JICA海外協力隊の世界日記

ボリビア便り

#208【特別編㉚】あなたにとってJICA海外協力隊とは?【番組制作/高橋望】

Q.まずは自己紹介をお願いします。

みなさん、こんにちは。現在、サンタクルスにある小さなテレビ局 Canal11で番組制作隊員として活動している高橋望です。日本では放送作家として様々な番組に携わり、企画立案や台本執筆など番組のブレーンとして働いていました。ボリビアには放送作家(脚本家)が存在しないため、私が派遣された当初、Canal11のみんなは戸惑い、どう接したらいいのかわからないという様子でした。活動先は人員も予算も少ないため、取材交渉からカメラでの撮影、番組のC G作成…つまり、放送作家、プロデューサー、ディレクター、カメラマン、C Gグラフィック、アシスタントディレクターなどなど、あらゆることを一人でやっています。とにかく仕事が膨大です。

Q.あなたにとってJICA海外協力隊とは?

『絶望と光』

思い返してみると、東京での放送作家生活は順風満帆でした。約20年、テレビ業界でフリーランスとして仕事をしていますが、ありがたいことに仕事が途切れたことは一度もありません。番組制作は確かに大変な仕事で、寝れなかったり辛いことも多いですが、それ以上に楽しくて、充実していた日々でした。なによりも信頼できる仲間がいて、自分のアイディアが掛け算のように広がり、番組になっていく過程が大好きでした。

ボリビアでもたくさんの仲間と面白い番組を一緒に作りたい!そう意気込んでやってきたのですが、小さな局のため実際には人もお金もない…。企画は通るものの「Nozomi、一人で番組を作って」と言われ、スペイン語ビギナーの私が一人で、しかも異国でテレビ番組を作るなんてできるのか…と、まさに絶望のどん底でした。

特に強く絶望感を抱いたのは、私が制作する昼食ドキュメンタリー番組の出演者を自分で見つけろと言われた時です。スペイン語もままならない、現地に知り合いも少ない状況で出演者を探すなんて雲を掴むようなもの。この時は本当に辛くて歯を食いしばりすぎて、リアルに奥歯が割れました(笑)。

とはいえ、絶望に浸っていても番組は完成しません。「まずは1本、とにかく制作しよう」と決意し、サンタクルスのあらゆる知り合いに「出演者を探しています。力を貸してください」とお願いしまくりました。困った時は困っていると素直に言ったもん勝ちです。すると、少しずつ力を貸してくれる人が現れ、出演者が見つかり、三脚を担いで一人でロケに行き…どうにか私の番組の1本目が完成したのです。完成したら嬉しくて、今までの苦労が吹っ飛ぶ!!…ということはありませんでしたが、冷静に周りを見渡せば助けてくれる人がたくさんいることに気づきました。そう、私は「ひとりぼっち」なんかじゃなかったんです。だからこそ、私はこのテレビ局のためだけではなく、サンタクルスの街のために私の番組を通して一人でも多くの「主人公」を作ろうと考えるようになりました。

レギュラー番組なので出演者探しは今も続いています。最初は不安だらけだった一人きりのロケも、今では自分の言葉でボリビアの人にインタビューできるまでになり、局のスタッフも時間があれば撮影に参加してくれるようになりました。話せない、わからない、知り合いがいない…と「できないこと」にフォーカスを当てるのではなく、絶望の中でもとにかく行動し、もがきながらも前に進んだ結果、テレビを志した初心を思い出し、改めて番組制作の面白さを実感しています。

やっぱり、クリエイティブって楽しい!!…これが、私が絶望の中で見つけた光です。

文責 高橋 望(2024年度3次隊/番組制作/サンタクルス県サンタクルス市)

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