JICA海外協力隊の世界日記

モザンビーク便り

【科学の祭典】州大会決勝編

Bom dia !!
こんにちは。2023年1次隊、理科教育隊員の土師雄大です。

”「科学の祭典」地区予選編”に引き続き、
今回の記事では「州大会決勝編」を執筆させていただきます。

まずは私の住む「ガザ州」について、簡単に紹介します。

面積は75,709平方km北海道とほぼ同じ広さです!
しかし人口密度は、1平方kmあたり19人北海道は69人で、日本で最も人口密度が低いです!

地域のほとんどは、国立公園(自然保護区)です。
下の写真は、私の配属先のすぐ近くにある幹線道路からの景色です。

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このように、地平線まで見えるような景色が広がっています。

1年間が乾季雨期に分かれるモザンビークでは、背の高い植物が育つことができません
川の近くに辛うじて作物が育つことができる土壌があり、ほとんどの人々はその周辺で暮らしています。

日本では当たり前のように、作物がたくさん実る豊かな土壌や、綺麗な水が比較的手に入りやすい場所がたくさんあります。
そのような場所と比較すると、生活するには少し厳しい環境と言えるかもしれません。

理科教員である私は、「人々の生活を豊かにするのは科学技術に他ならない。」と考えています。
科学の祭典、ガザ州の決勝に残った作品たちは、そのような課題を解決するためのメッセージ性の強いものばかりでした。

S__195723346_0.jpg私の配属先の12年生のエドニルソンは、「クリーンエネルギーを活用した住宅」の模型を作り、プレゼンしました。
モザンビークはエネルギー自給率が低く、インフラも性能が低いため、雨風の強い日は(電線が切れたり、エネルギー使用量が上がったりすると)長時間の停電が日常です。
彼は風力発電などの再生可能エネルギーを積極的に取り入れ、すべての人々の暮らしがより豊かになることを提案しました。

S__195723347_0.jpg同じく10年生のエドソンは、「足が不自由な子ども用の車椅子」を自作し、プレゼンしました。(メカニックのお父さんと一緒に作ったそうです)
私が住むシブト地区には、様々な理由で足が不自由な人が多くいます。(内戦を経験し足がなくなってしまった高齢の方、充分な医療を施されずに足を切断された人がいます)

シブト地区は坂が多く、また移動手段も非常に限られているので、足が不自由な方がもっと気軽に移動できるようになるために必要なものを考えたそうです。車椅子は非常に高価です。そこで、使わなくなった自転車のタイヤとチェーン、ブレーキやペダルなどを溶接しました。作成者のエドソンはこれからも車椅子作成を続け、足が不自由な子どもに寄贈したいとプレゼンしていました。


S__195723348_0.jpgエドソンは見事、「科学革新部門」のガザ州第3位に入賞しました。
私の配属先のシブト中等教育学校の先生や生徒たちと、みんなで大喜びしました。
(全国大会に行けるのは州2組なので、出場まで惜しくもあと1歩でした)


ちなみに、優勝作品はショングエニ地区の「自動水やりシステム」でした。
S__195723349_0.jpgガザ州は水不足で、土壌も豊かではないことから、丁寧に育てないと作物はすぐに枯れてしまいます。
ですので、①できるだけ最小限の水で効率よく散水する ②生産性を向上させ、農家の方の収入をあげる
といったことをプレゼンしていました。

科学の祭典を体験し、私は改めて強く感じました。
科学技術は、人々の生活を豊かにする大きな可能性を秘めているということです。

モザンビークに住む人々も、その重要性は非常によく理解しています。
しかし、モザンビークの学校では、教科書や実験器具の不足、教員の指導能力など様々な課題があります。

専門的な高等教育を受けたり、エンジニアになったりするためには、学費の高価な大学や専門学校に入学しないといけません。
しかし、そのような学習機会のある家庭はごく僅かです。

理科教育隊員として、学校に通う誰もが質の高い教育(特に科学技術に関するものなど)を受けられることは、地域にとっても非常にニーズのあるものだと感じました。
今後も、日々の学校の授業や、同僚の教師や生徒たちと関わりを通して、よりよい学習機会をともに作り上げていこうと思います。

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