2015/03/03 Tue
活動 生活
コーヒーの名産地・ランプン
このタイトル、「意外」と思う方も結構多いのでは?コーヒーの産地と言えば世界的にブラジルを初めとする南米が中心と思いがちですが、2013年のFAO統計を見るとインドネシアはブラジル、ベトナムに次ぐ世界第3位(7.8%)の生産量を誇ります(生豆ベース)。そのインドネシアの中でもランプン州は第2位の生産量、全体の20%ほどを占めています。これ、堂々と「ランプンはコーヒーの名産地!」と言い切ってよい・・と私は思っています。写真1はランプン州西部で見掛けた木に生るコーヒーの実。若いうちは緑色をしていますが、熟してくると赤くなり、その段階で収穫します。それを農家の軒先で天日乾燥させますが、写真2のように車の通る道端でも構わず広げています。何ておおらかなやり方!でも、現地の強烈な日差しを存分に活かした効率的な手法なのでしょう。突然の豪雨には要注意と思いますが・・。
私の任務では地場産業である農産加工業から出るバイオマス系廃棄物を扱っていますが、実際にこの地域における農産物の生産や加工の現状を把握することも、解決すべき問題点の背景を知る上で極めて重要です。コーヒーもその一つ、しかしながら、現地での加工はほとんど行なわれていないようです。つまり、ここはコーヒー豆の栽培と乾燥のプロセスがメインであるため、廃棄物はほとんど出てきません。「コーヒーからの廃棄物」について、実は結構日本で盛んにその利用についての実践や研究開発が以前から試みられています。なぜか?日本ではコーヒー飲料やコーヒーを使った加工製品がたくさん製造されているからです。輸入した豆からコーヒー成分のみを抽出して缶コーヒーなどを製造する、そのプロセスで「搾りカス」が発生する。これを利用するための工夫と開発が施されています。具体的には堆肥(土壌改良剤)、バイオ燃料のほか、多孔質な構造を活かした消臭剤としても活用されています。
それでは、ここランプンではコーヒーは作るだけ、飲まないのでしょうか?いえいえ、そんなことは決してありません。「Kopi Lampung」(kopi=コーヒー)としてインドネシア国内で売られており、カフェや家庭でも頻繁に飲まれています。一般的な飲み方はまずコーヒー粉末をガバッとカップに入れ、そこに熱湯を注ぐ。好みで砂糖を加えよく掻き回し、コーヒー粉が底に沈殿したら上澄みを飲む。最後のほうは底に粉が残るように静かに飲み終える(写真3)。こうやってゆっくり家族や友人と語らいながら、または一人でじっくりと香りと味を楽しみながら、ランプン名産のコーヒーを味わいます。でも、毎回毎回飲むたびに、どうしても底に残ったコーヒーのカスに目が行ってしまいます。挽き売りのコーヒー粉は日本で買うよりもずっと細かいので、カスはこのようにタール状になります。これを何か使えないかな~、でも回収するの大変そうだし~、こんなに細かくても堆肥や消臭の効果あるのかな~・・・。興味は尽きません。
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