2026/06/23 Tue
活動
住居公開!ブータン現代アパートの3Dモデルを作成しました [ 後編 ]

(↑私が住んでいるアパートのLDK内観)
住居公開!ブータン現代アパートの3Dモデルを作成しました [ 後編 ]
BGM
みなさん、こんにちは。建築隊員のyutaです。
今回は前編の続きで、アパート内部を紹介します!
前回の記事:住居公開!ブータン現代アパートの3Dモデルを作成しました [ 前編 ] | ブータン便り(ブータン事務所) | JICA海外協力隊の世界日記
*3Dや図面は実際の住居とはやや異なります。あくまでイメージですので、参考としてご理解いただければと思います。
初めの画像を見てお気づきの方もいるかもしれませんが、ブータンの住居に玄関(右奥)の小上がりがありません。床は同じ素材のタイルで連続しているので、靴のままキッチンまで入れてしまいます!私はスポンジテープで玄関とキッチンを区切っていますが、ブータン人の方のお家にお邪魔すると、ドア付近(外でも内でも)に靴が並べられ、床の切り替えが無いことがほとんどです。

(↑部屋の実測メモ:実務の場合はもっと綺麗に書きます、、、)
上記のような違いは簡単に見つけられるのですが、もっと細かい違いを探りたくて、実測・図面起こしをして3Dモデルを作ってみました。
(↑平面図:実測メモを基に図面起こしとモデリングを行いました)
実際に書いてみると、やはり、開口部(窓やドア)が多い!そして大きい!
日本人と変わらない体格のブータン人のお家であるはずなのに、西洋人規格かな?と思うくらい開口部が大きいです。もしかしたらそれはボン教(シャーマニズム系)を基にする宗教や自然を大切にする意識から来ているのかもしれません。もちろん大家さんが外国人向けに作ったのかもしれませんが、他の家も開口部が大きいです。
建築の観点からいうと、日照や換気にもってこいなのですが、冬の寒さには厳しく、それに伴う、電気代・環境負荷も発生するな、とも思います(冬は実際に寒かった)。

(↑私が住んでいるアパートのMBr内観)
やはり開口部が大きいですね。窓を開けると落下してしまう恐れもあるので、掃除のときだけしか開けていない窓もあります。しかし、MBr(マスターベッドルーム)の窓からは十分すぎるくらいの朝日が降り注ぐので、少しカーテンを開けておけば、目覚ましは必要ないです、鳥と日光が朝を教えてくれます(あと犬も)。
それでは内部全体の紹介動画です。
8mbkawajangsaアパート.mp4
(↑全体動画)
改めて書きますが、実物とは異なります。また、隊員によって住環境は大きく異なります。私のこの住居はかなり綺麗に見えますね、期待・嫉妬は禁物!)
ということで、ブータンの現代アパートの紹介でした。意外なことや新たな発見など、ブータンを知るきっかけの一つになれば嬉しいです。
それではまた!
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~ここからはニッチな方向け~
ブータンでは風水を信じられている方がいるため、北側玄関などの方位と配置には気を配ります。
前回の記事に書いた通り、ラブセ(意匠窓)は上階にいくにつれて大きくなります。それに伴い、床を起点とした内部空間も少しだけ大きくなっていきます(平面図の左下窓部分です。床が少し拡張されていることがわかります)。ラブセは外部の装飾性と内部空間の微拡張性を有していると言えます。
窓としての機能は過剰すぎる大きさと個数です。それは外観の装飾性にプライオリティがあるからだと感じています。採光と換気性能は高いですが、網戸の概念が少ないので、虫が入り放題なのもブータンの殺生禁止・生物志向主義(バイオフィリズム{バイオフィリアが語源:私の造語です})に少し通じるものがあるかもしれません。前記の通り、冬はもちろん寒いのでヒーターによるエネルギー負荷は避けられませんが、今では電気ヒーターが主流であり、唯一のカーボンネガティブ国家となっている理由の一つでもあるでしょう。
装飾は壁と開口部、柱梁のペインティング・伝統形状が主(前記事の外観などをご覧ください)で、建築空間に直接的な相互関係を持ちません。伝統的な意匠を凝らしたブータン建築はロマネスク〜ゴシック的な象徴性と、バロック的な華やかさを合わせた存在とも言えるのではないでしょうか。現在はそれら意匠が限定的(路面のみの装飾が多い)ではありますが。すべての建物の装飾(色や形状、モチーフなど)が細部まで統一されているわけではない(語弊があるので補足すると、完全なるコピーではなく、職人さんの個性が少し出ている感じ)ので、外観の細部の装飾性は都市計画的に統一されているというより、個々の建物の意匠として独立しています。その独立した個々の集合体が都市の景観を形成していると言ってもよさそうです。
内部の実測では柱や壁の寸法が統一されていないことが分かりました。それは内壁レンガや外壁RCブロックの表面にあるプラスターの厚みがバラバラなことが原因で、素材(レンガやRCブロック)を調べれば判明します。その上にカラーリングされて内装が浮き上がることになりますが、開口部が広いブータンの部屋に光が差し込み、壁表面の凹凸がレリーフとなり、陰影を最大化します。これを偶発的な装飾と捉えてみるか、ヘルツォーク&ド・ムーロンの「物質と結びついた装飾」という過大解釈した捉え方もできるかもしれません。
微拡張性と大開口、プラスターのレリーフが現代アパートの内部調査を通して得られた、私の中でのキーワードとなっています。何かわかりましたら追記しようと思います!
長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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