2026/03/30 Mon
生活 食べ物 食事
#151 コチャバンビーノの昼ごはん【理学療法士/竹下】

皆さん、こんにちは!ボリビアはコチャバンバ県コチャバンバ市で理学療法士として活動している竹下知慶です。今回は任地での昼食について紹介します。
コチャバンバは国内では美食の街と言われ、様々な料理を見ることができます。食事をする場所もレストランや屋台だけでなく、大衆食堂や道端でという選択肢もあります。

『道端のキヌア屋さん』
その中で、私がいつも通っている大衆食堂について紹介します。職場から2ブロックほど南にある「5月25日市場」の食堂。ボリビアの通りや市場には、ここのように日付がそのまま名前になっているのをよく見かけます。ちなみに5月25日は1809年、スペインからの独立を目指した運動の発端となったチュキサカ革命の記念日を指しています。またこの市場は今年で100周年を迎えるようです。

『お昼時の食堂』
私がここに通っている理由は値段が安いことと、何よりコチャバンバの地元の人々(コチャバンビーノ)が一堂に会して、自分もその一員に入れたような感覚になれるからです。複数の飲食店が一つの建物に入っているので、一見フードコートのようですが色々違います。まず建物内に入ると、何人もの女性店主が同時に声をかけてきます。というか、本日のメニューをまくし立ててきます。「アイソパデマニピカンテデポジョマハディートファルソコネホ#$%&@!“#!#$%&‘!!」半年以上通っていますが、すべてを聞き取れたことは一度もありません。そこでまず、どの店主に注文するのか選択を迫られます。当初は、その日、刹那の差で早く声をかけてくれた店主に頼んでいました。しかし毎回、複数の店主からの圧を受け、選ばなかった店主へのちょっとした罪悪感を抱えながら昼食を買うのが億劫になってきたため、以後特定のお店の常連になることにしました。通常であれば、そこのサービスや味でお店を選ぶものですが、メニュー内容や味はほとんど同じようですし、常連になることによって店主のホスピタリティも向上するというものです。

お店の看板には店主の名前が大きく書かれており、行きつけはマリさんのお店です。なぜここを選んだかと言えば、入り口から最も近い位置にあり、いつもすぐに駆け寄ってきて呼び込みをしてくれていたからです。どのお店も食事のみの提供で、食堂内の飲み物はすべて飲み物売り場の人に頼むことになります。
ボリビアの食事はスープとメインのセットが基本です。このセットが15ボリ(約330円)で、これはレストランだと20~25ボリ(約440~550円)します。もちろんスープのみ(6ボリ=約132円)、メインのみ(12ボリ=約264円)で注文することも可能です。
この日はメインだけ注文。アサドという牛肉の薄切りを焼いたもので、付け合わせに目玉焼き、お米(パスタに変更可)とサラダです。飲み物はレモネード(2.5ボリ=約55円)。普段、ドレッシングを見かけることは稀で、テーブルに置いてある塩・油・酢を好みでかける形式です。そしてボリビアの食事で欠かせないのが辛いソースです。「ヤフア」と言って唐辛子から作られています。ヤフアは各店の手作りで、店によって味や辛さが異なり、その味がお店の集客度を左右することもあるとか。大半が私には辛くて使いませんが、お店によってはマイルドなものもあるので味見するだけでも面白いです。
別の日に同僚の家でヤフアの作り方を教えてもらえました。各家庭で材料は多少異なるそうですが、「バタン」と言う石臼で唐辛子・トマトをすり潰し、スパイスやハーブ、油などをよく混ぜて出来上がります。ミキサーでも作れますが、バタンは南米では一般的な伝統調理道具であるそうで、石に含まれるミネラルも加わり、断然美味しく感じます。
最後にいくつかの料理を紹介します。すべてが食堂で購入したものではありませんが、コチャバンビーノが日常的に食べているものです。

①ポジョ【12ボリ】:じっくり焼かれたグリルチキン。同じ値段で胸肉、もも肉、手羽先か選べる。
②レジェノス・デ・パパ【13ボリ】:ペースト状のジャガイモの中にチーズやお肉を詰め揚げたもの。コロッケみたいで日本人にも馴染み深い味と食感。
③キヌア【8ボリ】:キヌアを炊いたもの。他の料理に比べ淡白な味付けだが、根強い人気がある。
④マハディート【12ボリ】:クミンなどのスパイスで煮たお米に焼きバナナ、目玉焼きが添えられた熱帯地域の料理。
⑤ソパ・デ・フィデオ【6ボリ】:柔らかめにゆでたパスタが入っているスープ。食堂のはジャガイモ、砂肝が入っていることが多い。食事がスープだけの時はパンと共に食べる。
⑥ソピータス・デ・フィデオ【8ボリ】:⑤とほぼ同じ名前なのに全く違うもの。パスタをピーナッツペースト、乾燥ジャガイモと煮たもの。ソピータはスープという意味だが、見た感じも食べた感じもスープではなく名前の由来は諸説あり不明。ラパス県の料理。
⑦ラグア・デ・チョクロ【6ボリ】:ラグアはケチュア語でクリームという意味。チョクロはトウモロコシのことで、コーンスープのような優しい舌ざわり。
⑧シルパンチョ【12ボリ】:コチャバンバを代表する料理で薄い肉を使用することから「平らで薄い」を意味するケチュア語が名前の由来。石で叩いて薄くした牛肉にパン粉をまぶして揚げ焼きにしたもの。薄いハンバーグのような食感。下にお米、上に玉ねぎやトマトなどが載っていて全体的な味のバランスがいい。
⑨トランカペチョ【8ボリ】:⑧をハンバーガー用のパンではさんだもの。もともと酔っ払いが「シルパンチョをパンにはさんでよー!」と屋台の店主に頼んだのが誕生のきっかけ(職場の同僚談)。シルパンチョは全体的に水分が少なく、ハンバーガーのように豪快に食べようとすると必ず喉に詰まることから、tranca pecho(胸が詰まる)という名で呼ばれている。
※【】内は1ボリ=20~23円で換算してもらえると、おおよその物価のイメージが湧くかと思います。ただし昨今、ボリビア国内は米ドル不足、燃料費高騰により物価が上がり続けています。そんな状況にも関わらず、比較的お手頃な値段設定で食事を提供している食堂は低所得者層はじめ地元の人にとってかけがえのない場所であると感じます。
今回は10種類しか紹介できませんでしたが、実際この5倍くらいの種類の料理を食べています。それでも未だにボリビア料理の全貌が見えません。今年でボリビア独立201年、アンデス地域の先住民アイマラ族の暦では5,534年を迎えます。先住民からの長い歴史、インカ帝国を経てスペイン領時代の影響も加わり、ここの食文化は独自の変遷を辿って現在にまで至っています。
文責 竹下 知慶(2024年2次隊/理学療法士/コチャバンバ県コチャバンバ市)
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