2019/07/12 Fri
活動
生徒たちによるエイズ啓発の劇
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1か月以上経ってしまいましたが、5月22日、市内の中等学校にて、HIV感染予防啓発劇の上演が行われました。
これは、私の活動の一環で当該中等学校に設けたエイズ啓発クラブの生徒たちが主催し、同校の他生徒向けに行なったものでした。
劇は中等学校の生徒たちと女子生徒を買春しようとするHIV陽性の男性を登場人物として、この生徒たちの行動と交友関係からHIVの感染がどのように広がっていくか、を表現したものでした。
このブログでは劇の様子を動画でお見せすることはできませんが、下にあらすじを書きますので、どんな劇だったか、雰囲気を想像していただければと思います。
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カタリナはどこにでもいる普通の高校生。同じ学校にはアレックスという彼氏がいる。
ある日、女子生徒のカタリナは、授業が終わるとジョンという年配の裕福な男性(HIV陽性者)に会った。
お金を渡すことをちらつかせ、会おうと誘惑する彼の言葉にカタリナは乗ってしまう。
翌日、カタリナは友人のナタリーにジョンと知り合ったことを打ち明けた。
二人が話している間に、カタリナにジョンからの電話がかかってきて、ジョンはカタリナに500,000 FCFA(約10万円)払うから会ってほしいと伝え、カタリナはそれに同意した。
ジョンとカタリナはモーテル(ラブホテル・連れ込み宿の類)で会うことになった。
ナタリーはカタリナに幸運を祈るわ、と言葉をかけた。
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他方、ナタリーとアレックスが学校で出会い、彼らは恋愛関係になった。
アレックスにはナタリーがいて、ナタリーにもステファンという彼氏(アレックスとは友人関係)がいるにも関わらず、である。
そしてナタリーは、アレックスがカタリナの彼氏であることは知ることはない。
カタリナはジョンとタクシーに乗ってモーテルへ向かい、一緒に過ごしている。
カタリナは彼にコンドームを使うように頼んだ。しかし、ジョンは自分は何も病気にかかっていないと、コンドームの使用を拒否した。
そして彼はお金をカタリナに渡した。
6ヵ月後に、カタリナは再びアレックスに会った。彼女は何か具合が悪いことを訴えたのに対し、アレックスはカタリナに病院に行くよう説得した。
そしてカタリナはCTA(筆者も配属しているHIV・エイズ専門の外来診療所)で検査を受けた。
後日、カタリナは結果を受領し、医師と臨床心理士からHIV陽性と宣告され、嘆き悲しむ。
カタリナはナタリーに検査の結果を打ち明け、慰められる。また、カタリナはアレックスを呼んで、同じく結果を報告した。
ナタリーはHIV検査を受けることにし、彼女もHIV陽性であることが判明した。
そして、カタリナとナタリーはCTAでART(抗レトロウイルス療法:HIV陽性者がエイズの発症を防ぐために受ける治療のこと)を受けることにした。
それに対して、アレックスとジョンは治療をしなかったため亡くなった(ステファンはHIVに感染していない)。
最後に、すべての演者が一斉に「エイズは不可避ではない! 」とメッセージを叫び、劇は終わる。
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劇の上演そのものは、開催日の2週間ほど前に同僚と私がクラブの生徒向けに啓発に行った際に、クラブの生徒から発案があったのですが、その後の準備・当日の運営のほとんどがクラブの生徒たちと顧問の先生で行われ、我々側からの関与はあまりありませんでした。
上記のシナリオも生徒たちが自分で考えたものでした。
現地の人達が自分たちで一貫して行い、ボランティアの手がかからなかった、という意味では、草の根レベルの国際協力の活動としてはなかなか理想的な形であったのではないか、と思っています。
この点、同僚や学校の先生、生徒たちのお陰であり、皆理解のある方々ばかりであったことに感謝しかありません。
学校は、通常授業は5月で終わり、6月のバカロレア(中等学校卒業資格試験)期間を経て、9月までバカンスに入ってしまいます。
任期が9月までの私にとっては、活動でこのようなものを見るのはおそらく最初で最後の事であろうと思います。
エイズ啓発クラブの設立は市内5校で試みましたが、ひとまず1校、このような形で終われて良かったな、と思っているところです。
写真1: ジョンとカタリナがモーテルで会っているシーン。カタリナの手にはコンドーム、ジョンの前にはお金の入っている(設定)の封筒がある。
写真2: カタリナがCTAで抗体検査(HIV陽性か陰性かの検査)をするシーン。男子生徒(医師役)が着用している白衣、手袋、注射器(針は取り除いて)は当院から貸与しました。
写真3: 最後に全演者・裏方が一斉に「エイズは不可避ではない! 」と叫ぶ直前の場面。この後、皆で数歩前に出て、両手を高く掲げて、メッセージを発していました。
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