JICA海外協力隊の世界日記

ボツワナ便り

1年で最も忙しい16日間

Dumelang!
ボツワナの首都・ハボロネに派遣されています、マーケティング隊員の藤井です。
今日は私の配属先が取り組んでいるGender Based Violence、そして世界的な取り組みである「16 Days of Activism Against Gender Based Violence」についてご紹介します!

Gender Based Violence(以下GBV)を日本語で解釈すると、性暴力を思い浮かべる方が多いかもしれません。
私の配属先での解釈は文字通り「その人のジェンダーを理由にした暴力」としています。つまり、被害者がこういった身体の性を持っているからという理由で生じた、力の不均衡による暴力(加害行為)です。性暴力(性的暴力)だけでなく、「身体的暴力」「精神的暴力」「金銭的暴力」らが含まれます。

この概念は、団体によっては「女性や女児に対する暴力」と記載するケースもあります。実際に女性や女児に起こされているGBVは全体の多くの割合を占め、特に紛争や戦争の状態にある地域では一刻も早い支援が求められています。
私の配属先では、男性やセクシュアルマイノリティのGBV被害者も多く存在し、センターではそれらの当事者も受け入れている姿勢の表明という意図から、シスジェンダー女性(出生時に女と診断され、自身を女だと自認する女性)だけでなく広い属性の人を含んだ表現をしています。

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また、GBVの中でも多く発生しているのが『Intimate Partner Violence』です。日本語だとDV(ドメスティック・バイオレンス)と表現することが多い、配偶者やパートナーによる暴力です。
そして私の配属先では、GBV被害者のための一時避難シェルターやカウンセリング、医療的ケア、HIVをはじめとする性感染症のテストや処置を提供しています。

今回ご紹介する『16 Days of Activism Against Gender Based Violence』は毎年11月25日の『女性に対する暴力撤廃の国際デー』から、12月10日の『世界人権デー』まで実施される世界的なキャンペーンです。
様々な機関が世界各所でこのキャンペーンと紐づいたイベントを展開したり、街を練り歩いたりします。連帯のためのテーマカラーがオレンジに設定されていて、イベントのたびにオレンジ色のTシャツを着用しました。
私の配属先では今回、2つのイベントを主催しました。

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一つ目は首都に次ぐ第二の大きさの都市、フランシスタウンで行われたウォークです。
暴力をなくそう、というメッセージが書かれたボードやバナーを持って、約3キロの距離を練り歩きました。
どこからともなく、主催以外の参加者から歌が始まるのが印象的でした。「Emisa kgokgontso! (Stop GBV!)」というフレーズを繰り返し歌います。
私の配属先では「Emisa kgokgontso」を耳にする機会が多く、すっかり馴染みのツワナ語のフレーズです。
(私はソーシャルメディア用の素材を撮影しに行ったので、パレードの先頭まで走り、撮影しながら最後尾に行き、またパレードの先頭までダッシュを繰り返していたので疲労困憊でした…)

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2つ目のイベントは『Candlelight Vigil』です。
日没後にキャンドルを持ちよるイベントで、多くの場合は抗議活動や鎮魂の目的で実施されます。
今回はボツワナの首都にある大きな公園に会場を用意し、GBVサバイバーや命を落とした犠牲者たちのために祈りを捧げました。
GBVの当事者や、GBVにより命を奪われた犠牲者たちの取材をしているジャーナリストの方がゲストとしてスピーチを行い、理不尽な暴力はコミュニティ全体で無くしていかなければならないという思いを新たにします。

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GBVはボツワナだけでなく、またアフリカだけでなく、日本でも非常に大きな問題です。
これまで多くの人が尊厳を傷つけられ、そしてその口を塞がれ、傷を受けた後もなお踏み躙られてきました。被害者の口を塞ぐケースの多くは、誰かの偏見や無知によって起きてしまっているのが現状です。
自分の要請であるマーケティング、配属先における広報活動を通して、誰か一人でも多く正しい知識を持つ人が増え、GBVサバイバーの存在や痛みを知る人が増え、傷つく人が減ることを切に願っています。

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