JICA海外協力隊の世界日記

ボツワナ便り

なぜボツワナでミスコンが流行るのか

コミュニティ開発隊員としてトノタという村で活動している井上です。

先月、私の所属する地域開発課の1年で最も忙しくなると噂されていたイベントが行われました。

それがMr & Miss RADP」という名のビューティーコンテスト。いわゆるミスコンです。

RADPとは...
Remote Area Development Programmeの略で、行政サービスが届きにくいエリアを対象とした開発プログラム。その一環であるMr & Miss RADPは遠隔地の若者のエンパワーメントを目的としたビューテーコンテストで、毎年開催されています。

このミスコンは、村予選(8月)と地区予選(9月)のあと、首都で行われるファイナル(11月)でグランプリを決めるという大規模なイベントです。

ボツワナでは、このようなビューティーコンテストがさまざまな場所で開催されています。

先輩隊員の中にも、配属先の小学校やNGOでビューティーコンテストを体験した人は珍しくありません。

小学生からミスコン参加?!と驚きもありますが、一種の流行りといえるでしょう!

なぜこんなにもボツワナでミスコンが流行っているのでしょうか?

今回はビューティーコンテストが国内で盛んに開催されている理由をボツワナ人のカウンターパートと一緒に考えてみました。

1. 文化表現の場になる
このようなコンテストでは、伝統衣装を披露する機会が多く、地域の伝統、文化を認識させるため、文化継承に繋がります。

(ボツワナの伝統衣装を着飾るMiss RADP出場者)

寸劇のために伝統の小道具を用いたり、ダンスや歌を披露したりする人も見られました。

2. エンパワーメントが期待される
才能や美の発掘に繋がるのが、ビューティーコンテストの魅力。

「自信がなかった人も、周りに応援されることで、最終的に人前で堂々とウォーキングできるようになる」
とカウンターパートは語っていました。

参加者はイベントを機に自信をつけ、さらに周りの人々に影響を与えます。

実際、過去のRADPファイナリストたちは、自営業を興したり、村の若者代表として文化振興や教育に貢献したりしているそうです。

3. エンターテイメントである
ボツワナのビューティーコンテストは多くの観客を集め、ショーと音楽で盛り上がります。

村の選考会で訪れたのは、役場から2時間も離れたスーパーすらない遠隔地で、そこで出会った若者は「村に娯楽がない」と嘆いていました。

だからこそ、このようなイベントが開催された時には、老若男女が会場に足を運び、ヒューヒューと歓声を上げる観客で盛り上がるのかもしれません!

4. 資金調達になる

注目度が高いイベントであるため、資金調達の手段として機能することもあります。

観客からのチケット代で収益を得ることや、企業がスポンサーとして参加することで地域経済を活性化させています。

私も今回のイベントで、ショッピングモールのショップや地元企業へスポンサーシップや寄付をお願いしに回りました。

企業から、社会貢献として寄付いただくことも、貴重な広告機会として商品を提供いただけることもあり、イベントの影響を実感することとなりました。

IMG_9483.jpg
上記の理由に加え、近年国際的なミスコン大会でもボツワナ人が上位に名を馳せることもあり、国のアイデンティティと誇りが育まれていることも人気の理由となっているようです。

※あくまで自身の経験とカウンターパートとの会話からの考察です。

昨今の日本では、美の基準が是認されることや、ジェンダーに対する固定概念が助長されるという観点から、ミスコンの廃止や形式の見直しが決められることもしばしば。

しかし現在のボツワナでは、教育や健康、女性の権利などの社会問題に目が向けられる機会となり、多くのメリットをもたらしているようです。

会場にいた子どもからお年寄りまでがイベントに熱狂している様子を見て、ビューティーコンテストの開催は大きな可能性を秘めているんだなと感じました。

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