2025/11/04 Tue
生活
#04 メデジン市でホームステイ生活【ソーシャルワーカー/板】


こんにちは。コロンビア第二の都市メデジンで、ソーシャルワーカーとして障害福祉の活動をしている板華子です。メデジン市では、障害者権利条約にもにも書かれている「自立生活」を推進しています。これは、どんな障害があっても自己決定に基づき自分の判断で必要な支援を使いながら、地域で自分らしい暮らしを行うことが出来るという考え方です。
1枚目の写真は、実際に街中に出かけて公共交通機関の利用の仕方や権利について学ぶ4日間の「自立生活キャンプ」の参加者たちが協力して書いたバナーです。「NADA SOBRE NOSOTROS SIN NOSOTROS」=「私たちのことを私達抜きで決めないで」という障害者運動のスローガンが書かれています。この言葉は障害者権利条約の制定過程で、障害当事者が繰り返し訴え、世界中に広まりました。今でも世界中で大切にされています。
コロンビアでは、障害のある人が利用できる公的なサービスや制度が利用しづらく、権利条約に書かれているような様々な権利が護られた状態とは言えません。そんな状況の中で、障害のある人自身の参加により社会を変えていく障害者運動も進められて来ており、たくさんのパワフルな当事者の方々と接しながら活動をしています。



2024年2次隊として2025年1月から活動をしています。協力隊としての生活は1人暮らしかホームステイか分かれます。
国や地域によって条件は異なりますが、コロンビアは1人暮らしかホームステイか希望を出すことが出来、私は現地の人の生活をより深く知りたいと思いホームステイを希望しました。同期隊員では、ホームステイを希望していたが受け入れ先が見つからず1人暮らしになった人もいたので、希望しても必ずそうなるわけではないようです。
ホームステイ先は配属先が探してくれて、配属先の職員の親戚夫婦が受け入れても良いと言ってくださり、JICA担当者の安全確認等を実施した上で住むことになりました。治安対策上下層階には住むことが出来ない規定で私も10階以上に住んでいてメデジンの街が見渡せて夕日がきれいです。
私の場合は個室とシャワー・トイレ、クローゼットはプライベートスペースとして使わせてくださっています。台所やリビングは共有です。コロンビアの人達は昼食をたくさん食べてその分夜は軽めでそんなにこった料理は作らない家庭が多いので、私が家で料理をしたい夜の時間に被って困るということは無いです。
コロンビアは内戦が50年以上続いていた国で、メデジン市は今は治安が改善しつつありますが長年深刻な都市暴力にさらされてきた地域です。活動で出会う車いすユーザーの方も受傷理由が強盗にあい銃で撃たれたという方も少なくありません。市内でも犯罪が多いエリアがあるため、そのような状況も踏まえて住居を選ぶことになります。夜は道でケータイを出さない、暗くなればタクシーを使う、公共交通機関ではかばんを前に持つ等基本的なことに気を付けて生活をしており、今のところ犯罪被害には合わずに落ち着いて過ごせています。



ホームステイは人間同士なので合う合わないがあると思いますが、私はホームステイにして良かったと思っています。理由はたくさんありますが、私の中で大きい点を3つ挙げてみます。
①怪我や病気、地震等の自然災害時にすぐに相談できる。こちらでの生活をはじめてから数回やや大きめの地震がありました。歯の詰め物が夜に突然とれてしまったことや、風邪等の体調不良もありました。そのような場合にすぐに相談出来たり、信頼できる情報をもらえることはとても安心です。
②活動先以外の繋がりが増える。コロンビアでは、(多くのラテンアメリカの国々もそうだと思いますが、)家族で集まることをとても大切にしており、頻繁に家族で出かけたり一緒に食事をしたりします。私も時々週末にホストファミリーと出かけて、ホストマザー・ファザーの兄弟・親戚・従妹等々沢山の方々と交流させてもらいました。家族行事や家族の距離感等を知ることが出来ます。
③話を聞いてもらえる。活動を開始して約10か月が経ち、スペイン語にもだいぶ慣れては来ましたが、最初の頃はスペイン語漬けの生活に疲労困憊でした。活動中は時間を無駄にしないよう出来るだけ早く話さないとと思うと、発言することを遠慮してしまうこともありました。そんな中で家に帰ると焦らずゆっくり話を聞いてもらえたのは、スペイン語に慣れるためにも私のメンタルヘルス上もとても良かったと思っています。
現在コロンビアでホームステイをしているのは、隊員31人中5人だそうです。1人暮らしを希望する隊員の方が多いようですが、ホームステイ生活も合えば良い体験がたくさん出来ます。以上、メデジンからでした。

板 華子
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