2025/03/15 Sat
M'memo!!


名 前:塩間 渚
隊 次:2023年度2次隊
職 種:看護師
配属先:ンチェウ県病院
出身地:大阪府
「Nagisaaaaa, let’s m’memo!!」
これが同僚たちとお昼ご飯を一緒に食べる日の合図です。
「m’memo(メモ)」とは、みんなでお金を少しずつ出し合い、食材を買い、料理し、一緒に食べる文化です。
私はこのm’memoが大好きです。
マラウイ人も大好きです。ある同僚になぜ好きなのか聞いてみました。
「マラウイではグループで活動するのが好きな人が多い。みんなで一つのお皿から一緒に食べ、おしゃべりをすると、より一層おいしく、楽しい時間を過ごせるからだよ。」
とても素敵な理由だなと思いました。
私の病院では、家に帰って昼食をとる人が多いです。家が遠い人や、仕事で帰れない人は病院の近くのレストランや屋台などで軽食を買う必要があります。中には、お金が無いので食べないという人もいます。
しかしm’memoをするとなると、みんな参加します。みんなでお金を少しずつ出すので、一人で食べるより安く、そして美味しいご飯を食べることができます。
自分のためだけにお金はあまり使わないが、誰かのためや、誰かと一緒に楽しい時間を過ごすためならお金を使う。それは人との繋がりや一緒に過ごす時間を大切にしているからなのだと思います。
他隊員の過去のボランティアレポートを遡って読んでくださった方は聞いたことがあるかもしれませんが、マラウイには「kalibu(カリブ)」という文化もあります。これは「ご飯をシェアしよう」「一緒に食べよう!」という意味です。
一人分のフライドポテトしかないのに、同僚は「Kalibu!」といってくれます。1年前の私は、「一人分しかないのに、もらうのは申し訳ないな…。」と思い、断っていました。しかし今は、kalibuと言ってくれた同僚の優しさに素直に甘え、その人と一緒に食べる時間を大切にしたいと思うので、ありがたくいただこうと思います。
また、こんな話も聞きました。
「俺がもし友人を飲みに誘いたいとして、友人にお金がなかったとき、俺は躊躇なく彼にビールをおごるだろう。もし俺にお金がなく、友人が飲みたいときは、友人がおごってくれるだろう。二人にお金があったとしても割り勘はしない。1本目は俺が友人の分のボトルも買う。2本目は友人が俺の分のボトルも買う。そういうマラウイの文化だよ。」
この話を聞いて、私は改めてマラウイの人々の優しさや分かち合う文化の温かさを感じました。日本では「自分の分は自分で払う」という考えが一般的ですが、マラウイでは「お互いに支え合う」という精神が根付いていると思います。それは単なるお金のやり取りではなく、「みんなと一緒に過ごしたい」「あなたと楽しい時間を過ごしたい」、そんな気持ちの表れのように感じます。
M’memoもKalibuも、そしておごり合う文化も、すべてに共通しているのは人の繋がりを大切にすること。それは日々の食事の中だけではなく、活動や生活でも感じることがあります。
例えば、ある日突然、友人から電話がかかってくることがあります。私は用がないとあまり連絡を取るタイプではないので、いつも驚いてしまいます。「どうしたの?」と尋ねると、「ただ私が元気なのかどうか確認したかっただけ」と。
また、他の県へ旅行を計画したとき、ミニバスでの行き方を同僚に尋ねました。すると、その同僚は私のために行き先の県に住む友人に電話をして、ルートを確認してくれました。
この文化に触れるうちに、「一人で頑張らなきゃ」という考えが少しずつ変わってきました。私は昔から、人に頼ることが苦手だったように感じます。頼る前に、まず自分が十分に努力しなければならないと、無意識のうちに思っていました。しかし、マラウイで過ごしてきたこの1年4か月で、誰かと助け合うことは、決して悪いことではないと気づきました。頼ってもいい。それは「頼る」ことではなく、「共に生きる」ことなのだと。
それからは活動で、同僚に相談したり、助けを求めたりすることができるようになりました。声をかけると同僚は私の予想以上に協力してくれます。
「生きる」とは、生命としての生きるという意味だけでなく、日々を過ごすという意味も含まれています。「共に生きる」こと、つまり共に同じ時間を過ごすこと。そのために人々は繋がりを求めるのではないでしょうか。
「Nagisaaaaa, let’s m’memo!!」
この言葉が聞こえると、私は嬉しくなります。今日もみんなとごはんを食べながら、たくさん話して、たくさん笑って、マラウイの文化をまた少し、深く知ることができるのです。
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