2025/09/15 Mon
イベント 文化
ガーナでも夏の甲子園が開催!~熱き若者たちの青春ストーリー


先日8月30、31日とガーナでは、昨年度に続き2回目となる「Ghana Koshien(ガーナ甲子園)」が開催されました!
Ghana Koshienは、日本の高校野球「
この大会は、「Japan-Africa Baseball & Softball Association(J-ABS)」が主催しており、アフリカ55か国を対象とした広域プロジェクト「Africa 55 Koshien Project」の一部として展開されています。
(参考:パラサポWEB「アフリカでなぜ甲子園大会? 日本野球に取り組む子どもたちに起きた驚きの変化とは」)


今回は、ガーナ国内のグレーター・アクラ州、イースタン州、セントラル州、
私も、甲子園当日に、会場に足を運びに行ってきました!
私の今回の注目ポイントは、任地ボルタ州の少年・少女たち!ボルタ州からのエントリーは、今年初!ということで…期待が高まっていたことと思います。そんな中、実は今回機会があって、ボルタ州チームの練習風景も覗きに行ってきたのです!
そこで見たものは、大会コンセプト通りの、日本の「
(参考:J-ABSウェブサイト
当日のような綺麗なグラウンドではなく、野球ができる程度に草刈りをした土の上で、熱心にボールを見つめ、追いかけ、めがけてキャッチし、必死に満塁目指して走る若きフレッシュな子どもたちを目にしました。中には、数名の女子学生や小さい背丈の少年少女の姿も。
ジェスチャーも交え、熱い指導とエールを送りつづけるガーナ人コーチや、英語で一生懸命にベースボーラーシップを指導する日本人青年。選手としてグラウンドにいるわけではないのに、一緒にその野球を観ていた小さな子どもに、「グローブを投げて渡すな!」と注意する少年。コーチが「集合!」と声をかけたら、素早く駆け足で集まり、真剣な顔つきでコーチの目を見つめながら、じっと静かにコーチの話に耳を傾ける少年少女。
まるで、部活動に明け暮れる日本の小中学生のような風景で、なんだか、懐かしさというか、風情というか… 何かピュアで真っすぐで熱いものを感じました。
大会に出場できるのは、選ばれたメンバーだけ。試合である以上、これは避けられない事実。でも、コーチが子どもたちに伝えていたのは、「選ばれなかったとしても、野球をやめないでほしい。決して”選ばれる”ためだけに、野球をするということはしないでほしい。これを機に、野球を好きになってずっと続けてほしい…」というものでした。
野球を通して、人としてスポーツマンとしての礼儀作法、集団行動としての規律、勝負することへの正義など、指導者・選手それぞれの側から、教え学ばされることがたくさんあるのでしょう。
協力隊員や、この大会のためにはるばる日本から来てくれていたJ


大会の結果としては、ボルタ州チームは、残念ながら芳しい結果とはいきませんでしたが…
でも、この夏の想い出は、忘れがたきものとして、彼らの脳裏に深く刻み込まれるでしょう。今までの練習や大会を通して感じた、その悔しさや嬉しさは、この先、彼らを何倍にも成長させ、たくましく強く、立派なベースボールプレイヤーとして育て上げてくれると信じます。
ガーナナショナルチーム「ライジング・スターズ」と日本からの短期野球隊員や海外協力隊員、JICAガーナ事務所スタッフが混合の「ジャパン・チーム」とのエキシビションマッチも見所でした!
もちろん野球経験も全くなし、野球のルールに詳しいわけでも全くなく、なんていたって球技が苦手な私ですが…(笑)
「スポーツは国境を超える」という言葉の意味を再認識しました。JICAでは、「スポーツと開発」という言葉をスローガンに掲げ、国際協力・平和への友好活動を推進しています。言葉の壁、文化の壁、ジェンダーの壁を越えて、人として、伝え・伝わり、分かち・分かり合える”何か”が必ずあるのだということなのだと思います。そう考えると、スポーツの力は素晴らしいですよね!
水泳・ランニング、と個人種目しか経験のないできない私にとっては、なんだかうらやましく、眩しく映ります…。
今後も、野球に限らず、日本式のスポーツ指導や文化がアフリカにもっと浸透し、各種スポーツが盛んになり、世界を舞台に活躍するレベルまで発展する日がくることを願いたいものです。いつの日か、ガーナと日本の試合を観戦できる日がくれば…と期待をしたいですね。ガーナはじめ、アフリカは、若年層で溢れています。ポテンシャルで溢れています。世界のどこかの誰かに、小さな芽を見つけ育ててもらい、花を咲かす日がきてほしい。最高な指導者と出会ってほしい。アフリカの若き青年たちに「世界へ羽ばたく」という希望と可能性を与えてあげられる、そのような機会をも生み出せる国際協力のありかた・平和な世界であってほしい…
そう感じます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
JICA海外協力隊は、スポーツ職種隊員の募集もありますので、スポーツを通して国際協力、途上国の開発に貢献したい方!ぜひご検討くださいね。
次回のガーナ便りでまたお会いしましょう♪
★★★ 参考情報 (ガーナの甲子園について)★★★
<<歴史と背景>>
- 日本政府の草の根文化無償資金協力により、2014年にアクラのラボネ高校内に「KOSHIEN GHANA」と呼ばれる本格的な野球・ソフトボールグラウンドが整備されました。 (参考:外務省ウェブサイト)
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ガーナで初めての全国規模の甲子園大会は、2024年に首都アクラで開催されました。これにより、ガーナはタンザニア、ケニアに続き、アフリカで3番目に甲子園スタイルの大会を開催した国となりました。初開催となった2024年大会は、JICAボランティアとして派遣された慶應義塾大学の野球部員らの指導のもと、アクラのラボネ高校のグラウンドで開催され、ガーナ野球・ソフトボール連盟との協働で成功を収めました 。
(参考:Modern Ghana ”Ghana hosts successful Koshien Baseball Championship”)
<<なぜ甲子園スタイルが導入されたのか? >>
- 日本では“部活動”が学校教育の一環として行われており、教師がスポーツの技術だけでなく、時間を守ることや礼儀、グラウンドの清掃など、人としての基本的な姿勢も指導する文化があります。こうした教育的側面を含む野球のあり方を、J-ABSでは「野球道」として捉え、アフリカの人材育成に活用しようとしています。
この文化をアフリカに広めることで、「規律」「尊重」「正義」といった価値観を通じて、非認知能力(スポーツマンシップや集中力、チームワーク等)が育まれ、学習態度にも良い影響が期待されています。実際、教育現場や保護者からは、野球を始めた子どもたちの学業成績が向上したという声や、集中力や自発性、計画力が向上したというケースも報告されています。
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