JICA海外協力隊の世界日記

ガーナ便り

KAIZEN大会② ~アフリカンドレス66着の価値編~

Me ma mo aha!(Twi語で皆さんこんにちは)

今回はKAIZEN大会に向けて各企業と数多くの取り組みをした中で、ひとつ印象的だった出来事を紹介したい。

それは、ある仕立て屋での話。

その日の訪問の目的は大量にある布の在庫整理。

店舗の壁に大きな壁掛けタイプの棚があって、そこにお客さんから預かった布や、製作途中の布や完成品、布の端切れなどが全て一緒になって押し込まれてる。

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当然、目当ての布を探すのは一苦労。棚の下の方にある布を取り出すためには、上に重なっているものを別の場所に移さないといけない。

「うわー、久しぶりに見た」「これ探してたやつ!」など、日本で年末の大掃除をしている時のような言葉を言いながら、お店の外に運び出して中身を空っぽに。そして、1つずつ、必要なものと、そうでないものを分けていく。

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そして、これが終わった後の写真。

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頑張って整理した結果、在庫は約半分に。みんな疲れた表情をしつつも、「これなら使いやすいわー」とスッキリした棚を見て満足そう。

でも、自分が気になったのは完成したドレスの山。数えてみると、その数はなんと“66着”。オーナーのMaryに理由を聞くと「お客さんが取りに来ないのよね。忘れちゃってるのかも。」と少し苦笑いしながら話す。

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確認してみると完成してからすでに3か月を経過しているものが半数。中には2年以上経過しているものもある。しかし、お店で電話番号を控えているわけではないので、どうすることも出来ない。

お店側にも悪い所がある。お客さんから服を受け取ったらとにかく棚に突っ込むので、オーダーの管理が出来ていない。1か月たってお客さんが様子を見に来てもまだ作り始めていないこともよくある。お客さんも初めはお店に催促するけど、時間が経つうちに忘れていってしまうのだろう。もしかしたら他のお店に流れてしまっているかもしれない。

オーダーメイドの服を作るのというのは自分にとって特別なことだ。

どんな服がいいかなと考えながらマーケットで布を探し、お気に入りのものを仕立て屋に持ってく。そしてこんなデザインがいいというイメージの写真を見せながら、その為の採寸をする。そして、23週間後にお店から電話がかかってきて、服を取りに行く。最後に一度試着をして、細かい部分を修正してもらい、ようやく完成。

仕立て料金は上下セットで1200円程度。上のシャツだけなら500円から。

目の前で自分の服がみるみる作り上がっていくのを見ているのはとても楽しいし、そんな仕事をしてしまう仕立て屋には自然と尊敬の気持ちが湧く。

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けど、こんな感覚を持っているガーナ人は少ないようである。もちろん服を作ることに慣れてしまっている部分はあるだろうけど、だからこそ、完成した服が2年以上もお客さんに放置されてしまうのだと思う。

作っている本人達も、せっかくすごい技術を持っているのに、それをあまり誇らないし、大事にしない。このように、服を作る以外の部分が原因でオーダーメイド服の価値を下げてしまっているのが、なんだかもどかしい。

大掃除の後、このことについて何度も説明したつもりだけど、果たして伝わっただろうか?

KAIZEN活動を通じて変えられるのは目の前の現場だけ。

だけど、綺麗になった現場を通じて、自分たちが作る服の価値に気付いて、それが最終的にお客さんに伝わるようになったらいいなと願うばかりである。

このお店のその後に期待!

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