JICA海外協力隊の世界日記

ボツワナ便り

ボツワナで広がる平和の祈り 【KAGISO: a Peace Exhibit】

みなさん、Dumelang! はじめまして。ボツワナの首都ハボロネで、NGOが運営している子どもの保護施設で活動しているミカエルです。カエルが3匹と覚えてもらえると嬉しいです。

8月6日の広島、8月9日の長崎。日本にとって大切な平和記念の日にあわせて、私は8月16日にハボロネで「Kagiso: a Peace Exhibit(平和展)」を開催しました。

“Kagiso(カヒソ)”とはツワナ語で「平和」という意味。遠く離れたボツワナでも、日本の平和の祈りをみんなと分かち合いたい。そんな思いで準備を進めてきました。


なぜ平和展を開いたのか

理由は二つあります。

ひとつは、ボツワナがとても平和な国だから。

「Global Peace Index」という国際ランキングによると、2025年の結果で日本は163か国中12位、ボツワナは43位。アフリカの中ではモーリシャスに次ぐ第2位の平和な国です。

参考:Global Peace Index 2025 レポート

でも、平和な環境にいると「平和があることが当たり前」になってしまいがち。だからこそ、広島と長崎の出来事を伝えることで「平和を考える時間」を作りたいと思いました。

もうひとつは、あるタクシー運転手との会話。

「お、君は日本人か!日本のどこからだ?」
「広島だよ」
「広島なら知ってる!…でも今、人は住めるのか?」

このやりとりをきっかけに、原爆が落とされたことは知っていても、復興して元気に暮らす今の広島を知らない人が多いと感じました。だから、「今の広島・長崎」も伝えたいと思ったのです。


展示会の内容

会場となったボツワナクラフトには、いろんな展示とプログラムを用意しました。

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広島・長崎の被爆資料ポスター(広島平和記念資料館提供)

写真や資料で、戦争の悲惨さと平和の大切さを伝えました。

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千羽鶴展示と折り鶴体験コーナー

協力隊員や友人たちが全国から折ってくれた折り鶴を集め、千羽鶴を展示(ご協力いただいたみなさんありがとうございました!)。会場でも折り紙体験をしてもらい、初めて折る人も楽しそうに鶴を完成させてくれました。

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オンラインで広島・長崎と中継

長崎の江口太陽さん(元ボツワナ隊員・7月に帰国したばかり)、広島の私の家族と繋ぎ、平和公園ツアーを実施。街並みの紹介や参加者からの質問もあり、日本を身近に感じてもらえる時間になりました。ちなみに長崎にはファミマがたくさんあるそうですね。笑

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平和パフォーマンス

音楽と詩で平和を表現しました。

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Amazing Vibez(Mayさん):力強い自作の歌で平和のメッセージを届けてくれました。

Serurubele Poetry Academy の詩人3人:平和をテーマにした詩の朗読で、会場はしんと静まり返り、心に深く響きました。

CaitlynとKai(私):ギターで平和の歌をセッション。最後はこの展示会のために作った「Kagiso」という歌を披露。日本語・英語・ツワナ語で歌い、「平和は国境を越えてみんなのもの」という想いを込めました。


「Kagiso」の歌詞

短いですが、こちらが歌詞になります。

求めれば、与えられる
君が願う、その平和が
Knock on the door, and it shall be opened.
For you and for me, the peace that we seek.
Ke batla kagiso(私は平和を求めています)
Ke batla kagiso(私は平和を求めています)
Ke kopa kagiso(私に平和をくださいな)
Re na le kagiso(私たちには平和がある)

会場のみんなと一緒に歌った時のあたたかい空気は、ずっと私の心に残り続けると思います。


心に残ったこと

この日は、11か国から100人近い人が集まってくれました。子どもも大人も、それぞれの視点で「平和」という言葉を受け止めてくれたと思います。

後日、「ミカのKagisoの歌を聴いて涙が出ました」と伝えてくれた方がいました。平和について考えてほしいと思って開いた展示会が、平和そのものを感じる瞬間になったのだと実感し、本当に嬉しかったです。

文化も宗教も価値観も違う人たちが、一緒に語り合い、笑い、楽しめた。これこそ“Kagiso(平和)”だと感じました。

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おわりに

この展示会を通して改めて思ったのは、平和は国や文化を越えて誰もが願うものだということ。

そして、平和をつくる第一歩は “知ること” だということ。

今回の平和展は教育的側面も重要視していました。核兵器をなくすためにも、まずその存在や歴史を知ることが必要です。知っていれば、私たちは平和を選び取る力を持てるし、その選択肢は必ず広がります。

協力隊として子ども支援をしながらも、こうした日本とボツワナをつなぐ場を大切にしていきたいです。任期は残りわずかですが、最後まで心を込めて活動していきたいと思います!最後まで読んでくれてありがとうございました!

“Kagiso”平和を願う心が、ここボツワナからも世界に広がっていきますように。

P.S. 実はこの平和展、開催から数日後に新聞にも取り上げていただきました!地域の皆さんに関心を持ってもらえたのは本当に嬉しかったです。当日のハイライト動画も作ったので、見ていただけると嬉しいです!

記事はこちら(ページ22)です→ [リンク:The Botswana Gazette August 20, 2025]

動画はこちら → [リンク:https://youtu.be/FM-7oIomjTU]

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