JICA海外協力隊の世界日記

グアテマラ便り

シェラ暮らし①高原都市での地域づくり(コミュニティ開発/前島玲美)

【はじめまして!】

2024年度2次隊としてグアテマラに赴任しました、前島玲美(まえじまれみ)です。 現在は、ケツァルテナンゴ市(通称シェラ)でコミュニティ開発隊員として活動しています。

【シェラという街】

アンティグアでの1ヶ月の語学研修を終え、2025年1月からシェラでの本配属がスタートしました。私が暮らすシェラは、標高2300mの高原都市で、グアテマラでは首都に次ぐ第2の都市です。

シェラの街には、重厚感のある石造りのコロニアル様式の建物が今なお点在していて、歴史の名残を感じられる一方で、モダンなカフェや大学も多く、時代と文化が重なり合うような落ち着いた都市です。街中では、カラフルなウィピル(マヤ民族の伝統衣装)を身にまとった女性の姿や、活気ある市場の風景も見られ、先住文化と現代生活が交差する豊かな日常を感じながら暮らしています。

【配属先と役割】

私の配属先は、「ロス・アルトス地域自治体連合(Mancomunidad de Municipios Metrópoli de Los Altos)」という、県内7つの市町村と連携して地域の社会・経済的発展や活性化を進める公共法人です。
活動は多岐にわたり、水資源確保の会議、森林再生を目的とした植林、地方の女性自立支援の養鶏プロジェクト、自治体のPDM-OT(地域開発計画)の更新など、地域のさまざまな課題に対して、自治体や民間、NGOと協働しながら取り組んでいます。私はその中で技術チームに所属し、まずは地域の構造やプロジェクトを理解することに注力しながら、ジェネラリスト的な視点を持って、分野を横断して地域に貢献できるような関わり方を目指しています。

【活動の中身と洞窟プロジェクト】

最近力を入れているのが、森林資源を活かしたエコツーリズムの立ち上げです。6月にはシェラの隣町、オリンテペケ市の山を視察した際に、自然のトンネル状の洞窟を発見し、その場所で「感覚」と「祈り」をテーマにした体験型インスタレーションを構想しました。人工的な音や照明には頼らず、洞窟の暗闇や静けさを活かしながら、マヤ布、葉、石、枝、鏡などの自然素材で、五感に訴える空間をつくることを目指しています。最後には、「願いを書いた葉を踏みしめて土に還す」というストーリー性のある体験を通して、自然とのつながりや、自分自身との対話を感じてもらえるような演出を考えています。

オリンテペケの洞窟.jpg

また、地域資源の保全という観点では、植林活動にも参加しています。根が浅く一帯を乾燥させてしまう藁が広がるエリアに、地域の方々と関係団体の人々と共に苗木を植えています。森林の管理は、水資源の確保だけでなく、土砂災害や洪水の防止にもつながります。配属先である自治体連合は、同じ流域を共有する複数の自治体をつなぐハブとして、連携・協働による統合的な地域づくりの重要性を担っています。

藁エリアへの植林活動.jpg

他には、地域開発計画PDM-OTの更新会議にも複数参加し、各自治体の担当者が「どのような地域を目指すか」「何が課題か」「優先すべきことは何か」を真剣に語る場に立ち会っています。「日本ではどうしてるの?」「他に視点や方法はある?」と意見を求められることもあり、ボランティアとしての視点が、地域の方向性に少しでも貢献できていることを実感しています。

【半年をふりかえって】

この半年間は、プロジェクトを理解し、信頼関係を築き、現地の状況を肌で感じる時間でした。遠回りのようでいて、これから動き出すための大切な準備期間だったと思っています。

先日、水資源に関する会議(MOA)で日本の事例を紹介した際も、技術や制度だけでなく、自然との向き合い方や教育文化のあり方にも強い関心が寄せられました。グアテマラと日本の間に「共通点」も「違い」もあるからこそ、そこに対話と学び合いの余地があるのだと感じました。

【人のあたたかさが、原動力に】

日々の活動を支えてくれているのは、やっぱり人のあたたかさです。配属先の同僚たちはとても温かく接してくれますし、人への尊重や思いやりを、言葉や行動で自然に表現する、とても尊敬できる仲間たちです。また、カフェなどプライベートで出会うシェラの人たちも、みんな気さくで親切です。

半年前は全く知らなかったこの土地が、少しずつ「自分の居場所」になってきているのを感じます。

ロッククライミング絶壁の前で.jpg

【これから】

いよいよこれから、洞窟プロジェクトをはじめ、地域の中で具体的なアクションを起こしていくフェーズに入ります。まだまだ模索中ではありますが、現地の人々とともに、一歩ずつ積み重ねていきたいです。

残り1年半のグアテマラ生活。この半年をふりかえると、想像の範囲にまったく収まらなかったので、きっとこれからも、思いがけない“未知でワクワクする暮らし”が待っているのだろうなと思っています。

どうぞ今後とも、ゆるやかに見守っていただけたら嬉しいです!

カンテルから見えたアティトラン湖と山々.jpg

*シェラ近くのカンテル市の森から見えた、アティトラン湖と山々の風景。ふと、地元・長野の景色を思い出しました!

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