2025/08/07 Thu
人
【58】涙を流す暇もない!さよならクエスナ


アッサラーム アライクム!
活動も最終日を迎え、ふうっと一息・・・と思いきや、まだまだ続く大忙しの日々。
引っ越しのために荷物をまとめるのはもちろんのこと、私の中の最優先事項は、任地のみんなにお別れを伝えること!
任地を出るまでの10日間。
スーパー、商店、卵屋、ナッツ屋、クレープ屋、靴屋、携帯屋、花屋、道端の野菜や果物売りのおじちゃんやおばちゃん。時に、兄ちゃんやおばあちゃん。
連絡先を交換して、何度も一緒にご飯に出掛けたり、お家へ招いてもらったり、写真を撮ったりした女子高生達。
私を見つけるなり、「ハルカー!」と呼びながら集まって来たり、話しかけてくれたり、食べ物を分けてくれたり、家族を紹介してくれたりした小中学生達。
いつも同じ場所にいて、挨拶をしてくれたり、手を振ってくれたり、紅茶やお菓子をご馳走してくれたりしたご近所さん達。
みんなに、「ありがとう」と「さようなら」を言うために最後まで任地を駆け巡りました。
感謝と別れを告げ、一緒に写真を撮り、日本から持って来た文房具や洋服を渡し(半分押し付けた)、子ども達には折り紙をプレゼント。
結局、引っ越し当日も迎えの車が来るギリギリまで、色んな人に会いに行っていました。(エジプト人の運転手だから、少しくらい遅れてくるだろうと思っていたら、時間ぴったりに来て焦った・・・)
お見送りのために、私のアパートの前まで来てくれた人も。
クエスナで最初にできた友達で、一番よく遊んだラウダとその友達のファトマ。
活動先の子どもで、家が目と鼻の先にある、ムハンマド・ハニーン・アハマド兄弟。
大量の荷物を3階から1階に下ろすのをちゃっかり手伝ってもらい、最後の最後まで助けてもらいました。
そして、私の部屋の1つ下の階のベランダには、大家さんの奥さんと両親(私にとってエジプトのおじいちゃん・おばあちゃん)の姿が。(大家さんは仕事中だった)
エジプトでの生活を最も近くで支えてくれていた人達です。
みんなに見送られながら、首都へ向かいました。
さようなら、クエスナ。


私の任地は、ミヌフィーヤ県クエスナ。
首都のカイロから第2の都市アレキサンドリアに向かって、北に車で1時間ちょっと。
緑が意外と広がる、内陸部デルタ地域の小さな町です。
エジプトへ来る前、訓練所の語学の先生(エジプトの方)からは、「クエスナ、え、どこ?」と言われ、先輩隊員からも、「聞いたことないなあ。どの辺?」と言われたような場所です。
エジプトへ来てからも、どこに住んでいるの?と聞いてきたエジプト人にクエスナと答えると、「どこだそれ?」と言われ、クエスナを知っている人からは、「なんでそんな所に住んでいるの?」と言われるような、そんな場所です。
日本人目線で、エジプトの色んなことを知っているボランティア調整員さんからも、「隊員が住んでいる中で、1番田舎やわ」と言われました。
田舎であればあるほど、面白い!と思っていたので、任地に行く前からワクワクしていました。
初めて任地を訪れた時の印象は・・・思っていたよりも栄えている!
自分の中でハードルを下げに下げていたのもあって、お店も結構あるし、生活には困らなさそうだなと思いました。
実際に住んでみて、何もない町でした。
観光名所なんて、もちろんありません。
私の任地という理由で、隊員が遊びに来てくれたりもしましたが、「何もないからね?いいのね??」と何度も念押しをしてから来てもらっていました。(あまりに私が何もないことを強調するので、何もないのを確かめに来てくれたようなものです)
何もないけど、そんな所に住んでいるの?と言われるような場所だったけど、これだけは声を大にして言いたい。
「「「クエスナは、いい町だった!!!」」」
私は、自分の任地クエスナが大好きでした。
それは、なぜか?1番の理由は・・・


人がいいから!クエスナで出会った人のことが、大好きだから!!
外国人なんて一人もいないような町(シリア出身という人には何人か会ったけど、顔立ちが似ているのでぱっと見ではエジプト人と見分けにくい)で、アジア人の私は、どうやっても目立ちました。
ただ歩いているだけ、買い物しているだけで、声を掛けられたり、写真を撮ろうと言われたり、後をついてきたりは日常茶飯事。
何度、綺麗な二度見をされたことか・・・私は彼らにとって異色な存在だったことは間違いありません。
それが、しんどいなと思うこともありました。
2年もいると毎日ハッピーとはいかない訳で、今日は誰とも話したくない、さっさと家に帰りたいと思う日だってあります。
寄って来てくれた人の間をかいくぐって、「今日は疲れてるから」と逃げるように家路についたこと、
私の機嫌で振り回してしまって悪いなあ、でも私も人間だからなあと一人反省会をしたこと、何度もあります。
でも、そうやって寄って来てくれることで、助けられたこともたくさん、むしろそっちの方が多くありました。
学校での活動が思うように進まなくて、なんだかなあとモヤモヤしながら帰っている時。
私の姿を見つけて挨拶してくれたり、話しかけてくれたり。
いつも笑顔で明るいみんなと接していると、自然と私も笑顔になり、家までの足取りが軽くなったものです。
みんなに会うことなく帰っていたら、「活動が上手くいかず、なんだか心が曇っていた日」で終わっていたはず。
それが、その日を「活動は上手くいかなかったけど、ちょっと心が晴れやかな日」と思って終えることができたのは、任地のみんなのおかげです。
そんな日が、幾度となくありました。
そんな日の積み重なりで、2年を過ごしました。
任地で出会った人達。
老若男女、みんな、私の友達です。
私は、エジプトという国が結構好きです。
それは、エジプトの人が好きだからです。
私の中で、エジプトの人というと、それはほぼクエスナの人のことです。
クエスナで出会った人達が、みんな素敵で大好きだから、エジプトのことも好きになれました。
私が2年間を割と元気に楽しく過ごせたのは、間違いなくクエスナのみんなのおかげだと、心から言えます。
そんなみんなとのお別れ。
冷静に考えると、もう二度と会えない可能性が十分にあって、こわくなる。
でも、いや、だからこそ、絶対に笑顔で別れたいと思っていました。
実際は、涙、一滴も流れず。
実感も湧ききらないし、とにかくあちらこちらへ行くのに忙しくて、そのゆとりがありませんでした。
いつもと変わらず、また明日ね!という感じでお別れができました。
また、いつだって、会えるよね?
さようなら、クエスナ。ありがとう、クエスナ。
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