2025/02/04 Tue
活動
認定証授与の背景にあるもの
コロンビアのアルメニア市にある教員養成校で小学校教育隊員として活動している熊原美樹です。
私の基本的な活動は、教員や学生の授業を観察し、その時の写真やビデオを見せながら、継続すべき素晴らしい点やその理由、改善のアイデアを任地の人達に伝えることです。そして、情報収集したことやカウンターパート(コロンビア人担当者。以下、CPという。)が日頃から課題としていたことを全体の研修会に反映させます。
CPは前任者との活動の成果から、私はコロンビア人の良いところを引き出したい、という思いから、相談してこのような形態になりました。
その他に、一コマだけ教員養成課程の学生向けの授業もあります。時々、CPが私の下手なスペイン語を補って解説してくれるのですが、結局、殆どCPが喋っていることがあります。その時、私はよし!と思います。何故なら、CPは私の伝えたいことを理解し、CP自身も伝えるべきだと判断し話してくれているからです。それこそ私の狙いです。そして、そのようなことが起きた後、私達は顔を見合わせ笑い合うのです。「教師は喋りすぎてはいけない」と。私たちが時間を共にし、意見を交換して情報を共有して、このようなムードになってきました。
このような活動形態になるまで、コロンビアの生活も含めて様々な場面で観察を続け、悩みました。今、コロンビアは急速に発展しており、私はそんな現状を観察しながら、彼ら自身の手で発展していく方法を考えました。一方、CPは、教員養成課程の見直し、算数授業の改善、教員の研修会の充実等、様々なことに奮闘していました。
そこで私は日本での類似事例に関する資料を作りました。CPは私の話をよく聞き、私を理解しようと努め、私から必要な情報を取り入れました。そして、ある時、その資料をもとに、彼女は市の教育局でプレゼンしました。そして多くのことが次々に実現しました。(詳しくは、別の回で綴りたいと思います。)
教員対象の研修会は、年間計画に基づき実施すること、その計画・準備に多くのコロンビア人が携わること、コロンビア人教師がお互いの授業を見合って学び合うこと。
そして、「頑張っている先生達に何か労いをすること」。
当初は児童不在の活動に給料は払えないと言われていました。しかし、目的は先生達を労い、その情熱を持続させること。それらを達成するためのアイデアをいくつか出していました。そんなことも忘れていた頃、いつの間にかそれが実現していました。
1年間の研修が終わり、研修受講認定証を一人ひとりに渡す時が来たのです。研修に参加した先生方、運営に携わった先生方や学生達も、認定証を受け取って嬉しそうに見えました。そして私にも準備した一員として認定証を用意してくれていました。私はそれを受け取り、仲間として嬉しく思いました。
認定証の授与に関して、私は認定証へのJICAロゴマークの使用許可を取っただけでした。しかし、市の教育局担当者とCPは、私の情報提供をきっかけに細かく調整し、この研修会に参加したことを科学技術省の履歴書に記載することができるという価値まで付加していました。
ここでの活動には、日本で学んだ「生きる力」と「深い学び」、「問い続け、学び続ける」ことが大きく生かされている気がします。
私たちは、お互いが目的達成のために何をするか解決の糸口を探す仲間であり、常に対等な関係にあります。それぞれの文化の違いとその根拠をヒントに私は情報提供し、コロンビアにおける条件を深く理解しているCPはコロンビア流の多くの解決策を見つけました。私はCPの行動力や人間性から多くを学びました。
この出会いに感謝し、任期満了までCPと一緒に問い続け学び続けていきたいと思っています。
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