2024/01/04 Thu
文化 活動 生活
#18 身近なアレを使った廃油キャンドルについて聞いてみた
今回は、油の話です。
皆さんは、料理した後、油はどうしていますか?
油をシンクに流してしまうと・・
実は、その油をシンクに流してしまうと、下水道管の中で油が固まってしまい、詰まりを引き起こしてしまいます。詰まってしまうと、マンホールの中は写真のようになってしまいます。ちなみに、これは詰まってしまったシェムリアップのマンホールの様子です。
放置すると下水が流れなくなり、大雨などが降ると街の中が浸水し、これが長引けば衛生環境が悪化してしまいます。
ということもあり、私の配属先では定期的に下水道の中を清掃しています。
この油の問題については、配属先のスタッフたちも頭を悩ませています。
使用済み油の活用法
日本では、使用済みの油は凝固剤を入れて固めてから廃棄している方も多いかもしれません。とても簡単で使いやすいので、カンボジアにも紹介したいと思ったのですが、日本で使われているような凝固剤は高価であり普及もあまりしていないので、何か代替するものはないか探していました。
ちなみに、カンボジアでは一回使った油は他の料理に利用したり、料理の際に燃料にしたりと再利用されています。
そんな中、カンボジアのコンポンチュナン州で活動しているJICA海外協力隊のJさん(写真)が、”ろうそく”を使って廃油を固めているという話を耳にしました。
さらに、固めるだけでなくキャンドルを作って活用しているという話が耳に入りましたので、さっそくキャンドルづくりの経緯や反響についてJさんにインタビューしてみました。
経緯や地元の反響などをインタビュー
― どうして廃油からキャンドルを作ろうと思ったのですか?
カンボジアの派遣を待っている時に、派遣前訓練に参加しました。その派遣先で、大量の油の処理に困っているという課題があり、元カンボジア隊員だった理科隊員の方が固めてキャンドルにしてみたら?と提案し、作り方を教えてくれました。その経験があり、私がカンボジアでたまたま料理した時に、余った油をゴミとして捨てるのが嫌で、キャンドルにしてみようと思いました。
しかし、日本にいた時は、凝固剤が手に入りますが、こちらにはありません。迷って、家にたまたまあった、カンボジアのお寺で使う黄色いろうそくを溶かしてみることにしました。
― ろうそくを溶かしてみようと思ったきっかけを教えてください。
ろうそく作るならろうそく溶かすのが早いかなぁって何となく思っただけです笑。そしてたまたま部屋にありました。それが意外とうまくいき、1日経つと固まりました。
― 工夫した点などありますか?
紙コップだと廃油がじわりと外に染み出してしまうのですが、カンボジアにもあるポテトチップスの空き容器を使えばやりやすかったです。内側にはアルミ箔がついているので、油が外に染み出すことはありません。
― 地元の方の反響などありますか?
カンボジアは結構停電があります。廃油キャンドルは、一本のろうそくから3-4個キャンドルを作り出せます。
大家さん、家に併設されているカフェ、自分の部屋に置いています。地元の方も、油からキャンドルを作ったんだよというと驚いていました。便利だよと緊急時には使ってくれています。
― 失敗談などありましたら教えてください。
柑橘類の皮を入れてみましたが、全然香りがしませんでした。また、キャンドルに色をつけようとクレヨンなども入れましたが、とても言い表しにくい色になってしまいました。
全部溶けたあとはこんな感じです。クレヨンはあまりおススメはしません・・
― 今後の展望などを教えてください。
そうですね。地元のコンポンチュナンの焼き物を使ってろうそくを作れたら素敵だなと思ってチャレンジ中です。
数日後
(実際にコンポンチュナンの焼き物を使ってろうそくを作った写真が送られてきました)
民芸品にして売り出せそうです。
Jさんの挑戦は、現在も続いてています。
インタビューを終えてみて
仏教徒が多いカンボジアではろうそくが安く手に入りやすく、廃油キャンドルはカンボジアの文化に根差した持続可能な取り組みだなと思いました。また、Jさんの周りでは、地元の方を含め、廃油キャンドルがじんわりと普及しており、Jさんの影響力の大きさが伝わってきました。Jさんのアイディアや行動力にも驚かされるばかりです。これがきっかけで廃油キャンドルがカンボジア全体に広まり、下水道の油の問題も解消でき、私の配属先スタッフの悩みが解決する日もそう遠くはないかもしれません。
廃油キャンドルは下水道の詰まりを解消する一方で、ワクワクはたくさん詰まっていることが分かりました。
今回も読んでいただきありがとうございました。
SHARE