JICA海外協力隊の世界日記

フィジー便り

理学療法士隊員/ 1年8か月目:活動編 ― ポジティブとネガティブを添えて

Bula!理学療法士隊員の古谷優衣です。前回の投稿から、あっという間に2か月が経ちました。時間の流れの早さにびっくりしつつも、この2か月を振り返ると本当にいろんなことがあったので、まあ、それくらい経ってるか、とも思える複雑な感情です。

今まであまり活動のことについて書いてきませんでしたが、『言霊』の力を使うためにここに書いてみると、私の現在考える残りの日々で動きたいと考えていることは、以下の4つです。(あくまで現在…)

・症例検討会開始

・初期評価用紙の改正

・フィジーの障がいを持つ子ども達とその家族の抱える問題を調査→今後の活動先のNGOの方向性を考えるためや、データを他の機関にも繋げたい

・フィジーの車いすやおもちゃなどの子ども達を取り巻く環境因子となる部分をもう一歩動かす(0から1にする…要素を作る&集める)

派遣前、「最初の1年は環境に慣れるのが大変。2年目に入るとあっという間で、どんどん楽しくなってくる」とよく聞いていました。確かに、2年目に突入した頃は私も「これからは上昇気流だ〜!」という気分でした。
……が!そんなに物事はうまくいかず(笑)。

派遣国(私の場合はフィジー)の状況や人間関係が、より見えてくるようになりました。
言葉の理解や表現も少しずつできるようになってきた分、同僚たちのネガティブな話が聞きたくなくても耳に入ってしまい、勝手に不愉快に感じてしまうことも。
仲が深まったからこそ、冗談にモヤモヤすることもあります。
また、残りの日数や自分の活動のゴールを何度も考え直したり、活動後の生活を現実的に考え始めたり…。

それでも、そんな環境の中でもまれながら、メンタルも体力も鍛えられつつ、「これも成長痛だな」と思える自分が確かにいます。

今回は、そんな1年8カ月の中で最近あった“ハッピーだった出来事”と“ちょっとアンハッピーだった出来事”を一つずつ書いてみようと思います。

まずは、活動中のハッピーで明るい出来事から。

実は今年に入ってから、私は毎月1回、部署の仲間たちに向けて勉強会を開いていました。きっかけは、同僚たちから「学びたい!」とお願いされたことでした。最初のうちは、決めた日にコツコツと開催できていたのですが…雲行きが怪しくなり始めたのは6月頃。8月に控えた職場の一大イベントの準備でどんどん忙しくなり、勉強会は後回しに。
(もう必要とされていないのかな…?)と思っていた時期もありましたが、予定より3か月ほど遅れて、今月ようやく全ての勉強会を終えることができました!これからは、勉強会で学んだことを生かしながら、症例検討会を順番に担当していく予定です。

フィジーでは、目の前のことに全力を注ぐ人が多いように感じます。言い換えれば、「計画や約束はあっても、それより“今やるべきこと”が優先される」という感じです。だから、同僚たちが勉強会を軽視していたわけではなく、ただ“目の前により重要なことがあった”というだけのこと。
もちろん、準備をしていた私としては少し落ち込むこともありましたが、物事が計画通りにいかないことに対してへこんでいても仕方がないと気づかされました。そして何よりも、私自身が楽しそうに活動することこそが、周りを巻き込むために一番大切なんだと改めて実感しました。

さらに嬉しかったのは、同僚と一緒にコミュニティ巡回をしていたときのことです。
「これからは、リハビリの長期目標と短期目標を立ててから関わっていきたい」と、同僚の口から初めて聞けた瞬間がありました。その時は、心の中で思わずガッツポーズ。

2年間という限られたボランティア期間の中で、しかも海外から来た“よそ者”として、この土地にどれだけのことを残せるのか、今でも正直わかりません。
でも、誰かの心に小さくても確かな変化を残すことができたなら、それはきっと大きな成果なんだろうな——最近、そう思うようになりました。

次は、あまり良くなかった出来事について。

既に少し触れましたが、こちらの人の“冗談”には本当に心をもっていかれることが多いです(笑)。

日本人は、良くも悪くも「自分」と「他人」との間にしっかりとした境界線を持っていますよね。それが孤独を感じやすい原因になっている一方で、その境界線のおかげで自分を保てている部分もあると思います。
一方フィジーでは、けなし合いながらじゃれ合うようなコミュニケーションが日常的にあります。(もちろん人によりますが…) 加えて、気分や状況によって言うことがコロコロ変わることも多いです。(こちらももちろん人によりますが…)
「同じ方向を向いて歩いている」と思っていた人から、突然突き放すような言葉をかけられたり、冗談のつもりで言われた言葉に反応してしまって、空気が重くなってしまったり…。

これこそまさに、“価値観の違い”なんでしょうね。

ただ最近は、そんな時こそ私の憧れである「明石家さんまさん」を思い浮かべて、「人を傷つけない笑い」を意識するようにしています。どんな時でも心にゆとりを持てる人間に、少しでも近づきたいものです。

そんなこんなで、毎日3歩進んで2歩下がりながらも、少しずつ前に進んでいます。
残り約4か月、どこまで行動できるかは分かりませんが——帰国の飛行機の中で、窓の外に遠ざかっていくフィジーを見ながら「やりきった!」と笑顔で涙を拭えるように、日々を大切に過ごしていきたいと思います。

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