JICA海外協力隊の世界日記

ボリビア便り

#15 コチャバンバで環境負荷が低い材料を用いた病害虫の防除効果試験を実施しています

私が所属するサンタクルス県農業局では、環境負荷の少ない農業生産を推進するため、生産者に対して木灰を使った病害虫管理手法を紹介しています。

今回は、サンタクルスからコチャバンバに出張して、この手法を試験的に実施している様子をご紹介します。

まずはじめにこの木炭を使った病害虫の管理手法について簡単に説明します。

木灰は、一部の病原菌や害虫に対し殺菌・忌避効果を示す有効な防除策として期待されていますが、ボリビア国内では木灰が流通していないため、木材を燃焼させる必要があり、準備に時間がかかる上、延焼のリスクも伴います。

昨年は森林火災が深刻な大気汚染を招いたほか、過去に強風の中でたき火を目撃した経験から、木灰に代用可能で入手しやすい材料の検討が必要だと考えました。

かつて、コチャバンバの野菜種子センターでニンジンを栽培した際に、うどん粉病やアブラムシの発生を確認しました。

これらの病害虫は15度から20度の気温下で発生しやすく、試験期間(12月~3月)のコチャバンバの最高平均気温が2021度であること、さらに比較的病害虫が繁殖しやすい雨よけハウスで試験を実施できることから、このセンターで試験を行うことになりました。

私が住んでいるサンタクルスと試験を実施しているコチャバンバは距離があるため、頻繁な訪問が難しい状況でした。

昨年12月にニンジンを播種した雨よけハウスを訪れたところ、2枚目の写真にある雑草に覆われた状態になっていました。まずは草刈りとニンジンの間引きを行い、薬液散布が可能な環境に整えました。

試験では、市場や薬局で容易に入手できるヒマワリ油やユカ由来のデンプン粉、重曹、キヌアの焼却灰を水に混和し、それぞれを異なる区画に散布しました。また、比較用として、木灰を水に混和した液体や水のみを散布した区画も設けています。

3月にも同様の散布を実施し、殺虫効果や生育状況を調査する予定です。

この試験が、環境に配慮した病害虫防除技術の確立につながることを期待しています。

文責 細見 彬(2023年度7次隊/野菜栽培/サンタクルス県サンタクルス市)

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ