JICA海外協力隊の世界日記

モンキーベイでSekererani!

リピーター!

「リピーター」。

日本では少し響きのよい言葉ですね。

しかしマラウイの学校では…

「リピーター」とは、学年末の試験に合格できず、同じ学年を繰り返している生徒のことを指します。

リピーターが沢山生まれてしまうのは5年生。

授業も試験も全て英語に切り替わる学年。

進級は筆記テストの点数のみで決まるので、勉強が得意でないと&英語が分からないと進級できません。

授業もほとんどが講義型なので、足が速くても、歌が上手でも、発揮する場が無い能力を評価してもらえない筆記テストでは点が取れないのでリピーターになってしまうという悲しい現実が沢山あります。

そして年下の子たちには追い越され、先生からも「リピーター」扱いを受け…。

ケロッとしている子が多いですが、私なら耐えられないと思います。

でも、リピーターだって、しっかり評価されるべき!

テストだけで能力を決めつけないで!

と、

少しでも多くのリピーターを救うことができればと思い、私は日々Expressive Arts(以下EA)の授業をしています。

今日は、実技の授業で技能が発掘された、とある一人のリピーターのお話です。

上の二つの作品は、モンキーベイのNamazizi Primary Schoolに通う5年生のリピーター、「ルーシー」という女の子が作った作品です。

左の人形は昨年度の3学期、1回目の5年生として作った作品で、右のものは今年度1学期、2回目の5年生で作った作品

両方ともTDCでの展示では1位に輝いています。

この子はいつも、発想や工夫が秀でているのに加え、最後までこだわって作品を作ることができます。

授業でも忘れ物はなく、伝えていた物に+αで装飾品等を準備してくる、とても意欲的な子です。

一方で、他の教科の学習は得意ではありません。

もしEAで実技の授業がなかったら…

この子の才能は埋もれたままだったかもしれません。

意欲を評価されることもなかったと思います。

担任の先生は今、「この子は何をやらしても全然できないんだけど、EAの物づくりだけは凄いね。想像力が豊かで美しい作品を作ることができている!」と、彼女のスキルを評価してくれています。

大人の前であまり笑顔を見せてくれなかった子ですが、最近は笑顔で接してくれることが増えました。

作品が認められることで、自己肯定感が少しでも上がっていたら嬉しいです。

他の学校にも、実技のスキルがすごく高いのに、テストでは学級の下位で進級できなかった子がいます。

授業は講義式、テストは筆記のみ。

マラウイの主流の授業スタイルでは、「勉強が苦手な子」が中々救われない現状です。

「本当はスポーツがすごく得意なのに…」「本当は絵の才能があるのに…」

授業や試験のスタイル、「スコア第一」の価値観の中で、埋もれている子たちはまだまだ沢山いそうです。

EAの授業が、一人でも多くの子が能力を認められたり、自信をもったりできる場になるように、先生たちに実技と評価の重要性を伝えていけたらいいなと思っています。

Zikomo Kwambiri!!

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