JICA海外協力隊の世界日記

コロンビア共和国便り

環境教育/コロンビア日記8(2年目途中までの活動紹介-4)

こんにちは。
コロンビア共和国に環境教育の隊員として派遣中の、三井貴博です。
派遣開始から1年9か月が経過し、今回は、9月から10月にかけて行ってきた活動内容についてご紹介します。


1. 活動の大まかな流れ(2年目)

(1) 2025年2月~8月
過去の記事(日記4日記5日記6)を参照

(2) 9月
配属先のヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・プレセンタシオン学校(以下、「配属先」と示します)にて、中等教育課程(6~11年生の計36学級)を対象に授業を実施。

(3) 10月
・配属先で収穫したそばを用いた「そばアレパ」の試食会を実施。
・配属先の幼稚園生及び初等教育課程(1~2年生の計15学級)を対象に授業を実施。


2. 活動の具体的な内容

(1) 配属先でのやり取り

2年目の主な活動目的は、そばを活用して学校の緑化を推進することでした。
この活動の中で、そばの種子は食べることができるということを学校長に教えたところ、「そばの栄養や料理について、ぜひ児童・生徒たちにも教えてほしい。できれば生徒や教職員にそば料理を試食させて欲しい」と強い要望をいただきました。

背景には、任地の一部家庭が貧困により1日3食の確保が難しいという現実があります。
比較的安価で手に入り栽培期間が短く、栄養の豊富なそばは、緑化の枠を超えて人々の食生活を豊かにする可能性があるとして、学校長の中で期待と関心が高まったそうです。
これを受け、そばの栄養と世界のそば料理に焦点を当てて4巡目の授業を行うことになりました。
また、10月下旬の学校行事に合わせて、そば料理の試食会を実施することになりました。

(2) 授業の実施

ア 中等教育課程の6~11年生
そば粉に含まれる栄養を座学で説明し、アジアやヨーロッパ等の様々なそば料理を写真と併せて紹介しました(写真1、2)。
コロンビア人の大好きなパンやクッキーもそば粉で代替できるということに、生徒から驚きの声が多く上がりました。

写真1、2.png

イ 幼稚園生と初等教育課程の1~2年生
様々なそば料理の写真を提示し、それぞれの特徴を教えました。
また、そばの植物体やそば料理の絵への色塗り作業を実施しました(写真3、4)。
初めて見るそば料理の絵に興味を持ち、集中して色塗りをする様子が多く見られました。
授業後には、児童たちから「日本のそば(麺)を食べてみたい!」という声も多く聞かれました。

写真3、4.png

(3) そば料理の試食会

ア 試食料理の決定
トウモロコシの粉から作る「アレパ」という料理(コロンビアの国民食)にヒントを得て、配属先で収穫したそばの種子を粉にし、試食用の「そばアレパ」を作ることにしました。

イ そば粉の準備
約200人分のそばアレパを作るため、同僚の家にある電動製粉機(写真5)を借りて、約6 kgの種子を製粉しました。
殻が粗く残ったため、ザルでふるいにかけ(写真6)、純粋なそば粉を準備しました。
これまでの数えきれない苦労を経て、ようやく製粉までたどり着いた安堵感と、約2年ぶりに嗅いだそば粉の懐かしい香りが合わさり、胸が熱くなりました。

写真5、6.png

ウ そばアレパの加工
そば粉でのアレパ作りは初めてだったため、既存のトウモロコシアレパの作り方を参考に、材料と分量のイメージを固めました。
生地作りと成形を終え、焼く工程は同僚の家族にも手伝っていただきました(写真7、8)。
そして一枚も失敗することなく、200枚のそばアレパが完成しました。

写真7、8.png

エ 試食本番
10月下旬の学校行事に合わせ、そばアレパの試食を実施しました。
アレルギーに配慮し、事前に書面で保護者の同意を得た生徒のみが試食に参加しました(教職員は任意)。
生徒や教職員がそばアレパを美味しそうに食べる様子や、嬉しい感想が次々に寄せられるのを見て、再び感動で胸が熱くなりました。
試食後のアンケートは、約200人中116人から、以下の回答がありました(質問1から質問6)。

質問1、2.png

質問3、4.png

質問5、6.png

また、以下のコメントをいただきました。
・「新しい味でとても気に入った。また食べたい。」
・「栄養が豊富であり、味も良い。」
・「味や食感を気に入ったが、香りが特に良かった。」
・「とても気に入ったのでスーパーや売店で売るべき。」
・「自分で作れるよう、レシピを教えて欲しい。」

他にも、そばアレパを高く評価するコメントをたくさんいただきました。
校内の緑化を推進するために始めたそば栽培でしたが、最終的にそばアレパが多くのコロンビア人の心に残り、喜んでいただけたことはとても嬉しく思いました。
この経験が、生徒や教職員の食の未来や、環境への意識に少しでも繋がるよう願っています。


3. 今後について

配属先は11月に定期テストや年度末の学校行事があり、それらが終わると1月下旬まで長期休暇になります。
私の任期は1月で終了するため、任期中に予定していた活動計画はこれで全て終わりました。
次回はこの2年間で、活動や生活に関して気持ちがどのように変化していたかを振り返ります。


過去の記事
 環境教育/コロンビア日記1(任地紹介)
 環境教育/コロンビア日記2(1年目の活動紹介)
 環境教育/コロンビア日記3(任地の人々との交流)
 環境教育/コロンビア日記4(2年目途中までの活動紹介)
 環境教育/コロンビア日記5(2年目途中までの活動紹介-2)
 環境教育/コロンビア日記6(2年目途中までの活動紹介-3)
 環境教育/コロンビア日記7(2年目途中までの活動紹介-4)

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