JICA海外協力隊の世界日記

マレーシア便り

#14 自己紹介で民族と宗教が分かる国

”Nama awak apa ? (ナマ、アワッ、アパ?)”

「あなたの名前は何ですか?」

理学療法士隊員の三井健司です。初めて人と会う際に、挨拶の後で必ず行うのが「自己紹介」です。マレーシアでは、名前を聞くだけでその人の民族や宗教がわかることがほとんどです。これは、日本とは異なる名前の命名の仕組みが存在するためです。例えば、マレー系やインド系の方には苗字(姓)がありません。その代わりに、父親の名前を名乗るのが一般的です。苗字があることを当たり前に感じていた私にとって、この仕組みは非常に新鮮で、大きな衝撃を受けました。しかし、この名前の仕組みを詳しく見ていくと、とても合理的であることがわかります。今回は、このユニークな名前の仕組みについてご紹介します。(参照:マレーシアの名前HP URL)

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1. マレー系

  • イスラム教徒が多いため、名前はイスラム教の伝統に基づいています。

  • 構成: 個人名 + binまたはbinti + 父親の名前(例: Ahmad bin Ali)。男性の場合は「bin(息子)」、女性の場合は「binti(娘)」が父親の名前の前に付けられます。

  • 特徴: 家族名(姓)は持たず、父親の名前を継ぐ形が一般的です。結婚しても女性の名前は変わりません。

  • 2つ目の名前:男性にはムハンマドアフマド、女性にはヌルシティのような人気の名前を2つ目の名前として付ける場合があります。例えば「ムハンマド・アリ」、「ヌル・アイシャ」など。職場にも2つ目の名前を持つ方が多数います。日本の鈴木さん、佐藤さんの様なイメージでしょうか。

  • ハジまたはハジャ:メッカ巡礼に参加した人は、男性はハジ、女性はハジャとい称号を名前に付けることがあります。


2. 中華

  • 中国の伝統的な命名法を採用しています。

  • 構成: 姓(家族名) + 個人名(例: 陳美玲)。

  • 特徴: 姓は父親から受け継ぎ、結婚しても女性の姓は変わりません。また、英語名を持つ人も多く、日常的に英語名で呼ばれることがあります(例: シャロン・タンSharon Tan)。


3. インド系

  • インド系の人々は多様な宗教や文化を持つため、名前の付け方も一律ではありません。

  • 構成: 個人名 + a/lまたはa/p + 父親の名前(例: Rajesh a/l Kumar)。「a/l(の息子)」や「a/p(の娘)」が使われます。

  • 特徴: 南インド系では姓を持たないことが多く、父親の名前を継ぐ形式が一般的です。一方、北インド系では西洋式の姓を持つ場合もあります。

4. その他の民族

  • サバ州やサラワク州の先住民族(カダザン族やイバン族など)は、それぞれ独自の命名法を持っています。

  • 特徴: 個人名に加えて、部族名や地域名が含まれることがあります。


マレーシアでは名前は多文化な背景を反映しており、それを通じてその人の民族や宗教を知る手がかりとなります。だからこそ、日本で聞きなれない名前かもしれませんがマレーシアの方と仲良くなるためには名前を覚えることは欠かせません。国は違えど名前はその人の大切なものの一部です。


お読みいただきありがとうございました。それではまた次回にお会いできるのを楽しみにしています。

”Sampai Jumpa‼(サンパイ、ジュンパ‼)”

「また会う日まで!!」

スランゴール州クアラ・クブ・バル 理学療法士 三井健司

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