2025/05/12 Mon
文化 生活
慣れるとコンビもいいものです


Dumelang!
ボツワナの首都・ハボロネに派遣されています、マーケティング隊員の藤井です。
「ボツワナではどうやって通勤してるの?」と聞かれることがよくあります。
ボツワナは車社会で、一家に数台車があることも珍しくありません。
一方で、JICA海外協力隊には現在、車やバイクの運転は許可されていません。また地面には棘のような植物が多く、使用が許可されている自転車もかなりの頻度でパンクしてしまいます。必然的に公共交通機関を利用する隊員が多いです。
今日は、ボツワナで最もリーズナブルな公共交通機関の一つである「コンビ(Combi)」をご紹介します!
コンビは一言でいうとバスです。始発から終点まで、どこから乗ってどこで降りても7プラ(約90円)で、地域住民の移動を支える交通システムです。
私が住む首都のハボロネには、縦横無尽にコンビのルートが張り巡らされています。
私は運良く自宅から配属先のオフィスまでを同じルートがつないでいるので、乗り換えをすることなく一本のコンビで通勤することができます。
コンビの使い方はシンプルです。
- 自分の乗りたい行き先が書かれたコンビが通りかかったら、手を挙げて止める
- 止まったら乗り込んで、目当てのバス停が近くなったら「Ema mo stopong(止まってください)」と言う
- バス停で止まったら車を降り、そのタイミングで運転手に7プラを手渡す。おつりがあったら受け取る
ただ、協力隊以外の外国人はコンビをほとんど利用しません。
そこには、コンビへの利用ハードルを高める理由がいくつかあります。
1つ目は、コンビの路線が非常に複雑だということです。
首都に住んで1年になりますが、今でも首都にある路線を把握しきれていません。私の最寄りのバス停は行き先の異なる7つの路線が通っています。
そして、公式の路線図が存在しません。ですので、初めて利用するルートや行き先だと、人に聞きながら乗る形となります。
2つ目は、乗るときは手を挙げてコンビを拾う必要があることです。
コンビの車体前方には、路線の名前が書かれています。そしてコンビを止めるときには、走っているコンビの行き先を見分けて、手を挙げて止めます。
ぼんやり待っていると永遠に捕まえられません。
私は視力があまり良くないので行き先を見分けるのが非常に苦手で、いつも目を細めながらやってくるコンビを凝視しています。
3つ目は、降りたいときにも基本的に自分で車を止めなければいけないことです。
運良く同じ場所で降りる人がいたり、逆に乗りたい人のために止まる可能性はありますが、それも必ずではありません。
運転手に声をかけるタイミングを伺っておく必要があります。
これは初見だとハードルが高いかもしれません。
最後は、時刻表が存在しないことです。
同じ路線、同じ曜日と時間帯でも、バス停に着いてすぐに来るときもありますし、30分近く来なかったこともあります。
ボツワナ人との約束だと集合時間もゆるいですし、相手もざっくりとした時間に来るので問題はないのですが、特に日本人との待ち合わせだと焦ることがままあります。
なかなか来なかったら困るな、と早めに行動したときに限ってすぐに来て、待ち合わせ場所で30分以上待ちぼうけ…なんてこともありました。
ここまで大変そうな話ばかりしましたが、慣れるとなんてことはありません。
明らかにガタが来ている車体のコンビに乗るときはドキドキしますが、それもアフリカ生活の醍醐味です。
なるべく多くのお客を乗せるために人が集まるのを待って、一向に出発しないドライバーにイライラしてしまうこともありますが「まあ、こういうもんだよな」とも思えてきます。
個人的には、システム化されて便利な仕組みも好きですが、同時にこのアナログで、地域に根付いた仕組みも愛しいと思います。
外国人は目立つので、毎朝使う路線の運転手たちには大体顔を覚えられていて、バス停に立っていると手を挙げずとも止まってくれます。
また降りるときにも、声をかけずに配属先の最寄りで止まってくれるようになりました。
私はよく近所の同僚と一緒のコンビに乗るのですが、どちらかが不在でコンビに乗ると「あれ?相棒は?」と聞かれることもあります。
不便があっても、それでも同じぐらい愛着も沸いています。
私は様々な国のローカルな乗り物に乗ることが大好きで、出会うたびに写真や動画に収めています。
ボツワナのコンビはもはや日常になっていて、それらの乗り物とはまた別枠になっていますが、コンビの路線を通して繋がった縁を大切にしたいです。
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