JICA海外協力隊の世界日記

マレーシア便り

10_苦労しないと、「頑張った」って言えない?

マレーシアに障害児・者支援で派遣中の島田奈緒です!
ヌグリ・センビラン州にある小学校の特別支援学級で活動しています!

先日、同僚と一緒に「KITA2026」という教育イノベーション全国大会に参加しました。
今回の世界日記は、その取り組み内容と私の葛藤について書いてみました。


同僚と私の挑戦!

posta.jpg


「KITA2026」は、マレーシアの学校現場で実践している授業改善や、教育課題の解決に向けたアクションリサーチの成果を発表するコロキウムです。
私たちが発表したのは、日本の漫画文化を取り入れたマレー語学習でした。

小学校特別支援学級の5,6年生の子どもたちは、マレー語の単語を覚えることが苦手です。一方で、多くの子どもたちは絵を描くことが大好きです。
そこで同僚と相談し、「子どもたちの苦手なことと得意なこと、そして日本とマレーシアを組み合わせて、何かできないだろうか」と考え、この活動を始めました。

正直、最初の私は、「特別支援学級の子どもたちにとって、漫画を使ってストーリーを作るのは難しいのでは?」「全国大会に応募するほどの活動なのだろうか?」と思っていました。
しかし、同僚の「やってみたい!」という気持ちが素敵だなと思い、一緒にやってみようと思いました。
協力隊として私がここにいることで、同僚が「ちょっと頑張ってみようかな」と思い、何かに挑戦してくれることが、私は何より嬉しいです。


しかし、やはり、最初はほぼゼロからストーリーを考えること自体が、子どもたちにとって大きな壁でした。

そこで、同僚がAIを使って漫画の場面の例となる画像を作ってみたり、画像だけでは理解することが難しい子どものために、動画を作ってみたり。
絵だけでもOK!英語でもOK!なんでもOK!
とにかく、「自由に楽しくやってみよう」というスタイルで進めました。

そんな活動を半年間続けていくと、子どもたちは少しずつコツをつかんでいきました。
そして、以前なら手が止まっていた子どもが、「先生、このマレー語のつづり教えて!」と意欲的に質問してくれるようになりました。

akiru.jpg

zim2.jpg

少し話は逸れますが、マレーシアは新しいもの好きです。
しかし、障害のある子どもたちにとって継続はとても大切です。
伝統や粘り強さを大切にする日本。マレーシアの「新しいもの好き」という文化は好きですが、時に私を悩ませることもありました。

例えば、卒業式の準備です。マレーシアでは、毎年新しい装飾を作り、先生たちが準備のために児童の授業を休みにすることが多々ありました。
日本では、基本的に同じ装飾を使い、看板の「第○回」を変える程度です。私は、「授業を休みにしてまで新しいものを作るなら、去年のものを使ってもいいのでは?」と思いました。

音楽や美術でも、同じ歌を繰り返し歌ったり、一つの作品に時間をかけたりすることは、特別支援教育では大切です。しかし、配属先では「一度やったら、次は新しい活動」という考え方を感じることが多くあります。

文化の違いか・・・とあまり考えないようにしてきました。

しかし、この活動では、半年間かけて、長期的に行ったことで、「文字をまっすぐ書く」「友達に色鉛筆を借りたらお礼を言う」「困ったら質問する」「最後までやり遂げる」など、子どもたちのたくさんの成長を見る機会にもなりました。
子どもたちが楽しくマレー語を学習することを目指して始めた活動ですが、一度やっただけでは見えなかった変化も、続けたからこそ見えてきました。

そして私にとっても、これまで何度も感じてきた「続けることの大切さ」を、今回の活動を通して改めて実感することができました。

下の写真は子どもたちの作品の一部です!

tanjobi.jpg

qassh.jpg

afiah.jpg


漫画から始まった日本との交流

他にも何かできないかと考え、私は日本の学校との漫画交流を企画しました。
完成した漫画を日本の学校の特別支援学級の子どもたちにも送り、同じように漫画を描いて送り返してもらうというものです。

そして、7月にはオンライン交流も実現しました。

ずっと漫画を交換してきた日本の子どもたちと、初めて画面越しに顔を合わせたマレーシアの子どもたち。その表情は、とてもキラキラしていました。
この「漫画を用いたマレー語学習」が、日本とマレーシアの子どもたちをつなぐきっかけになったこと。そして、日本の子どもたちにも、「マレーシアという国があること」「世界には、自分たちと同じように学校生活を送り、笑ったり楽しんだりしている子どもたちがいること」を知ってもらえたことも嬉しかったです。

日本の学校の子どもたちが頑張って描いてくれた漫画作品。
nihon.jpg

オンライン交流当日の様子。
online.jpg


ついに本番!

9月はじめ。この活動の発表のために、首都クアラルンプールへ。

前日はあまり眠れませんでした。なぜなら、この発表のために台本を作って練習したり、みんなで直接集まって話し合ったりすることは、一度もなかったからです……!
マレーシアに来て、ぶっつけ本番には慣れてきましたが、「全国大会」と言われると、さすがに緊張します。

しかも、私たちの発表順はまさかの1番。
緊張しながら会場に向かい、なんとか発表を終えることができました。

pin.jpg


結果は……最優秀賞とはなりませんでしたが、私たちは金賞をいただくことができました!
舞台の上でメダルを受け取った瞬間は、もちろん嬉しかったです。同僚たちと大喜び!!

しかし、その後、私は「私、この半年間、そんなに苦労していないな。」と言う感情に襲われました。

日本にいた頃、何かをやり遂げたとき、「何度もくじけそうになったけど頑張った。」という感覚がありました。
「頑張った」という言葉には、どこか苦労がセットになっているような感覚がありました。

同僚と一緒に、子どもたちの反応を見ながら方法を変えて、うまくいけば一緒に喜ぶ。日本の子どもたちともつながることができた。なんだか気がつけば半年が過ぎていたという感覚です。大変なことはほとんどありませんでした。



マレーシアの学校では、たくさんの先生や子どもたちが表彰され、メダルをもらう機会があります。1位、2位、3位だけではなく、頑張った人を幅広く認める。それは、とても素敵な文化だと思います。

一方で、実際に自分がその中に入ってみると、「苦労していなくても、賞をもらっていいのかな。」「苦労していないなら、もっと頑張らなければいけない。」と、そんな気持ちになりました…。

そんな私の横で、金賞をもらった同僚たちは、心から喜び、「よし!11月の大会にも出そう!」と、すぐに次の話を始めました。
同僚たちを見ていると、「楽しかった」と「頑張った」が両立するなんて最高なのでは!?とちょっとだけ思えました。

こちらは、後日、学校でも表彰をしていただきた時の写真です!!

gakkou.jpg

なんだか最近は自分の気持ちに目を向けることが増えました。
心のどこかで、「マレーシアの人たちのように、心に余裕を持ちたい!少しはできているかな?」と、考えているのだと思います。
何か出来事が起きるたびに、「私は今、どう感じているんだろう」と、自分の気持ちを整理することが増え、気がつけば、この世界日記も、そんな自分の心の変化について書く記事が多くなっている気がします……。

これまで考えることのなかった自分の気持ちや価値観に向き合うことができていることこそ、私にとって協力隊に参加できた大きな意義なのではないかと思います☺


拙い文章でしたが、最後まで読んでくださった方がいましたら、ありがとうございます。

Jumpa lagi⭐(また会いましょう!)

SHARE

前 最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ