JICA海外協力隊の世界日記

ボツワナ便り

配属先CEOに聞いてみた!ボツワナのGBV今昔

Dumelang!ボツワナの首都・ハボロネに派遣されています、マーケティング隊員の藤井です。
私はいま、ボツワナ性暴力予防センター(Botswana Gender-Based Violence Prevention and Support Centre)というNGOで活動しています。

日本でも依然として大きな社会問題である性暴力/Gender Based Violence(以下GBV)。今回は改めて、配属先のCEOにボツワナのGBVについてインタビューしました。

BGBVC CEO.jpeg

BGBVC CEO: Lorato Moalusi

1、CEOは20年以上、ボツワナのGBVについて見てきたと思いますが、発生件数や種類に変化はありますか?

1995年からソーシャルワーカーとしてGBVの現場を見てきました。全体を見ると、GBVの件数自体は増え続けています。しかし単純にGBVが増え続けていると言い切るのは難しく、人口の増加や、GBVそのものの認知が進み報告された件数が増えたことも理由に挙げられます。以前はGBVの認知が低く、偏見も根強かった。ゆえに被害者が被害を訴えることも困難でした。

また、以前は妻・恋人の浮気を疑って暴力をふるうケースが多かったですが、近年では加害者の実子や連れ子に被害が及ぶケースが増えています。子どもへの暴力は現在、より大きな問題になっています。

2、他のアフリカ諸国と比べて、ボツワナのGBVの現状はどうでしょうか?

さまざまなランキングが発表されていますが、ボツワナに関しては古いデータが使われていたり、他国と比べて人口が極端に少なかったりするため、純粋な比較が難しいです。一方で、ボツワナのGBVが依然として多く発生していることに変わりはありません。そこには、社会やコミュニティ、家庭における男性のヒエラルキーの強さがあると思います。
例えば、Setswana(南部アフリカ、特にボツワナで話される言語)で『結婚する』を意味する言葉である「Wa tsewa」を直訳すると、”男性が女性を手に入れる”という意味になります。逆の言葉はありません。

また、SetswanaのウェディングソングではLeave the pots, the owner has comeと歌います。
直訳すると「鍋は放っておきなさい。鍋の主が来た」という意味ですが、つまり
「義母は鍋の様子をもう見なくていい。料理をする人(妻)がきたからね」と歌っています。

また、ボツワナにはLobalaという結納金のようなしきたりがあり、結婚するときに男性側の家族が女性側の家族に、金銭もしくは家畜を渡します。Lobalaの代わりに妻には何をしてもいいと夫が思い、暴力を振るうケースも少なくありません。私がソーシャルワーカーとして見たケースでは、HIVが陽性の男性に、性行為時に避妊具を着用するよう伝えると、Lobalaを渡したんだから妻は自由にする権利がある、と着用を拒否したこともありました。

こういった問題は根強いですが、一方で時代と共に変わってきていて、今ではLobalaを渡さない結婚をするカップルも出てきました。なので、文化的な不均衡にも変化が起こるはずです。

3、ボツワナのGBVの現状において、不足していることはなんですか?

bgbvc .jpeg

コミュニティ全体が、GBVが人権侵害であると認めることが大切です。残念ながら、今もすべての女性がソーシャルワーカーや私たちのような支援団体へアクセスを持っているわけではありません。
”Violence is wrong(暴力は間違っている)”という認識を持ち、誰かが暴力を振るっていたら決して許さない姿勢をもつことが、GBV被害者の口を開かせます。

また、GBVサバイバーを長期にわたって支えるシステムも必要です。サバイバー・ファンドのような形で、もしもGBVによって親に何かがあった場合、遺された子どもたちを支えるシステムや、後遺症が残るような怪我をさせられた場合の補償をするシステムが求められると思います。
私たちも日々訪れるGBVサバイバーたちを、より迅速にサポートしていく必要がありますね。


CEOとはよくコミュニケーションを取りますが、今回はボツワナの外からの目線を中心に話を聞きました。こういった切り口で話を聞くのは私も初めてで、とても勉強になりました。GBVは男女を問わず被害者になりえますが、不平等な力関係によって女性が被害者になるケースが未だに多いです。文化・慣習的な背景も、ジェンダー観に大きな影響を与えています。

日々活動の中で、どうしたらボツワナの人々にGBVの認知を広め、より多くのGBVサバイバーを支援できるか考えています。皆さんの周りでも起こりうる、いますぐ隣で起こっているかもしれないGBVについて、その背景を改めて考えてみませんか。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ