クズ・ザンポーラ♪ 幸せの国の農場便り♪(大橋隊員は帰国しました。)

RSS

大橋 和也
(東京都)

ボランティア/職種
青年海外協力隊
野菜栽培
派遣国
アジア
ブータン パロ県 ボンディ
一言メッセージ
ブータン西部の都市パロに有る野菜・果実の種苗センターで農業アドバイザーとして活動しており、ブータンの農業や食生活、習慣、文化等を紹介して行きたいと思います!!

 

GNH International Conference♪

2017.11.16

文化 社会 農業

クズ・ザンポーラ♪世界中の皆さん、こんにちは♪

日本も段々と冬に向かって寒くなるのと同時に、私の活動任地であるパロも朝晩の冷え込みは強くなり、ココ最近は農場でも朝からビッシリと霜が降りてきております。

その中で今回は先日、ブータンの首都のティンプーでGNH国際カンファレンスが3日間の日程で開催されており、私もそれに参加してきましたのでそのお話しについてご紹介をします♪

まず、そもそものGNHとは何か?と言う点からだと思いますので、そちらからご説明をしますと。

GNHとは国内総幸福量:Gross National Happinessの頭文字になります。

このGNHは1972年に時のブータン王国の第4代国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクの提唱により紹介された言葉で、世界各国はその国の経済的な「豊かさ」の指標として国内総生産:GDP(Gross Domestic Product)を用いてその経済性を追求するのに対して、ブータンでは国民全体の幸福度を測る上で精神面の「豊かさ」を示す国内総幸福量:GNH(Gross National Happiness)を追求しようと言う方針がブータンには存在します。

この国民総幸福量:GNHと言う指標の向上を国の政策に反映させる事をブータン王国政府は行っている為、ブータンが他の国々から「幸せの国」と言われる理由の一つとされております。

今回の国際カンファレンスではその物質的な豊かさの追求とは異なる精神的な豊かさの「GNH」と「ビジネス」との関係がテーマとなっており、私自身もこのブータンに来る以前から「GNH」には興味が有り、「ビジネス」とどの様に関わるのかが知りたく、その中でも「農業」の話題が話される2日目に参加して来ました♪

この写真は会場に入った際に渡されたリーフレットの一つで「アジア圏のオーガニック農業」を提唱する組織によるモノでした。

「Organic food for all」のスローガンの下にブータンだけではなくカンボジアやミャンマー、タイ、ベトナム等でも活動されており、ブータンでは今回主催であるGNH研究所等がオーガニック種子の生産ネットワークを作り、地方の小規模農家の為にシード・バンクを築き、オーガニック種子生産のプラットフォーム形成に役立てております。

Seed bank:シード・バンクと言う言葉はまだ日本では聞き慣れておりませんが、世界中には様々な性質や遺伝子を持った種子が存在しそれらの特徴を持った種子を病気や災害、戦争等から守る為の活動で、それらは生物多様性の観点からも重要視されている事です。

私の任地での活動は現地の種苗センターであるNational Seed Centerにてローカル品種である野菜の種子の生産・維持管理と言う側面も有り、このシード・バンク事業はとても興味深いモノでも有りました。さらに、この考え方がGNHに繋がりが有ると言うのは個人的にも新たな発見となりました。

そして、一番関心を持った点が。

タイの方の講演の中でGNHの向上を目指す上での農業経営手法の一つとして地域支援型農業 CSA:(Community-supported agriculture)の紹介が有った事に改めて関心しました。

このCSA 地域支援型農業と言うのは農業生産者と消費者(生活者)が連携して、前払いによる農産物の契約を行い、相互に支え合う仕組みの農業経営形態の事を言います。

このCSAは1980年代から欧米圏を中心に広がり、私自身もブータンで活動をする以前に1年半の間、アメリカのカリフォルニア州にあるオーガニックファームでCSAによる農業経営手法を学んでおりました。

その中でこのCSAと言うのは農作業や出荷作業等の一部の農場運営業務を顧客である生活者と共に行っていました。さらに、その方々も支援する農場が自分達にとっての「大切な台所」であると認識して、農場経営のリスクを共に共有する仕組みで信頼関係によって成立する農業経営でした。

ただ、今回のGNHカンファレンスでこのCSAが紹介された事で確かに、CSAと言うのが農場経営手法の一つでありながら、有機農業の振興、コミュニティー形成の基盤構築、都市間交流、食糧確保、農業経営の安定化、当該地域への多面的な波及効果等が存在しており、それらが農業ビジネスとしての物質的な「豊かさ」の提供みならず、精神的な「豊かさ」をも供与する事を思うとGNHに即した一つの農業ビジネスなのだと改めて、実感をしました。

けれども、まだまだこの様な考え方は日本では定着されておりませんが、そもそものCSAの考え方の原点は日本の生活協同の「テイケイ」と言う考え方を基にして欧米圏で発展した事を思えば、日本もまた農業ビジネスでGNHを高める事が可能なのかもしれないと感じました。

改めて、今回はこの国際カンファレンスにブータンを含めたアジア圏のみならず、スペインやオランダ、ロシア、アメリカ、ブラジル等の国々の人達が様々なテーマでGNHに関して話し会い、多くの知見を得ておりました。

自身も今回の投稿では「農業」に関しての項目のみですが、それ以外にGNHの向上を可能にするビジネスやGNHと対立軸となり得るだろうビジネスとどの様に繋がっていくのか等、それまで不明確な点の多かった「GNH」が少しばかり理解出来た気がしました。

それでは、最後にこのカンファレンスでは裏テーマとも感じた「持続可能な開発目標」SDGs:Sustainable Development GoalsGNHの関係を国連開発計画 UNDPの方が示した言葉を紹介して終わりたいと思います。

Marrying responsible business with Gross National Happiness and the Sustainable Development Goals.