2026/06/08 Mon
小学校 小学校教育 文化 歴史 観光名所
小学校の教科書から学ぶ「ボツワナの歴史」

ドュメラン。モレポロレの小学校特別支援学級に派遣されている菅井です。
今回は、派遣先の小学校で使われている歴史の教科書をもとに、ボツワナの歴史についてお伝えします。子どもたちが読む教材ですが、大人にとっても興味深い内容が多く、とても勉強になります。
ボツワナ人はどこからきたのか
どの国の歴史においても「人々はどこから来たのか」という問いは最大のミステリーです。様々な説がありますが、教科書では「ビクトリア湖の近く、つまり北の方から狩猟民族として、肥沃な土地や水源を求めて移動してきた」と書かれています。そのグループがバントゥー系民族です。 しかし、その時すでにバサルワ族(現在のサン族)がボツワナで生活していたようです。民族の重なり合いが、この国の歴史の始まりなのです。
ツォディロ・ヒルズ ― 砂漠のルーブル美術館
ボツワナ北部には世界遺産ツォディロ・ヒルズの岩絵があります。サン族が10万年以上前から描いたとされ、約4500点もの岩絵が残されています。そのため「砂漠のルーブル美術館」と称されるほどです。 私も一度訪れたことがありますが、圧倒的なスケールと神秘さに息をのみました。ボツワナに来たら絶対におすすめしたい場所です。
アフリカ美術史家の木村重信氏によれば、この場所は北東のザンビアやジンバブエ、南西のナミビアや南アフリカをつなぐ中間点にあり、北部に見られる「車輪」などの幾何学的な絵と、南部に多い動物や人の具象的な絵が融合している貴重な岩絵だとされています。文化の交差点という視点が面白いです。 一方で、漫画家の諸星大二郎氏は、サン族や古代壁画を題材にした短編集の中で、北から逃げた部族が滅亡する途中で「車輪」の壁画を残したという物語を描いています。ここでは「車輪」が民族の記憶や逃避の痕跡として表現されており、さらに古代へのロマンを感じます。

気になる教科書の内容
さて、教科書には伝説的な話が次々と登場します。
• 各州のシンボルになっている動物や植物の由来について (ちなみに私が派遣されているクウェネン県庁のシンボルはワニです)
• ボツワナで一番高い山オッツェ・ヒル(標高1491m)で19世紀に起こった男女の悲話
• セレッツェ・カーマ初代大統領の英雄的な話
• 探検家リビングストンの話 (彼は宣教師だった! )
• かつてフランシスタウンの近くで砂金が取れたという心躍る話
• 道路や鉄道の敷設に苦労した話 (残念ながら、その鉄道はほとんど活用されていない…)
• 二つの世界大戦から近代化と1966年の独立について (2026年の今年は独立60年目になる)
• ダイヤモンドによる富でインフラが整備され、近年は世界から観光客が国立公園に来ていること
どれも興味深い話ばかりで、子どもたちにとって「歴史は物語」として心に残る内容です。

歴史は現代に引き継がれ、生きている!
先日、セロウェイにあるセレッツェ・カーマ初代大統領のお墓を訪れました。彼の妻はイギリス人で、両親の反対を押し切って、さらに王になることもあきらめ、彼女と結婚したそうです。 2人のお墓は両親や祖父母と同じ場所にあり、眺めのいい丘の上に葬られていました。最後はみんな仲良く同じ場所に眠っていることを知り、ほっとしました。 そして彼のお墓の上には、セロウェイのシンボル的な動物であるデューカー(アンテロープの一種)のブロンズ像が立っています。歴史の教科書には、このデューカーの由来が書かれています。上の写真はカーマ三世メモリアル博物館に展示されていた独立当時の村の写真です。
この教科書から、私はますますボツワナの歴史に興味を持ちました。民族の起源、ツォディロの岩絵、州ごとの伝説、英雄の物語、独立の歩み、そして現代の発展――すべてがこの国の誇りです。 小学校の教科書を通して学ぶことで、歴史が「過去の出来事」ではなく「今も生きているもの」であることを実感できます。
SHARE





