JICA海外協力隊の世界日記

ボツワナ便り

ボツワナの小学校美人コンテストを考える

Dumela! ボツワナの小さな村で小学校の教員をしている井口昭夫です。今まで、日本とボツワナのいろいろな文化の違いを感じましたが、今回のイベントにはびっくり仰天でした。思わず目が・・・です!では、紹介します。

イベント名は「Beauty Contest(美人コンテスト)」!私が働いている学校は幼稚園が併設されている900人越えの大規模校です。学年4クラスで、0年生から7年生まで在籍しています(0年生は幼稚園生)。7年生は卒業を控えて忙しいということで、6年生の女子13名がこのイベントに自主参加しました。

全校児童900名が見守るなか、いよいよスタートです。最初は、水着審査。ミスボツワナのファイナリスト誘導のもと、参加する全員の女の子たちがビキニを着て、大人のコンテストみたいに軽快な音楽に乗ってお尻を左右に振りながら歩いてきます。気分はトップモデル。司会は教員。会場の熱気は一気に最高潮に達しました。すごい歓声です。地域のおじさん(保護者?)達も集まっていました。

その後、一人ひとりが入場し、審査員の前でポーズを決めて退場です。審査員は、ちょうどその時期、ボツワナ大学から教育実習に来ている5人の女子学生でした。審査項目に照らし合わせながら評価していました。水着審査の後は、キラキラしたドレスを着ての2次審査がありました。小学生なのに、大人顔負けのパーティードレスを着ているのに、ビックリでした。きっとこの日のために作ったのでしょう!

全員が終わると、結果発表です。3位から発表がありました。優勝者は私より背が高いスラリとした女の子でした。応援に来ていたお母さんと抱き合って泣き崩れていました。入賞者は、盾と素晴らしく豪華な賞品が贈られました。

私は途中から写真係をお願いされ、特等席で写真を撮っていました。でも日本の小学校では決して実施できないだろうなぁと考えながら!

理由は4つです。

 1つ目は、私から見るとちょっと過激すぎます。Tバックのような水着で、お尻が丸見えです。露出が多すぎて、まるで大人の美人コンテストを見ているようでした。でも参加していた女の子達は、恥ずかしがる素振りを微塵も見せずに、堂々とお尻を振りながら、愛嬌を振りまいていました。

 2つ目は、希望者全員が参加できない不公平感を感じたからです。くつは、新品のハイヒール。そして真新しいビキニの水着、キラキラのドレスはこの日のために新調したものでしょう。家庭に余裕がなければ決して衣装を用意できません。

 3つ目は、日本だと授業をつぶして3時間も全校生徒が集まって、このイベントに時間を費やせません。女の子の水着姿を見て、どの子が一番綺麗かを決めるコンテストの教育的価値やその行事を実施する上での目標の設定が難しいからです。周りで見ている子ども達は、黄色い声で歓声を送っている状態です。ちなみに1年生の男子は、歩いてくる女の子の腿に触ろうとして、校長先生に何回も叱られていました。(笑)

 4つ目は、日本であれば保護者が決して承諾しないと思うからです。私でも自分の娘にあの恰好をさせて、友達の前を歩かせるのには抵抗があるでしょう。ましてや、その後に美人の順位をつけます。選ばれた子はいいですが、そうでない子の気持ちは……。

 

私とボツワナの先生方、保護者、エントリーした6年生の女の子との間に意識のかなりの隔たりを感じた3時間でした(私が元教員でなかったら、「すげ~面白いイベントだった!」で終わったかもしれませんが)。

ちょっと飛躍しているかもしれませんが、ボツワナは性に対してずいぶんと大らかなように思えます。ボツワナでは、「結婚前に子どもができると、彼氏は急いで逃げていくんだ」という話をよく聞きます。私の勤務先の小学校女性教員の多くも結婚式は挙げていませんが、子どもがいます。私が家を借りているオーナーの子ども達も全員、結婚していませんが、子ども達がいます。エイズが多いのも、この性に大らかな風潮が関係しているようにも思います。

ただ、他の学校では水着の代わりに伝統的な衣装とドレスを着て、美人コンテストをする学校もあるそうです。これなら、まだいいかもしれません。現地の先生で「私も水着には反対です」という先生もいました。

美人コンテストは面白く最高に盛り上がるのですが、やっぱり日本ではちょっと難しいですね。みなさんは、どう思いますか? 文化の違いを感じた3時間でした。

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