JICA海外協力隊の世界日記

マラウイ湖の魚は大洋の夢を見るか

イングランド戦だから早退します

こんにちは。
2016年7月、サッカー好きがW杯の次に楽しみにしている4年に一度の大会、Euro2016は何とポルトガルの優勝で幕を閉じましたね。

グループリーグ3位だったのに。
塩試合ばっかりだったのに。
サッカー面白くないのに。

個人的に色々言いたいことはありますが、ここマラウイでも決勝戦のフランス×ポルトガルの翌日、サッカー好きの同僚たちは相当落ち込んでいました。

(テンプレートの挨拶、How are you? の後にnot fineと返ってきていましたからね笑)

実は彼らはみんなフランスを応援していたのです。

ヨーロッパのチーム同士の試合なので日本人の私にもマラウイ人の彼らにも直接は関係はないはず。
私は好きな選手がいるからという理由でベルギーとクロアチアを応援していましたし、タレント揃いのスペインや最近はめっぽう強いドイツなど実際日本人のユーロ観戦者は応援するチームが分かれます。
でもマラウイ人たちの応援するチームはイングランドまたはフランスと相場が決まっているのです。

なぜかって?
私も不思議に思って聞いてみました。

そしたら
「They have many black players.」
と返って来ました。

なるほど!
確かにイングランドもフランスも黒人プレーヤーが多い。
フランスの決勝戦のスタメンは11人中7人が黒人でした。
もうあれはblack teamだよ!というのは同僚の言葉です。
それにただ黒人というだけでなく、〇〇はガーナ出身で△△はアルジェリア出身でと、出身国まで把握しているのには驚きました。

そのblack teamのフランスよりも人気だったのがイングランド。
確かに黒人プレーヤーは多いけど、半分くらいだし、チームの中心はルーニーたち白人だしなぜだろう。

「Why do you all support England?」

「Because we were colonized by Britain」

イギリスがマラウイの宗主国だということはもちろん知っていましたが、だから応援するというのはあまり納得がいかない…。
占領とか統治というとマイナスイメージじゃないかと聞いてみると、マラウイにとってイギリスは教育や国の制度を整えてくれた国というプラスのイメージも強く、国としても親近感があるのだと言っていました。
そんなものなんでしょうか。

加えて私見ですが、イングランドに対するプラスのイメージはイングランドプレミアリーグによって作られていると強く思います。
マラウイのサッカー好きは必ずイングランドプレミアリーグを見ており、マンチェスターユナイテッド、チェルシーやらの熱狂的なファンです。
そのプレミアリーグプレーヤーの多いイングランド代表は彼らにとっても馴染みのチームなのでしょう。

その大人気のイングランドの試合があったある日の午後、
「よし、今日は14時半に早退な。」
と同僚から声をかけられました。
イングランド対ウェールズというグループリーグ屈指のビッグマッチ、これをマラウイ人が見逃すはずがありません。

その同僚の誘いに乗り、私も含めサッカー好き5人が連れ立って早退笑
他の人たちもあーなるほど、と事情を知っている顔で送りだしてくれました。

「イングランド戦だから早引きします。」が通用する国
サッカー好きには最高じゃないですか笑

今まで日本で代表戦がある時に何度休みを取りたい…でも取れないというジレンマに苦しんだことか。

結局職場の近くのラウンジには20人ほどのサッカー好きマラウイ人が集まり、イングランドの劇的な逆転試合に大歓声を贈ったのでした。
まぁこのイングランドは決勝リーグでプロサッカー選手数が100人にも満たないというアイスランドに歴史的敗退を喰らうんですけどね笑

夜中の3時や4時ではなくゴールデンタイムにヨーロッパのサッカーが楽しめ、毎朝職場に行くと、昨日の試合は見たか?とかあのフリーキックやばいな、とかで始まる会話があった一ヶ月は楽しかったなー。

同僚が今朝言った

Night is getting boring without Euro.

という言葉が沁みる肌寒い7月のマラウイです。

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