2025/03/16 Sun
マラウイのIT教育


名 前:宮崎琴巳
隊 次:2023年3次隊
職 種:PCインストラクター
配属先:ムクウィチ中高等学校
出身地:愛知県名古屋市
◼️マラウイのIT教育とは?
「マラウイのIT教育」と聞いてどのようなものをイメージしますか? 私は現在中高等学校1年生のコンピュータ授業を担当しています。活動の要請内容に「Excel、Word、PowerPointの指導」と記載があったため、パソコン使ったMicrosoft Officeの学習が中心だと考えていました。しかし実際は1年生からパソコンの各世代の歴史、bit・byte計算、PCの構成部品の確認、ウイルスの種類や感染防止方法など、基本的な部分を教えています。
セカンダリースクールによってはPCが無いためコンピュータの授業自体が無い学校もあります。しかし、国としては今後ICT教育へ力を入れていくと宣言しており、私の活動先の学校には今年ICTラボが建設され、ICT教育の環境が整備されていく予定です。
◼️マラウイのIT教育の課題(教科書・環境・SNS利用)
【①教科書】
国がICT教育に力をいれていくと宣言してくれているのはとても嬉しいことです。しかし、PC等のハードウェアやネットワーク環境を整えても、教科書の内容が10年に約1度しかアップデートされない現状があります。そのため、先生が最新情報を自ら学び、教えない限り、時代遅れの授業になってしまうという課題があります。例えば現在の教科書ではWindowsのOSは7で終わってしまっています。最新のウイルスや技術に関する情報も記載されておりません。
上の写真は図書室でのOfficeインストール作業です。これから図書室にパソコンを6台設置し、生徒が先生たちの作成した教材や過去問を閲覧できるように進めていく予定です。データであれば、教材に最新情報の追加も簡単に実施することができます。また、不明点は生徒自身がインターネット上で検索して情報を入手することができるようにもなるため、これからの可能性にわくわくしています。
【②環境】
パソコンを使用して学ぶ環境が整っていないという課題もあります。現在活動先にあるデスクトップパソコンは約30台ありますが、頻繁に故障したり、停電時は使えなかったり、Officeのソフトが古くGUIが教科書と異なっております。 以下はコンピュータ室の写真です。机下の配線を机上にし、砂埃からパソコンを守るためにパソコン・キーボード・モニターにカバーをつけました。
【③SNS利用】
現在首都の生徒の多くが、本人または家族のスマートフォンを利用しインターネットにアクセスできる状況にあります。しかし、SNSの適切な利用方法やフィッシング詐欺、インターネットから起こる様々なトラブルを学校や家族が伝えておりません。そのため詐欺にあったり、SNS上で裸の写真をアップロードし事件に巻き込まれたりするという事件も発生しているようです。このようなSNSの適切な利用方法についてもコンピュータだけでなく、ライフスキル等の授業の中でも取り上げていく必要があると感じています。
◼️コンピュータ授業の様子
現在コンピュータの授業はEPSON様に貸与いただいたプロジェクターを活用して実施しています。教科書は単色でわかりづらいため、カラーのイラストや動画を利用し生徒が理解しやすいように工夫をしています。停電時も、モバイルバッテリーを利用することでプロジェクターを利用した授業を実施できています。
約40人の生徒のうち、その一割ほどしか教科書を持っていないため、定期的にノートを取る時間をつくる必要があります。そうすると授業時間内では収まらないため、補講を定期的にいれ授業進度が遅くならないようにしています。
マラウイでは先生が生徒に「教科書〇〇ページから〇〇ページまでを板書して、他の生徒はそれをノートにとるように」と指示し、そのまま先生が教室に来ないことも多いようで、私の活動先ではそのようなことは無くそうと先生たちで努力をしています。また、学期に1度、先生同士の授業見学・評価も実施し、マラウイの中でもよりよい教育を実施しようとする試みが見られ嬉しく感じています。
▼下の写真1枚目は授業風景、2枚目は生徒が自らオフィスに来てコンピュータ授業関連の問題を書き写している様子です。紙が高価なため、日本のように問題集を全員に配布できない現状があります。
◼️IT教育の可能性
現在マラウイはタバコ・茶・砂糖産業で外貨を得ているため、今外貨が不足し問題となっています。海外で働けば外貨を得る事は可能ですが、そのような事ができるのはマラウイの中でも裕福な家庭に限られてきます。しかし、コンピュータとインターネットが利用できれば、仕事の幅も広がり、マラウイにいながら外貨を獲得できるチャンスがうまれます。例えばプログラミング関連の仕事、オンライン英会話、Webコンテンツ制作等です。活動を通じて、生徒の将来の可能性を少しでも広げる手助けをできればと思います。
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