JICA海外協力隊の世界日記

コスタリカ便り

世界遺産

小国ながらコスタリカには3つの世界自然遺産と1つの世界文化遺産があります。自然遺産の1つは私が住んでいるグアナカステ県の保全地区で、地峡の中央に位置する火山から西側にある太平洋沿岸までの広大なエリアが指定されています。この写真はその火山の中腹から、遠くの太平洋を望んでいる様子です。唯一の文化遺産は南部にある先コロンブス期の首長制集落郡跡で、コスタリカのシンボルにもなっている石球が残っていることで有名です。大小様々な石球がありますが、製造された時期や方法目的は明らかになっていません。

さて、今回はコスタリカの歴史について感じたことを、少し述べてみたいと思います。当国の歴史は、1502年にコロンブスによって発見されるまでの先コロンブス期、その後、約300年続くスペインによる植民地時代、そして1838年の単独独立から現在にいたる3つに大きく分けられます。日本でしたら、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、鎌倉と続いていきますが、この国では紀元後1500年間の先住民の時代をひとくくりにしています。実際にコスタリカの青年に学校で習った歴史のことを聞くと、16世紀以前の出来事について習った記憶はほとんど無いと言います。下の写真は1502年にコロンブスが海岸から上陸した様子が描かれた絵です(黄金博物館展示)。

首都サンホセには国立博物館、ヒスイ博物館、黄金博物館があります。各博物館の展示品を一通り見学しましたが、先コロンブス期のものといえば、土器やヒスイ、そして小さな金の装飾品の類しかなく、「エッ、たったこれだけ?」というのが正直な感想でした。

歴史的な建造物では、120年前に材木以外は全てヨーロッパから持って来て建造されたと言われるコスタリカが誇る国立劇場は、近代の西洋建造物そのものです。また、前述のグアナカステ県の保全地区内には、1856年にウィリアムウォーカーが率いるニカラグア軍と戦った史跡には、当時の木造家屋が歴史博物館として保全されています。あとは様々なキリス教教会があるぐらいでしょうか。

その点、歴史や文化は日本の方が圧倒的にすごいと思います。コスタリカの知識人は日本が持っている古い伝統や文化に関心と親しみを持ってくれていて、新聞などで日本のことが記事になるのは先ず皇室関係です。それに続くのがゲームとかアニメでしょうか。政治や経済に関する記事はほとんど見かけません。11月に米国のトランプ大統領が日本を訪問しましたが、翌日のテレビニュースでは天皇皇后両陛下を訪問された様子だけが放送されていました。

一方、コスタリカに見習うことは、国に対する尊敬の気持ちでしょうか。国中いたるところに国旗がたなびき、大きな集まりでは全員が起立して国歌を斉唱します。また、毎朝 6時になるとテレビでは国歌が流れます。それから、9月15日の独立記念日には、グアテマラからリレーされてきた独立の灯を、学生が市内の中央公園で守り、市内全校の児童生徒たちが中心になって華やかなパレードを行います。この写真はリベリアの教会前で撮ったものですが、教会の正面に大きな国旗が掲げられています。コスタリカは軍隊を持たない国として大変有名ですが、その分国家はこうした行事や活動を通じて、青少年教育に相当力を入れていることが伺われます。

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