2026/01/05 Mon
活動
帳簿はビジネスの基本

Ngwaga o mosha!
(ツワナ語で「あけましておめでとう!」)
トノタ村で小規模ビジネス支援に携わっている、コミュニティ開発隊員の井上です。
普段は事業者さんを一件一件訪問し、それぞれのビジネス状況を調査しています。調査を進めるなかで、およそ7割の人が「There’s no business(市場がない…)」と嘆いていることがわかりました。思うように儲からないために事業を辞めてしまう人も少なくありません。
しかし「月々にいくら使って、いくら儲けているのか?」と尋ねると、大概「わからない」と返事が返ってきています。作業場や商品を見ることはできても、お金の動きを見ることができず、的確なアドバイスをすることが難しい状況にありました。

ビジネスを大きくしたい、失敗したくないと考える人にとって、帳簿は重要な役割を果たします。
そこで帳簿に関するワークショップの開催を提案し、同僚と一緒に内容を作り上げてきました。これまでに3回開催した本ワークショップでは、帳簿をつける意味の再確認や書き方の指導を行いました。同時に「貯金」の大切さについても触れています。

ワークショップを通じて、参加者からは「昔は書いていたけど、止めてしまった」「接客の間に、(帳簿を)つけるの忘れている」といった素直な声を聞くことができました。また、各自の帳簿を持ち寄って見せ合うディスカッション形式の時間は活発で、参加者同士が学び合える貴重な場になりました。
内容を現地語に訳してくれる同僚や、積極的に質問してくれる参加者の存在に大きく助けられたと思います。

後日、ある参加者のお店を訪ねた際には、「セトゥーニャ(私の現地名)見て!書き始めたよ!」とキラキラの笑顔で帳簿を見せてくれました。これまでの活動で、「人の行動を変える難しさ」を痛感していたからこそ、この変化はとても嬉しく、大きな励みになりました。
もちろん、ワークショップ後もまだ始められない人はいます。それでも「一人でも始められた人がいたのは進歩だね」と同僚と語り合うことができました。
もうひとつ、ワークショップを開催して得られた大きな収穫があります。
それは、現地の人たちのお金に対するマインドセットをより深く理解できたことです。「お金」について話し合う機会を持つことで、その使い方には生活環境などの文化的要素が強く影響していると実感しました。
日本でも人によって価値観はさまざまですが、ボツワナでは「今を楽しむ」傾向が強く、将来に備える意識は比較的弱めです。実際、給与日の週末は外食や買い物で賑わい、次の週末を待たずして使い切ってしまったという話は珍しくありません。
また、困っている親戚や友人に分け与える「助け合いの文化」も強く、失業率の高さや扶養の範囲の広さも相まって、特有のお金の使い方が形成されていることを学びました。

そんな文化の違いを踏まえたうえで、だからこそ私は、「見える化」という最初の一歩として「帳簿」を勧めたいのです!
帳簿をつけることでできることは、たくさんあります。
・予算を立てられる
・無駄な支出に気づける
・お金の不安が減り、ストレスが軽くなる
・分析ができ、より戦略的に動ける
(などなど...)
一人ひとりが帳簿を習慣化することで事業が活性化し、お金が循環し、やがては地域や国の経済にもつながっていく。そう信じて、これからも現場で一人ひとりに寄り添いながら活動を続けていきたいと思います。
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