2025/01/08 Wed
活動 自然
No. 11 赤道直下氷河輝くカヤンベコカ国立公園、そしてその未来・・・
Hola、みなさんこんにちは。エクアドルにある14の国立公園のうち、3番目に面積が広く3番目に高い山があるカヤンベコカ国立公園で活動中の三津野です。担当は環境教育で、公園入口での案内や自然観察会でのガイド、地元の学校への出前授業、公式HPでの情報発信などを行っています。
「豊かな生物多様性」
カヤンベコカ国立公園は赤道直下のアンデス山脈中に位置し、公園の中心には標高5790mのカヤンベ火山があり4800mより上部は氷河に覆われています。また東側地区(標高600m)はアマゾン最上流部にあたり、熱帯林に覆われています。従って植生は低いところから順に、熱帯林→雲霧林→パラモ(アンデス特有の草原)→氷河と変化し、そこに展開する動植物相は非常に多様性に富んでいます。
頭上をエクアドル国鳥であるコンドルが舞い、その下をピューマやメガネグマが走るのを目の当たりにできるなんて、自然が好きな人(私を含め)には、ホントたまりません、ぜひ一度おいでください!(日本から遠いですが・・・)。
「氷河の後退にみる地球温暖化」
氷河の絶景を求めて公園には年間約4万人の観光客が訪れます。四輪駆動車なら標高4600mまで登れ、登山道を標高差200mも登れば氷河にタッチできるのが大人気の理由でしょう。
しかしこの氷河、約10年前から地球温暖化による後退が始まり、特に直近5年は凄まじい勢いで後退が続いています。写真の赤線部分まで10年前には氷河が存在したそうで、その変化にビックリです。そして実際に私が赴任して約1年、氷河末端は約70m退いているのです。
「もしこの調子で融解が進めば・・・」と考えると恐ろしくなります。というのもカヤンベ氷河はアンティサナ氷河等と共に、首都キト220万人をはじめとして多くの人々の水源地であり、アンデス地区の農業と酪農を支える重要な生命線であるからです。氷河が消滅すれば、アンデスの人々は生きていけなくなるのは確実です・・・。
自分が担当する環境教育の場面でも、地球温暖化と氷河後退のテーマを取り上げています。しかし温室効果ガスを多く排出しているのは日本など先進各国であり、エクアドルからの排出は比較するとわずかである事実。私の気持ちは複雑です。
いつも明るく迎えてくれるエクアドルの子どもたち。その将来が脅かされることはあってはならない、そう思いながら今日も学校に出かける私です。
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