JICA海外協力隊の世界日記

ブータン便り

コーヒーはお好きですか?では、ビンロウは?

(↑ブータンのコーヒー屋の看板ネコ:気合入ってます)

コーヒーはお好きですか?では、ビンロウは?

Flicker

みなさんこんにちは。建築隊員のyutaです。
1つ前の記事では、私の建築活動を少し紹介させていただきました。
前の記事:ブータンの学校見学、設計のヒントを求めて | ブータン便り(ブータン事務所) | JICA海外協力隊の世界日記

皆さんも日常的に嗜好品を嗜んでいますよね?コーヒーやビールなどなど、、、では、ビンロウはお好きですか?

そうです、アルコール、ニコチン、カフェイン、これらを含む嗜好品と同じように、実はビンロウが含む成分は世界で多くの人々に愛用されている物質だそうです。
かなりの数の人々がが常用するようで、コーヒーやエナジードリンクを欲すると同じように、諸外国ではビンロウを嗜む文化が存在しています。

というのも、ブータンに来たら目に入る白い指跡や道についている赤い吐き跡はビンロウに関連する嗜好品によるものなのです。

今回はそのブータンの嗜好品「ドマ」について触れたいと思います!

(↑ブータンのドマ:JICAブータン現地人スタッフの方の記事から画像を拝借しています)

一体、「ドマ」とは何ぞや?と疑問に思う方が大多数だと思いますので、ちょっと解説を。

「ドマ(Doma)」は、ビンロウの実などを噛む、ブータンで広く親しまれている伝統的な嗜好品です。
来客へのおもてなしや、人との交流、儀式などにも使われます。
伝統的なドマは、主に次の3つからできています。
・ドマ: ビンロウの実(Areca nut)
・パニ: キンマの葉(Betel leaf)
・ツネ: 石灰(lime)

ブータンのドマの咀嚼方法は、まずキンマの葉という艶やかな葉っぱに石灰と謎の粘着物を混ぜたピンク色のタレ?を塗布します(何が混ぜられているのかは分かりませんでした)、そのうえに乾燥したビンロウの実を乗せて、葉っぱをくるめて口に含みます。よく噛んで独特の苦みや渋みを味わい、刺激や軽い覚醒感を楽しみます。
18か月経過した私のブータン生活には縁がなかったようです。機会はありましたが、1度も試したことはありません。いつか試すぞ!きっと。

WhatsApp Image 2026-10-23 at 14.34.12.jpeg
(↑電柱に付いた白い指跡)

ドマをよく噛んだため、口が赤いブータン人をよく見かけますが、街中で見かけるのはその吐き出された赤い跡だけではありません。ドマを作る際などに指についた白いペーストを、標識のポールや建物の外壁、塀などで拭うことがあるようです。つまりどうなるかというと、街のいたるところに指で拭いた白い石灰の跡が残っているのです。ちょっとホラー要素もありますが、原因が分かれば気にならなくなりますし、もう慣れてしまいました。

伝統的なドマの詳しい内容・解説はJICAのブータン現地人スタッフの方が記事にされているのでこちらを参照ください。
Doma: A Bhutanese Tradition with a Bite|ドマ: ブータンの伝統的な嗜好品 | ブータン便り(ブータン事務所) | JICA海外協力隊の世界日記
ブータンの方のアイデンティティと、どのように結びついているか、その一端が分かるかと思います。

(↑柱につけられた白い指跡と床部分に付着した赤い吐き跡)

これらの跡は街の景観に関係しますが、独特な跡がついている街も、それはそれでブータンらしいと言えると思います。個人的には、何もかもが徹底的に排除された街(逆にホラー要素を感じる)よりも、そこに根付いた文化や生活習慣が表れた街の独特な雰囲気は、そこに暮らす人々の営みが感じられ、私は好ましく思います。

それではまた!

__________

ここからはニッチな人向け。

ブータンではドマと呼ばれる嗜好品。調査していると、たまたまパプアニューギニアの記事を見かけて、同じビンロウを用いていること気づきました。
約4800km離れたこの国々でどんなつながりがドマで結ばれているのか、興味が湧いたので調べてみました。
道に残る赤い跡の正体 | パプアニューギニア便り(パプアニューギニア事務所) | JICA海外協力隊の世界日記

ブータンではドマ、パプアニューギニアではブアイ、地域によって呼び方は違いますが、元となるのはビンロウの実です。口に含むと刺激を感じ、気分が高揚することもあるビンロウ。数千年にわたり、ある地域では儀礼や信仰と結びつき、またある地域では日々の労働や人々の交流を支える嗜好品として、生活の一部に根付いてきました。
調べていくと想像以上に複雑な事柄が分りましたが、長くなるので省略しますが、ご興味のある方はビンロウの歴史について覗いてみてください、その地域の文化や習慣、宗教など、人間の多くの側面と結びついています。

ブータンでもパプアニューギニアと同じように道端に赤い跡が散っていることが多くあります。
特に側溝や道に開いた小さな穴は結構赤いです、そこに吐く習慣と言いますか、せめて見えにくいところに吐こうという意図が感じられます。

さてそのドマとブアイの元、ビンロウはどこから来たのか、実は紀元前約3000年以上も前から人間は咀嚼しており、フィリピンあたりの東南アジア周辺が始まりだとされているようです。
パプアニューギニアを含む太平洋諸島には紀元前約1500~1000年頃に伝搬され、ブータンが含まれる南アジアでは紀元前約1500年頃にアーユルヴェーダで利用されるようになったようです。
さらにはアフリカの一部にまでも伝搬していった歴史がありそうです。
※年代は考古学的証拠が見つかった時代と、習慣が始まった年代に差があるかもしれませんので、そのころなんだろうなぁという大体の認識でお願いします!

  • フィリピン:ドゥヨン洞窟というところに最古の考古学的証拠があるらしい。(紀元前数千年以前?)
  • 太平洋諸島:アウストロネシア人の拡大とともに伝播したよう。(紀元前千年頃?)
  • 南アジア:インドの「パーン(ビンロウの趣向品)」文化の基礎となり、アーユルヴェーダで利用されているっぽい。(紀元前千年頃?)
  • 中国(南部):薬用として導入し、後に社交、儀礼の品へと変化したとされているかも。(紀元前数十年頃?)
  • マダガスカル:アウストロネシア人の移住によって持ち込まれたかどうか、信じるのはあなた次第。(紀元数百年代?)

(すみません、根拠となる資料を探れなかったので、あいまいな表現とさせてください)
ブータンのドマ文化も、南に隣接するインドの地域との交流を通じて広がった可能性があります。実際、ドマに使われるビンロウの実やキンマの葉は、歴史的にインドから輸入されてきました。インドの「パーン」と共通する材料や作り方が見られるのも、こうした地域間のつながりを感じさせます。

ビンロウの起源や伝搬経路などを調べていくと、その地域の文化や伝統などを少し知ることができて興味深い調査となりました。
同じように他の嗜好品、アルコール・ニコチン・カフェインなどの起源や伝搬経路などが気になってきましたが、興味が湧いたら調べてみようと思います。

2回目ですが、それではまた!

SHARE

前 最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ