2025/10/27 Mon
活動
マーケティング隊員/活動2年目の葛藤 (2/2)

(写真)先日登山をしてきました。フィジーは海だけでなく山のレジャーも盛んです!
みなさんこんにちは。フィジーのラウトカで漁業組合の支援活動を行っているマーケティング隊員の木村です。
今回は前回の記事に続いて2年目の活動の振り返り(後半)です。
4月後半に組合が活動している漁港に観光地のレストランを経営するマネージャーさんがやってきました。組合の人たちはビジネスの話は分からないというので私が話を聞くことに。慣れないヒンドゥー訛りの英語に苦戦しつつもヒアリングをしてみるとどうやら魚を配送してくれるサプライヤーを探しているとのことで、漁港に直接調査しに来たそうです。話し合いの結果、週に計100kgの魚を配送することになりました!組合にとっては思わぬ収益アップのチャンス!どうにか軌道に乗せたい!というやる気と共に配送が始まりました。
流通の仕組みとしては魚を取ってきた漁師から組合が魚を買う⇒市場で配送日まで保管する⇒配送日にレストランまで配送する、という流れです。一見シンプルに見えますし最初は上手くいっていました。最初は…

(写真)ヤギは肉を目当てに港によく運ばれてきます。このヤギは500フィジードル(※)でした。※約3万円ほど
数週経つと配送に色々と問題が目立ち始めました。
最初の問題は魚の確保。漁師たちは獲れた魚を昔から関わりのある仲買人や高い値段で買ってくれる人に売ろうとします。たとえ組合だろうと何も優先されることはなく、彼らにとってすべての買い手は平等に扱われます。この慣習は漁師にとっては合理的ですし何も間違ってはいないのですが、仲買人に資金力で劣る組合には不利に働きます。結局レストランの望む量の魚を確保できない週が続いてしまいました。
またレストランが望むサイズの魚以下の小さい魚ばかりを獲ってくる漁師が多く(この辺は最初の打ち合わせで確認すべき点でした)、望むサイズを取りそろえることもなかなか叶いません。
次の問題は魚の保管。買った魚は配送日までカギ付きの保管庫に氷と一緒に保管しています。しかしなぜか購入時と配送時で魚の重さが違っていることがありました。魚の数を照らし合わせると数が減っていることが判明。何も証拠が残ってないので断言はできませんが、誰かが魚を盗っている可能性があります。カギを取り替えたり、保管庫の場所を変えたりしたのですが、どれも有効な解決策にはならず…最終的に監視カメラを導入したことで一旦は落ち着きを見せていますが、これも完璧な対策となるかどうかは分かりません。
最後に魚の配送。レストランのマネージャーさんと話をした際に注文は配送日の3日前までにしてほしいと伝えましたが、いざ配送が始まってみるとそう簡単にはいきません。「明日欲しい」や当日キャンセルなどが頻発し、毎週のように振り回される結果となってしまいました。特に当日キャンセルの場合、生魚は鮮度の問題からすぐに別の買い手を探さなければなりません。結果、価格を下げて売ることも多くなり利益ゼロまたは赤字で売る事もしばしばありました。

(写真)配送する魚を氷と共に保管しているところ。Waluと呼ばれるサワラに近い魚を配送しています。
こうした問題を抱えながら配送すること約半年。ひとつ問題が解決されたと思えば新たな問題がふたつ発生するような状況を乗り切りながら、今ではどうにか配送ビジネスが形になってきました。初めの3か月は私が率先していましたが、その後は組合に一連の流れを引き継ぎ、今では基本的には見守るスタンスをとっています。
当初は組合に任せていては自分が来た意味が無いと思い率先してレストランとのビジネスを進めましたが、これが最善策だったかどうかは未だに分かりません。もっと組合の反応を見ながら進めれば苦労することなくビジネスを進められていたかもしれません。ただし今回はスピード感を優先しました。その結果組合は新しい収入源を得ることができたので、少なくとも間違ってはいないだろうと信じています。
協力隊員として現地の人々の自主的な活動を促しつつ、一方で彼ら自身ではできないことをサポートする。その絶妙なバランスがとても難しいと実感した2年目の活動記録でした。
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