JICA海外協力隊の世界日記

バングラデシュ便り

日本遠征(東海サマーサッカーフェスティバル2025)〜国際大会出場をかけて〜

初めまして。2023年度4次隊_サッカー隊員_田口 海です。

8月12日-19日にかけて、私の配属先の生徒(バングラデシュU17サッカーチーム)を連れて日本へ遠征に行って来ました。

まず最初に配属先について簡単に説明します。

当該国唯一のスポーツ学校(中高一貫)で、現在約21種目の競技を扱っています。

そして、

ナショナルチームやオリンピック選手の多くはこの学校から輩出されています。

国内では非常にレベルの高いエリート学校であり、今回の日本遠征メンバーもスポーツ学校に所属しています。

来日したメンバーは、来月行われる南アジア大会のバングラデシュU17代表としてプレー予定の選手たちです。

そんな選手たちに密着しながら、以下の手順に沿って執筆したいと思います。

長く拙い文章で申し訳ありませんが、最後まで読んでいただけたらとても嬉しいです。

【目次】

❶はじめに〜本遠征に関して〜

❷遠征が実現するまで

❸いざ日本へ!試合結果は?!

❹選手密着

❺社会勉強(長崎)

❻日本のプロサッカーの迫力をスタジアムで体感(佐賀)

❼最後に

❶はじめに〜本遠征に関して〜

本遠征の目的はたった一つでした。

それは、、、「国際大会出場」

私は配属先の学校局長に今回の遠征についてプレゼンする時、「パフォーマンス次第では国際大会へ出場できる」とはっきり言いました。

そして参加した大会は、「東海サマーサッカーフェスティバル2025」。

東海大学附属福岡高校さんが主催で毎年開催されているフットボールコンペティションです。

バングラデシュチームが国際大会へ参加する実力があるかどうかを見てもらう為、私のコネクションを通じて招待して頂いた大会がこの東海フェスティバルです。

日本の高校生は毎年夏のこの時期に、来月から始まる各都道府県全国高校サッカー選手権予選に向けてチーム力を上げるため、合宿や大会が行われます。

夏の東海フェスティバルには全24校が一斉に同じ会場に集まり、試合を行いました。

全国高校サッカー選手権出場常連校や優勝経験校も参加し、とてもハイレベルな環境の中、参加できました。

【フェスティバル詳細】

▪︎期間:8月13日(水)-16日(土)

▪︎主催:東海大学附属福岡高等学校サッカー部

▪︎共催:グローバルアリーナ株式会社

▪︎協賛:アディダスジャパン、株式会社モルテン、株式会社ミカサ

▪︎後援:東海大学附属福岡高等学校サッカー部父母の会

▪︎会場:グローバルアリーナ、東海大学附属福岡高等学校他

▪︎参加チーム:写真の通り

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❷遠征が実現するまで

2025年3月、配属先で本件のプレゼンを実施してから半年間、日本滞在中も含めて毎日走り回っていました。

学校局長が「日本へ連れて行く」と言ってから、多くの準備と時間がかかりました。

スポーツ青年省からの渡航許可書、VISA申請書類多数、学校からの予算確保、募金活動、ホスト校と主催者へのリクエスト、JICA九州センターはじめ関係者との連携、チーム指導及びマナー指導(特に挨拶とクリンリネス)等々・・・

様々な要因が絡まり、仕事が途中で止まる・書類が途中で止まる、ということが多々ありました。

常に自分が主導で動き、動きが鈍ければ学校局長からトップダウンで動くよう伝えてもらったりと、

日本に行ってから帰ってくるまで気が抜ける瞬間は全くありませんでした。

そのおかげか、

他人を巻き込む力とマネジメント力、そしてコミュニケーション力は、

以前より身についたのかなと今、振り返って感じています。

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※日本遠征チーム指導(セレクション)

❸いざ日本へ!試合結果は?!

8月12日、タイ・バンコクを経由し、翌日の13日朝8時、日本・福岡へチームは無事に到着しました。

初めての長距離移動、初めてのタイ・バンコクでのトランジット、初めて乗る大きい飛行機、

そして初めての日本上陸...、

試合前から初めての経験ばかりで全員の目がキラキラ輝いていました。

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※出発前(シャージャラル空港_バングラデシュ)

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※宿舎での初めての日本食と箸

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※人生初のドリンクバー、毎日が驚きの連続

日本へ着いて、その日の初日の練習を軽く終え、いよいよ翌日から3連戦スタートです。

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※日本での初日の練習を終えてチーム全員で集合写真

試合結果は写真と共に振り返ります。

第1試合 vs 東海大学附属福岡高等学校Aチーム(インターハイ福岡県予選3位)

なんとなんと1-0で勝利!!大事な初戦を勝つことができました!!!

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※勝利の歓喜の瞬間。福岡在住の多くのバングラデシュ人も応援に駆けつけてくださいました。

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※スコアラー!勝利の立役者。リファッド君(FW)。バングラデシュU19代表(飛び級選出)

第2試合 vs 岡山学芸館高等学校Aチーム(インターハイ出場、岡山県代表)

この日の対戦相手は今年の夏のインターハイ出場チーム。そして、2022年冬の全国高校サッカー選手権優勝チームとの大一番です。

ここで勝つことができれば、国際大会出場に向けて大きなアピールチャンスになるぞ!!っと、

試合前、選手たちに喝を入れて送り出しました。

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※試合前ベンチの様子

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※スターティング11

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※点を取られては、取り返す!

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※前半2-3で折り返し。3失点するも選手たち自身でコミュニケーションを取り、奮起!

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※後半も一進一退の攻防が続きます。

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※苦しい試合展開でしたが、選手たちは最後までよく頑張りました!!!

残念ながら2-5で敗戦。優勝経験校相手に2点を取ることができたのは大きな収穫です。

この試合後選手たちは非常に落ち込んだ様子でした。

理由は、国内では負け知らずの学校で、「周りに敵なし」という環境でサッカーをしてきているので、

このような負け方はサッカー人生で初だったからです。

人のせいにしない、矢印を自分に向ける、負けから学ぶことはたくさんある、良い経験になった、と、

選手たち自身に私から言い聞かせ、選手は前を向き、翌日の試合に向けて気持ちを切り替えました。

第3試合 vs 鹿児島城西高等学校Bチーム(インターハイ鹿児島予選2位)

日本遠征最終試合。昨日の敗戦から一夜明け、チームの士気も最高潮。準備万端です!!

いざ大迫勇也選手(元サッカー日本代表_現J1ヴィッセル神戸所属)の母校、半端ない高校との一戦です。

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※試合前集合写真。対戦相手とバングラデシュU17チームが一緒に撮影しました。

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※試合前円陣。キックオフ!

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※前半から激しくぶつかり合います。後半も両者一歩も譲らない試合展開に。

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※試合終了。

結果は、2-2の引き分け。

よって3試合合計、1勝1分1敗という結果になりました。日本の高校生相手にとても良い結果をバングラデシュへ持って帰れたかなと思います!

そして実はこの試合後、対戦相手であった鹿児島城西高校サッカー部とバングラデシュの高校生とで国際交流を実施しました。

その様子を写真で簡単に振り返ります。

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※対面で一緒に夕飯を食べてもらいました。

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※夕飯後は夏ならではの遊び(花火)で一緒に楽しみました!

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※花火後はそれぞれがダンスと歌で盛り上がりました。

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※最後は鹿児島城西高校の生徒からMIZUNOのメッセージ付きボールをバングラデシュの生徒へ寄贈して頂きました。

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※全員良い表情しています!

たとえ言葉は通じなくても、心と心を繋げるスポーツの力は物凄いと思います。

日本の高校生、バングラデシュの高校生、両者にとって忘れられない一日になったのではないでしょうか。

私はスポーツの素晴らしい瞬間に立ち会うことができて本当に幸せでした。

❹選手密着

そして、

日本の高校生(強豪校)と3試合を終えた選手3名にインタビューを実施しました。

まず1人目は、ファイサル君(MF)IMG_3569.jpeg

※バングラデシュU16.17.18.19代表キャプテンそして日本遠征のキャプテン(U18.19代表は飛び級選出)

コメント:

「日本の高校生と3試合実施して、多くの学びを得ることができました。スピード、フィジカルどれも私たちよりも優れていて、とても良い経験を彼らから貰いました。」

2人目は、リドゥアン君(DF)

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コメント:

「日本の高校生と試合をして、私たちの何が間違っていたのか、これからどんな練習をしなければいけないのかを試合を通じて学ぶことができました。そして、日本の選手からメンタリティ、規律や姿勢、冷静に物事を捉える等、多くの経験を得ました。」

3人目は、アリフ君(GK)

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※バングラデシュU16.17代表

コメント:

「日本は本当にたくさん学ぶ場所があって環境がとても整っていてすごかったです。日本の高校生は本当に頑張るし、よく走る。私たちもそれを見習って普段から一生懸命取り組まなければならない、強いメンタルを持って。本当にたくさんの学びを得ることができました。」

是非ともバングラデシュへ戻ってからも、試合を通じて得た学びと経験を忘れずに、取り組んで欲しいと願っています!

❺社会勉強(長崎)

最終日は、1日フリーとしました。この日、まず最初に訪れたのは長崎原爆資料館です。

生徒たちは、学校で広島・長崎に原爆が落とされたことを学んでいます。

今年は原爆が落とされて80年の節目の年。折角なので、社会勉強も兼ねて自分の目で直接見て、日本がどんな状態からここまで発展したのかを見てもらいました。

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※生徒たちは中の展示物を見て、言葉を失い、中には少し涙ぐんでいる生徒もいました。

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※最後は平和公園で記念撮影。

実際に資料館へ訪れて、直接見た感想を生徒1名から頂きました。

コメント:

「学校で学び、先生方からも日本の原爆について聞いていたので知っていました。しかし、今回初めて訪れて自分の目で直接見て、本当にショッキングで驚いています。携帯で写真を撮ったので、自国へ戻って家族や友人に見せて、共有したいと思います。」

生徒自身がそれぞれ何を感じて、何を思ったのか、それをバングラデシュに持ち帰って、今回の経験を活かしてもらいたいですね。

❻日本のプロサッカーの迫力をスタジアムで体感!(佐賀)

そして、場所を移動して19時からは日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)を観戦!!

J2リーグサガン鳥栖vsVV長崎の九州ダービーが佐賀の駅前不動産スタジアムで行われました。

観客動員数は今シーズン最多の約17,000人!非常に好カード、好試合を生徒たちは見ることができました。

こちらも写真で振り返ります。

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※スタジアム前。入場者特典で貰ったサガン鳥栖のマスコットキャラクタータオルを被って写真撮影!

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※スタジアム内。

彼らにとってはもちろん驚きの連続です。試合中は目が点になるほど夢中になって見ていました。

日本の環境、スタジアムの雰囲気、ファン・サポーターの迫力ある応援、スタジアムグルメ(屋台)、全てが初めて見る体験でしたね。

とても有意義な時間になったのではないでしょうか。生徒たちに試合どうだった?と尋ねるとこんな嬉しい答えが返ってきました。

「僕は今日、目標を貰いました。バングラデシュで活躍して将来、日本のようなサッカー先進国でサッカーがしたいです。その為に全力で頑張ります。」

これを聞いた瞬間、サッカー観戦の企画をして良かったなと心の底から思えました。

❼最後に

ここまでとても長くなり申し訳ございません。

無事に日本遠征を終えて、ホッとしております。物凄いプレッシャーと不安がありました。

バングラデシュ国内からも注目して頂き、多くのメディアに取り上げて頂きました。日本人の方々からもたくさんの支援金や支援物資、ご声援を頂き、私1人の力では到底成し遂げられなかったプロジェクトだったと思います。

支えてくださった全ての方々に心より感謝申し上げます。本当にありがとうござました。

次なる目標は3月のサニックスユース国際大会参加です。今回と同じ、グローバルアリーナで行われます。また1から交渉が始まりますが、バングラデシュサッカー発展の為、より強いチームと対戦できる機会を提供できるよう、そして、私がいなくなっても持続可能な関係性が築けるよう残りの任期を全うしたいと思います。

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