2016/09/28 Wed
文化
ひつじ犠牲祭2016 ~本編~
さて、家族が屋上テラスに集まり、男性陣がTシャツ短パン姿でナイフやロープやらを用意しています。
近くにはすでにパラソル、テーブル、BBQセットが…
女性陣は野菜サラダを準備しています。
ひつじが連れてこられ、ロープで脚を縛り横倒しにし、あっという間に首にナイフが入りました。血と息が切り口から漏れ出し、バタバタともがきます。同僚家族は、いつもの様子とばかりに、淡々と血を排水溝に流していきます。
首の骨を折って頭を切り取り、そして足首あたりに小さな切り込みを入れ、自転車用の足踏み空気入れでその穴からシュコシュコと空気を入れていきます。
少しずつ、ひつじの身体が風船のように膨らんでいきます。これをすることで、肉から皮を剥がすのが簡単になるそうです。
一通り膨らんだら、次は足首から皮を剥いでいきます。両足首の骨を折って、腱のようなところにひもを通し、高い位置にあったパラボラアンテナの支柱に結び付けて逆さづりにしていました。
大人の身体と同じくらいのひつじと戦いながら、男性陣の服は、赤く染まっていきます。
ナイフと素手で、すべての皮を剥がしたら、次は腹を割り、内臓を出します。私は初めて、“内臓が白い”ことを知りました。胃や腸などの臓器はすべて白い膜に覆われており、そして、おなかから臓器が出てきた時は、血は一切出ませんでした。
そして、続いて肺を取り出しました。肺はピンク色で、ホースのような気官が付いています。
それら臓器をすべてとりだし、たらいにいれて洗います。
胃や腸は中身を割ると、消化される途中の草がたっぷりと詰まっています。それは、胃から小腸、大腸へと行くにつれて水分や栄養を取り込んだ痕跡が見られ、ほんの数十分前までは機能していたんだよと訴えかけてくるようでした。
中身をきれいに洗いだされた内臓たちは、みるみるうちに見覚えのある“食肉”へと変わっていきました。
ひつじという“生き物”は、人間の“食べ物”へと姿を変えました。
つづく
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