような掲示物を作り、母親学級をしていることをお知らせしている保健センターもあります。
妊婦さんが現地語しか分からないことが多いため、母親学級は保健センターの看護師または助産師が行います。モロッコ人は話すことが得意なので、どうやるかを理解すると、初めてであってもとても堂々と母親学級をしてくれます。
私は母親学級のやり方の確認や、どのように準備・管理していくか、どのようにより良い母親学級にしていくか等を一緒に考えています。モロッコ人は振り返りや反省をするという習慣がないようで、未だに難しさを感じます…
また、妊婦体操はモロッコ人にとって馴染がないので、体操のデモンストレーションを一緒に行うことも多いです。下の写真のような簡単な体操ですが、みんな楽しそうに行ってくれています♪
自分のやっていることに意味があるのだろうか、と悩んだりもやもやしたりすることの多い協力隊の活動ですが、妊婦さんとの関わりは私にとってとても嬉しく楽しいことですし、研修で学んだことを母親学級の運営に活かしていたり、自分なりに工夫をしている保健センタースタッフの姿をみたりすることは、私のやりがいにもつながっています。少しであってもやりがいを感じることで、頑張ろうとパワーをもらえます。
私の配属先の保健支局の同僚とともに保健センターに行ければいいのですが、同僚は他の仕事もあり、一緒にはあまり行けませんし、母親学級のことばかりを考えてもいられません。そのため私が一人で保健センターを訪れ、母親学級に参加し、情報を共有するという活動の仕方をしています。
支局が保健センターの詳しい状況を知らないこともあるので、私が支局と保健センターの橋渡しを少しでもできたらいいなと思っています。
また、保健センターの仕事について褒めること、頑張りを支局に伝えることも私の大切な役割のひとつだと感じています。
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