JICA海外協力隊の世界日記

ブータン便り

最後の挑戦 ブータンの空の下で〜

皆様こんにちは。

ブータンで柔道隊員として活動していました福井勇貴です。

今回を入れた残り2回の私の世界日記も多くの方々に見ていただけると幸いです。

前回は20243-2024年9月までの活動について紹介させていただきましたので、今回は、「任期最後の半年間」となる202410月―20253月までの私の活動について紹介させていただきます。

前回記載したように20249月中旬に私たちは、タイで開催されたThailand International Judo Tournamentに出場し、その大会後には、2週間の休暇が設けられました。

休暇が明けて私が一番初めに行った活動は、この国際大会のビデオを使った反省会です。

この反省会を行った大きな目的は、次世代の代表選手の育成です。

私たちの協会は世界的にものすごく小さな柔道協会ですが、それでも国際大会への挑戦を行ってきました。そして現在の代表選手層は、おおよそ10人程度です。

そんな中で、ブータンから出場した代表選手の動画をもとにそれぞれの選手が他人事にならないで、自分事として大会結果・内容に対して主体的に考えてほしいというのが狙いで、この活動を積極的に行ってきました。

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この反省会が終わり、学校に通っている選手たちの冬の期末考査前に行われる事前試験が始まったことにより、例年ブータン柔道協会が参加させていただいていた日本週間イベントには柔道としては参加せずに、今回はJICAブータン隊員として他の隊員とのブースを実施しました。


そのブースは体育に触れるというもので、小さい子供たちから、大人まで幅広く楽しめるアクティビティを用意して実施しました。また、このブースとは別に他の隊員によるねぶた祭りの余興に参加させてもらいました。私のブータン人の友人たちもこのイベントに参加してくれました。

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このイベントが終わり、ブータン柔道協会にとってものすごく大きなプロジェクトがスタートしました。それは、ブータン柔道にて初めて策定する柔道ライセンス制度です。

このプロジェクトが始まったきっかけは、9月の大会が終わりブータンに帰国してから協会運営メンバーで行われたミーティングでした。

このミーティングは、私たちが年間計画に基づいて出場した国際大会の終了後、今後の方針を決定するために行われたものです。ブータンにおける柔道のさらなる普及を目指し、コーチの質を向上させるために、国内でコーチライセンス制度を策定する必要性が話し合われました。これを受けて、12月初旬に初めてのコーチライセンスセミナーを実施することが決定され、それに向けてコーチ陣とともに内容の作成に関する多くのミーティングが行われました。

それから私は、10月から12月のセミナーまでの期間全ての時間をかけて、このコーチライセンス制度、セミナーに関するガイドハンドブックを作成しました。


この記念となる第1回コーチライセンスセミナーにかかるライセンスガイドハンドブックの作成をすることができて、ものすごく光栄に思います。

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そして124日から2週間にわたり第1回コーチライセンスセミナーが実施されました。

このセミナーでは、柔道の歴史、作法からルール、基本的な柔道の動き、柔道アクティビティ、柔道指導法、安全指導、指導実習、試験を実施しました。

参加者は、おおよそ20名で、ものすごく有意義な時間にすることができました。

そして、セミナーの最終日には、柔道の歴史や作法、ルールなどの座学による筆記試験、柔道の基本的な技、投の形による実技試験を実施しました。

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そしてセミナー開始から2週間後の1218日に無事に第1回ブータン柔道コーチライセンスセミナーを終えることができました。

このプロジェクトで私は、全体調整、内容作成、ハンドブック作成を行いましたが、第1回目というブータン柔道にとってとても重要なタイミングでこのプロジェクトに携わることができて、とても貴重な経験をすることができたと思います。今後さらにこのライセンス制度をもとにブータンで柔道が普及していくことが楽しみです。

コーチライセンスセミナーが終わり、学校に通っている選手たちの期末考査も終わり、例年の通りWinter Judo Campが始まりました。

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キャンプから1週間後の1225日には、その日練習に来たジュニア、シニア選手、コーチ陣で、例年のように交流の意味をこめてクリスマスパーティーを行いました。選手たちはみんな笑顔でケーキを囲んで色々な話をしていたので、企画した私もとても嬉しくなりました。

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また、今回のこのWinter Judo Campでは、柔道のトレーニングや稽古はもちろんそれ以外のスポーツにも色々挑戦して、その動きなどを柔道に活かしてほしいという思いから、午前中のトレーニングの時間では、フットサルやバスケットボールなども積極的に実施しました。

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Winter Judo Campが始まって約2週間が経った1230日には稽古納めを行い、31日には全員で柔道場の大掃除を行いました。

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稽古納めを終えてから、13日までは正月休暇を全員でとり、4日に稽古はじめを行い、また新年新たな気持ちで、全員で柔道に打ち込みました。

再開して約2週後の14日にはWinter Judo Camp21日にはWinter Color Belt Testを開催しました。

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そして、このイベントから約1週間後の210日から、Supports for Tomorrowのプロジェクトで日本からブータンにやってきた3人の学生たちと柔道キャンプを行いました。

このキャンプでは、ブータン柔道協会がホストになり、学生の皆さんに柔道の動きを使ったエクササイズや技の指導、乱取りを選手たちと共に行っていただきました。

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日本の学生の皆さんとのコラボキャンプが始まって、1週間後の日曜日には、選手交流を目的としたブータンで有名な寺院へまでの登山をしました。

柔道以外での交流イベント、日本の学生の皆さんとのふれあいで子供たちは心を踊らせた様子で、私もとても嬉しかったです。

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そして、18Supports for tomorrowとのコラボ柔道キャンプは最終日を迎えて、学生の皆さんには、最後選手たちへ向けてスピーチを行っていただきました。

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このイベントが私にとってもブータンでの最後のイベント運営ということで少し寂しい気持ちになりました。

イベントが終わり少し経ち37日が私のブータン柔道協会での活動最終日でした。

最終日の稽古では、多くの選手たちが稽古に参加してくれて、コーチ陣の計らいで私の送別試合を選手全員と行いました。

この日の稽古参加数は50人ちょっとでした。

ということは、私は50人以上と試合を行ったんです。笑

流石に50人以上と1日に試合したのは、20年以上ある私の柔道人生でも初めての経験でした。最後は代表選手クラスやコーチとの対戦で体力はとうに切れてヘロヘロでしたが、ブータンで最後の活動にはとってもふさわしい、最高の思い出になりました。

実は、この試合の3日後まで筋肉痛でした。笑

最後の整列の後スピーチの時間をもらい、少しだけ全体に向けてスピーチをさせていただきました。50人以上との試合の直後で、思考もできない状態でのスピーチでしたが、この3年間の全員に対しての感謝、どんな思いを持って指導をしていたのか、今後についてお話しさせていただきました。スピーチをしている時多くの選手、コーチたちが涙を流してくれている様子を見て、私自身ものすごく泣きそうになりましたし、これまでの3年間という活動の時間がフラッシュバックしてきました。その時私は選手たちを見て思いました。それは「この3年間色々な問題や気持ちの浮き沈みがあったけれど、この3年間の活動、選手たちと過ごしてきた時間は決して間違っていたことだらけではなかったな」ということです。

この気持ちについては次回の最後の章で詳しくお話しさせていただきたいと思いますが、最後のブータンでの素敵な活動の時間でした。Picture16.jpg

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というような感じで、今回の「残り任期半年」について、を終わりにしたいと思います。

次回は、「帰国前、帰国」についてお話しさせていただきます。

次回が私の3年間の活動報告の最後の世界日記になります。

これまで多くの方々に読んでいただけてとても嬉しく思います。ありがとうございました。

最終話も少しでも多くの方々に見ていただけると嬉しいので、どうぞよろしくお願いいたします。

また過去2年間分の私の詳しい活動内容がNPO法人JUODsさんのウェブサイトにて記載されています。今回少し記載させていただきました、インド合宿から詳しい活動報告が掲載してあります。

もしお時間がある方は、そちらも見ていただけると幸いです。

-JUDOsカディンチェ柔道日記リンク-

https://judos.jp/category/activity/publicity/report/bhutan/



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