JICA海外協力隊の世界日記

モザンビーク便り

看護学科生への出前講座

Bom dia! モザンビーク看護師隊員の杉原有希菜です。9月末日、国際看護に興味をお持ちの看護学科の学生さんに、「モザンビークとモザンビークの医療」をテーマに出前講座をさせていただきました。  


ごくごく普通の看護学生•看護師だったわたしが何故JICA青年海外協力隊になったのか、そのきっかけについてお話ししたあと、モザンビークの基本情報や人々の生活、食べ物、流行について紹介しました。  


今回の出前講座の主題は「モザンビークにおける医療と看護について」でした。日本ではあまり聞き馴染みのない国モザンビーク、流行している病も医療環境も何もかもが日本とは大きく異なります。また看護についても、日本式の「寄り添う看護」とは全く違い、「与える看護」というようなイメージです。これは看護師はじめ医療者の立場が非常に高いことが理由です。


活動先の公立病院の診療風景や衛生環境、周産期医療に関係する保健データ(妊産婦死亡率や新生児死亡率など)からは、現在のモザンビークの医療水準の厳しさがよく見てとれます。首都にある私立病院の様子、日本の保健データと比較してお話ししました。


最後に、わたしが実際に経験した症例を一件、詳細に取り上げました。日本であれば心臓のエコー検査や遺伝子検査を始め、各種検査を行い、結果によって様々なフォローアップを行うでしょう。手術や医療機器の使用が必要となる場合もあるでしょう。しかし、現在わたしが活動しているモザンビークの一地方において、そのようにスムーズに事が運ぶことは非常に稀なのです。  


こういった症例を経験するにつけ、途上国医療の難しさと自分自身の無力さを痛感します。しかし「寄り添う看護」に経済的な壁は存在しません。「困ったことがあれば、小さなことでも病院に行って看護師に相談しよう。」「病院に行くのが嫌じゃないな。」そう思って貰えるような看護をモザンビークで伝えることが、わたしの出来る活動だと思っています。  

現在モザンビーク到着後約1年のわたし。良くも悪くも随分モザンビークの日常に馴染んできました。こちらの様子を少しでもお伝えできるよう講座のなかに写真を沢山盛り込みましたが、皆さんの新鮮な反応に私自身初心を取り戻した気持ちでした。学生の皆様からは「言語や文化の壁で苦労したことはなにか」「現地の看護師資格を取得するまでの仕組みはどうか」「公立病院の医療費が無料ということは、税金が高いのか」など多数の質問をいただきました。  

一見ハードルが高く感じる「国際看護」や「アフリカ滞在」ですが、今回の講座によって少しでも身近に感じていただくことができたのであれば幸せです。

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