2026/06/24 Wed
活動
#194【特別編⑯】あなたにとってJICA海外協力隊とは?【栄養士/種瀬】

Q.まずは自己紹介をお願いします。
ボリビアで活動している、栄養士隊員の種瀬です。
任地は、サンタクルス県にある小さな山間の町・サマイパタ市(標高約1,650m)です。名前はボリビアの公用語の一つであるケチュア語で「休む場所」を意味し、その名の通り穏やかな気候と豊かな自然環境が魅力です。また、世界遺産をはじめとする観光資源に恵まれた地域です。果物や野菜、ワイン、コーヒーなどの農業も盛んで、国内外からの移住者も多く、国際的な雰囲気を持つ地域です。サンタクルス市内から約3時間かかるので国内を移動するのにも一苦労ですが、その移動も今では慣れました^^。
私は現在、サマイパタ市を含むフロリダ郡の地域保健事務所(郡レベルで保健サービス・情報の管理・調整を担う機関)に配属されています。
地域では「肥満者の増加」が課題として挙げられ、食習慣や食意識の改善及び,食の周りにある環境の改善にむけた活動を行っております。具体的には,学校の売店や朝食の食事提供内容・衛生面の改善、保健センターでの医療従事者向け研修、さらに病院食改善の提案に取り組んでいます。
Q.あなたにとってJICA海外協力隊とは?
『よそ者だからできる“結び手”』
地域の人々の食事内容の改善が主な要請内容として派遣されましたが、活動当初は活動の形にとても悩みました。私のCP(隊員と一緒に活動する同僚)は多くの業務を抱えており、一緒に活動ができそうにない、また配属先も上部組織のため、現場や地域の人々の状況を知る機会がほとんどありませんでした。
そのため、1年目は活動をしながら、関係機関へ自ら足を運び、現場の人々との交流を深めることを意識して活動していました。その積み重ねがあったからか、2年目からは現場の方々から声をかけてもらえる機会が増えるとともに、より現場の状況を理解しながら活動できるようになったと感じています。
その一つが、現在取り組んでいる学校での朝食改善活動です。元々は学校の売店の販売内容改善を提案したことがきっかけでしたが、その際に先生方から「朝食内容の改善にも関わってほしい」と相談を受けました。
まずは現状を知り、調理員の方々との信頼関係を築きたいと思い、1週間学校へ通いました。そこで見えてきたのは、朝食提供を継続すること自体が難しいという現状でした。
学校では、各家庭から毎月30ボリ(約600円)を集め、その費用で食材を購入していました。また、市役所や群庁からの支援もありましたが、その多くは保存食(キヌア,乾燥した豆,マカロニ,粉ミルク等)であり、さらに予算不足によって支援自体も滞っていました。そのため、「支援食材がなくなれば、朝食提供ができなくなる」という切実な課題がありました。私自身、群庁の一課で働いている立場でもあるため、今後は栄養士として朝食の重要性を伝えながら、行政側にも継続的な支援の必要性を働きかけていきたいと考えています。
また、長期的には学校で食材を生産できる仕組みが必要だと考え、使われていなかった学校の畑を活用した野菜栽培にも取り組み始めました。ただ、私は農業知識を持っていなかったため、一人では実現できませんでした。そこで、活動を通してつながっていた野菜栽培の有識者に相談したところ、この活動に興味を持ち、協力してくださることになりました。さらに、その方が今年度から市役所で働くこととなり、行政との連携もしやすくなりました。加えて、同僚の紹介を通じて別の有識者ともつながることができ、現在は複数の人と協力しながら活動を進めています。よそから来た立場だったからこそ、既存の役割や関係性にとらわれず、人と人、行政と現場をつなぎながら活動できたように感じています。実際、活動先である学校の校長先生からは「この活動を提案してくれて,そして彼らとつないでくれてありがとう」という言葉をいただき、とても嬉しかったことを覚えています。
今は、このようにつながりをつくりながら活動を広げていく形に心地よさを感じています。私は、前に立って引っ張るよりも、縁の下の力持ちとして人や地域、専門性を結びつける役割の方が、自分らしく活動できるのだと気づきました。
そのため,私にとって協力隊とは「よそ者だからこそできる結び手」の形を見つけていく活動なのかもしれません。協力隊は、一人ひとり異なる悩みや困難があるからこそ、それぞれ違った形で活動を捉え、表現できるものだと思います。国際協力の入り口として、自分自身の関わり方や役割を見つけることができる場でもあるのかもしれません。
残り6カ月の任期も、周囲の人との関係を大切にしながら、自分にできることを一つずつ積み重ねていきたいと思います。
文責 種瀬 柚季(2024年度2次隊/栄養士/サンタクルス県サマイパタ市)
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