JICA海外協力隊の世界日記

エクアドル便り

No. 18 環境問題の救世主!?エクアドルで見つけた「お直し文化」

こんにちは!エクアドルで環境教育隊員として活動している吉田留美です。

私が今暮らしているのは、標高2750mに位置する、人口約1万4000人の小さな町。この町では、ゴミの分別や廃棄物処理の改善に取り組んでいます。リサイクルの意識はまだまだ低く、課題は山積みです。
けれど、そんな中で出会った「お直し文化」に、すっかり魅了されてしまいました。

豊かな自然やご飯、南国のフルーツにお祭などなど、エクアドルには素敵な文化がたくさんありますが、でもその中で私が心惹かれたのが、壊れたモノを当たり前のように直して使い続けるという日常の風景でした。

エクアドルには、お直し屋さんがたくさんあります。昔はもっと多かったそうですが、今でも街のあちこちで見かけるほど根づいています。
洋服はもちろん、靴やバッグ、時には電子機器まで。町に根づくお直し屋さんは、暮らしに欠かせない存在です。
仕上がりは完璧というわけではないけれど、日常使いには全く問題なし。むしろそのちょうどいい加減が私には良い感じなのです。

(写真:靴のお直し屋さん。靴だけじゃなくバッグなども直してくれる)

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スーツのお直しだってお手の物。ホストファミリーの子どもは、おじさんのお下がりスーツを一回り小さいサイズに数ドルでお直ししてもらっていました。新品なら何百ドルもするスーツが、わずかな費用で生まれ変わる。それを日常の中で当たり前のように活かしているこの文化がとても好きなのです。

スニーカーのメッシュ部分の破れや、内側の擦り切れも、1か所1ドルでパパッと直してくれます。また、服に至ってはお手頃価格でリメイクもしてくれるので、古くなったデザインでもあらたに命を吹き込むことができます。
壊れたからといってすぐに捨てるのではなく、まず「直せるか」を考える。そんな価値観が、この町では自然と根づいています。

日本にいると、お直し代の方が高くつくし、新しく買った方がいいかも、とついつい考えてしまいがち。特に私のように手頃なものを使っていると、お直しに原価以上かかることも...だけどここでは、ほんの数ドルで愛用品が元気を取り戻してくれる。

(写真:スカートのリメイクを相談中のお客さん。膝丈のスカートをミニスカートにしたいそう。)

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ここ数年、ファッション産業が環境に与える影響が注目され、リサイクル素材やオーガニックコットンなど、サステナブルな選択肢が増えてきました。それはとても素晴らしい流れです。
でも私は、ひとつのものを長く大切に使うことこそが、もっとも環境負荷の少ない選択肢なのではないかと感じています。
日本にもかつて「直して使う」という文化がありました。私の祖母も、壊れたものを自分で直しては、丁寧に使い続けていました。経済の発展とともに薄れてしまったこの文化を、日本でも見直すタイミングなのではないでしょうか。
もしかすると、環境問題の救世主は最先端の技術や制度ではなく、もっと身近にあるのではと思うこの頃です。

(写真:お直しを終えて生まれ変わった私の愛用品!ありがとう!!)

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